Date: 4月 27th, 2012
Cate: 電源
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電源に関する疑問(その22)

ウェストレックスのA10にしても伊藤先生の349Aのプッシュプルアンプにしても、
出力トランスからNFBはかかっていない。
伊藤先生の349AのアンプはA10を範とした設計だから、
NFBのかけ方も同じで位相反転の+側出力を初段のカソードに戻している。

出力管に三極管を使った真空管アンプでは無帰還のものは少なくない。
けれど五極管、ビーム管を出力段に使ったパワーアンプでは、
ほぼすべてといっていいほど出力トランスの2次側から初段のカソードへとNFBがかけられている。

伊藤先生も五極管、ビーム管では適切なNFBをかけることが重要だといわれている。
にもかかわらず349Aのプッシュプルアンプには出力トランスからのオーバーオールのNFBはない。

一般的に五極管、ビーム管のオーバーオールのNFBなしのアンプだと、
低音が、いわゆるボンつくようになって聴けたものではない、と昔からいわれ続けている。
なのに私が聴いた伊藤先生製作の349Aアンプには、そういった傾向はまったく感じられなかったどころか、
むしろ低域のすっきりした透明感の高さに驚き、すっかり魅了されていた。

この349Aのアンプを聴いたとき、どういう回路になっているのかはまったく知らなかった。
聴いた後で、無線と実験に掲載された記事のコピーを、当時のサウンドボーイの編集長だったOさんにもらった。
そして、オーバーオールのNFBがないことを知った。

なのになぜ低音がボンつかないのか。
ちょうど349Aのアンプを作ろうと部品を集めていたころに、
ステレオサウンドで上杉先生がオルソンアンプの製作記事を発表された。
この記事はNさんの担当だった。
Nさんはウェスターン・エレクトリックの350Bのプッシュプルアンプを作ろうとしていた。
ふたりとも伊藤先生のアンプの世界に魅かれていた──。
そういう時期の、上杉先生のオルソンアンプの製作記事。ふたりで盛り上っていた。

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