Archive for category 電源

Date: 11月 26th, 2020
Cate: 電源

モバイルバッテリーという電源(その8)

アンカーからAnker PowerHouse 100が発売になった。

モバイルバッテリーなのだが、Anker PowerHouse 100は、
DC出力以外にAC100V(正弦波)の出力もそなえている。

バッテリーからAC100Vを作り出して供給する製品はすでにいくつもあり、
昨年はホンダがLiB-AID E500 for Musicという製品も出してきている。

Anker PowerHouse 100は、ずっとコンパクトである。
メリディアンの218に使うには十分な容量である。
しかも手頃な価格におさまっている。

できれば200V出力を、といいたいところだが、
とにかく試してみたい、と思っている。

Date: 4月 7th, 2020
Cate: 電源
1 msg

スイッチング電源のこと(その11)

アムトランスにルンダールのLL1658を注文した二日後に、
Mさんという、218ユーザーの方からメールがあった。

リン用に是枝重治氏が製作されたものを使って、218を240Vで使っている、とあった。
小椋佳の「彷徨」(MQA-CDで出ている)が、
広がりと密度が共存する音場で聴けるようになった、とも書いてあった。

やっぱりそうなのか、と思いつつ読んでいた。
スイッチング電源搭載のオーディオ機器を、
200Vもしくは240Vで駆動させている人はいる。

どのくらいいるのかまではわからないが、
自分の耳で、電源電圧の違いによる音の変化を体験している人は、いるわけだ。

Mさんのように自身のシステムで、という人もいるし、
たとえばMさんやすでに実践している人のところで聴いて、
音の変化を体験している、という人もいることだろう。

私が聴いているのは、いまのところ、メリディアンの218での音の変化だけだ。
ほかの機種でも音は変化するが、その変化の仕方がどの程度なのかまでは、
いまのところなんともいえない。

それでも小さくない音の変化はある、とはいえる。
そうなると、200V、240Vでの音を聴いている人たちは、
オーディオ雑誌に掲載されている試聴記事を、どう捉えていることだろうか。

私は218を使っているから、
218は200Vで聴いてほしい、と思ってしまう。

是枝氏はリン用に製作されていたわけだから、
リンの製品を、240Vで使っている人もいる。
その人たちも、そう思っているのかもしれない。

ここは日本なのだから、100Vでの音が、そのオーディオ機器の音とはいえる。
けれど内部の変更なしに、200V、240Vにも対応しているのだから、
200V、240Vでの音が、そのオーディオ機器の本来の音といえるのではないか。

Date: 4月 5th, 2020
Cate: 電源

スイッチング電源のこと(その10)

AC 200Vにしたメリディアンの218については、
書きたいことはけっこうあるが、
5月6日のaudio wednesdayまでは、このへんにしておく。

今回の218の音の変化を聴いた後では、
オーディオ雑誌での試聴は、AC 100Vの音だけで判断していいものだろうか、と思うようになった。

従来の電源トランスを使用した場合は、
AC入力は100Vに限定されている。

国産製品は当然だし、海外製品も100V仕様になっている。

輸入製品のなかには、内部のタップを切り替えることで200Vに変更できたりするが、
それでもユーザーが勝手にやっていいことではなく、
あくまでもAC 100Vで使用するのが前提である。

ところがスイッチング電源を搭載したオーディオ機器のなかには、
これまで書いてきているように、商用電源の電圧に幅広く対応できるモノがある。

そういう製品の場合、
100Vだけで聴くのか、それとも200Vでも聴くのか。

200Vの音を聴かずに、その製品の音を判断していいのだろうか。

一般家庭の多くは、100Vである。
だから100Vの音だけでいいじゃないか──、そういわれそうだが、
たとえばメリディアンの218の消費電力は、カタログによれば5Wである。

わずかな消費電力であれば、
200Vへの昇圧トランスもそれほど大型のモノを用意せずにすむ。

私が使っているルンダールのLL1658は、重量1.35kgである。
それでも218よりも重いのだが。

オーディオ雑誌の試聴の際には、
200Vをどうやって得るのかは、問題となる。

昇圧トランスを、消費電力に応じていくつか用意するのか。
同じ容量のトランスでも、トランスによって音は違ってくるし、
トランスを使うデメリットも生じる。

そのデメリットを、少しでも小さくするために、
LL1658には、少しばかり手を加えているが、
そういうことをオーディオ雑誌の編集者がやるのか。

試聴室だから、壁コンセントのどれかを200Vにしておくのがいい。
昇圧トランスを使っての200Vとは条件が違う、
だから読者の参考にはならない──、
そんな言い訳も出てきそうだが、現実に私以外にも、
218を200Vもしくは240Vで鳴らしている人はいる。

218だけに限らない。
スイッチング電源を搭載したオーディオ機器を、
そうやって使っている人はいるわけだ。

Date: 4月 5th, 2020
Cate: 電源

スイッチング電源のこと(その9)

別項で書いているように、
メリディアンの218は、ルンダールの絶縁トランスLL1658を介して、
AC 100Vを200Vにしている。

ほぼ一週間この状態で聴いている。
もう元(AC 100V)に戻す気はない。

どんなふうに音が変化したのかは、
4月1日にやる予定だったaudio wednesday終了後に書くつもりでいた。
audio wednesdayに来てくれた人に、何の先入観もなしに聴いてもらいたいと考えたからだ。

4月1日にやる予定だったテーマ、218+αは、5月6日に行う。

LL1658を使っての最初の音は、よかった。
それでも新品ということもあって、多少は馴らし運転の時間も必要だろうと、
一枚目と二枚目のディスクは、それぞれ二回ずつ聴いていた。

約三時間聴いたあとに、
バーンスタイン/ベルリンフィルハーモニーによるマーラーの九番を鳴らした。
MQA-CDである。

これまで通常のCD、SACD、MQA-CDで聴いてきている演奏(録音)だ。
にもかかわらず、こんなにも背景雑音が多かったことに気づいた。
バーンスタインらしき声も、そうだ。

これらはそれほど小さな音なわけではない。
これまで聴いていたときも、耳には入ってきていたはずだ。

ライヴ録音なのだから、これらの背景雑音があるのはわかっていた。
これまでも気づいていたけれど、これほどとは感じていなかった。

つまり、今回改めて気づいた背景雑音を含めて、すべてが生々しい。
だからこそ、これまで耳に入ってきていても、
気にも留めることがなかった音が、はっきりと聴きとれる。

Date: 3月 29th, 2020
Cate: 電源

モバイルバッテリーという電源(その7)

DC 5Vの出力のモバイルバッテリーが手元に三つあるわけだが、
低電流モードに対応しているのは一つだけだから、そればかり使っている。

残り二つのうち一つは、auの長期利用者ということで、
十年ほど前に貰ったものだ。

もう一つが、低電流モード対応の製品の二日前に買っている。
これを無駄にしておくのはもったいない、と考えていたら、思いついたことがある。

モバイルバッテリーは充電しなければならない。
これまではiPhone用のアダプターを使って充電していた。
つまりAC電源をスイッチング電源でDC 5Vにしての充電である。

バッテリーとは化学反応だ。
充電する電源の質(ノイズの多い少ない)によって、なんらかの影響を受けるのか。

なので試してみた。
低電流モード非対応のバッテリーから低電流モード対応のバッテリーに充電した。
モバイルバッテリーからモバイルバッテリーへの充電である。

非対応のバッテリーのほうが容量が小さいため、
低電流モード対応のバッテリーをフル充電するには、
非対応のバッテリーを、ACアダプターで二回充電しなければならなかった。

それにせっかくだから、低電流モード対応機バッテリーも、
できるかぎり使い切って充電にしたかったので、試すにもけっこうな時間がかかる。

試みようと思って実際に音が聴けるようになるまで、一日半ほどかかった。
そういう事情があってのことだから、
比較試聴というには、あいだが開きすぎている。

厳密な比較試聴とはとうていいえないのだが、
音は変ったように聴こえたのかといえば、けっこう変ったように感じた。

追試をするにも、また時間がかかる。
バッテリーへの充電はバッテリーから、と断言はしないが、
モバイルバッテリーを複数持っている人ならば、試してみてもいいのではないだろうか。

Date: 3月 13th, 2020
Cate: 電源

モバイルバッテリーという電源(その6)

低電流モードで使用していて気づくのは、
ディスクを数枚再生していると、やはり電源が切れてしまう、ということだ。

低電流モードに対応しているアンカーのモバイルバッテリーが到着して、
あれこれ試していて、このことがまず起った。

たまたまなのかな、と思っていたが、今日やはりディスク数枚、
時間にすると三時間くらい経過すると、同じように電源が切れてしまう。

私が使用しているアクセサリーの消費電力がかなり小さいためなのだろう。
聴いている最中に電源が切れてしまう。

ディスクをかけかえるごとに、バッテリーのスイッチをクリックすれば、
おそらく途中で電源が切れてしまうことは起きないだろうし、
あとはダミー負荷を使う、という手がある。

低電流モードで使うのがいいのか、
ダミー負荷を使って通常モードで使うのがいいのか、
バッテリーにすれば、電源に関するもろもろのことから解放されるかなぁ、
という期待があったけれど、そううまくはいかないようである。

Date: 3月 12th, 2020
Cate: 電源

モバイルバッテリーという電源(その5)

電源に関する疑問(バッテリーについて・その2)」でも書いているように、
電池の類は、私の経験、それから古くからの友人のKさんの経験でも、
残りが少なくなってきたほうが音がいい。

ということは、いま試してモバイルバッテリーに関しても同じことは当てはまるであろう。
とはいえ、消費電力がわずかなものに使っているのと、
そこそこ容量のあるバッテリーを容易したことで、
バッテリーの残量が半分以下になるまで試していない。

なのでバッテリーの残量と音の関係については、これから検証していくことになる。
残量が少なくなったほうが音がいい、という結果になると、
面倒だな、と思うところがある。

常にある程度減った状態を維持するのは面倒だからだ。
この残量と関係してくるであろうことは、
バッテリーの容量である。

今回は大容量とまではいえないものの中容量のバッテリーである。
余裕があったほうがいい……、というのは、
商用電源を使ってのことであって、バッテリーの場合はどうなのだろうか。

このあたりも検証していく必要はあるのだが、
そこまでしていくとなると、自分で納得のいく電源を作った方がいいような気がしてくる。

それにバッテリーの数がふえていくのだから、ほどほどのところでやめておくつもりだ。

Date: 3月 12th, 2020
Cate: 電源

モバイルバッテリーという電源(その4)

商用電源ではなく電池を使う、ということは、
オーディオの世界ではかなり前から行われてきている。

金田式アンプの金田明彦氏も、乾電池とスイッチング電源を組み合わせて、
かなり早い時期から試みられていたし、
私がオーディオに興味を持ち始めたころは、
ドイツのゾンネシャインのバッテリーがいい音がする、といわれてもいた。

最近では太陽電池と白熱電球を組み合わせて、
オーディオに使用する人も出てきている。
メーカー製でも、LEDと太陽電池の組合せを、ヘッドアンプの電源に採用した例がある。

その音を聴いたことはある。
おもしろいとは感じたが、どうしても大がかりとなってしまう。

この点が218に関係してくるアクセサリーに使用したいとは思わせない。

電池という電源を徹底的に追求されている人からすれば、
スマートフォン用のモバイルバッテリーを、オーディオに使うなど不徹底すぎる──、
そういわれそうだし、
ホンダがLiB-AID E500 for Musicを出してきたように、
どこかのメーカーが今後、オーディオ用モバイルバッテリーを出してくるかもしれない。

でも、いまは使えそうなモノを選んで実験したい。
スマートフォン用のモバイルバッテリーが、大きさといい、価格といい、
218に関係してくるアクセサリーに使うにはちょうどいい感じなのだから。

Date: 3月 11th, 2020
Cate: 電源

モバイルバッテリーという電源(その3)

電源は電池が理想である──、
とはなかなか断言できない面がある。

商用電源は、いま非常に汚れている、といっていい。
これから先よくなることはまず考えられない。
ますます汚れはひどくなる一方であろう。

だからこそ電池と考える。
商用電源から電池にかえて、電源にまいわるすべての問題が解消するのであれば、
電池にすぐにでも飛びつくところだ。

いまDC5Vの出力のモバイルバッテリーが手元に三つある。
どれも音が違う。

理想の電源であれば、音が違ってくるはずがないわけだが、
現実はそうではないことは、音を聴けばわかる。

理想ではないけれど、理想に近い──、
そう思い込めたら、どんなに楽か。

音を聴くと、いいところもあるしそうでないところもある、としかいいようがない。

モバイルバッテリーの内部には、バッテリーだけがおさめられているわけではない。
出力を監視している電子回路も入っているからこそ、
低電流負荷ではすぐに切れてしまう製品もあるわけだし、
低電流モードで動作する製品もあるわけだ。

具体的にどんな働きをしているのかまでは調べていない。
どんなデメリットがあるのかも知らないが、
モバイルバッテリーからのコードをフェライトコアに巻いてみる。

ここでもいくつか試してみた。
そんなことを、同じディスクの同じ箇所を何度もリピートして聴いていた。

このあたりかな、というところに、いまのところ落ち着いた。
それでも商用電源(外付け電源)を使わなくなるわけではない。

Date: 3月 11th, 2020
Cate: 電源

モバイルバッテリーという電源(その2)

(その1)にfacebookで、二人の方からコメントがあった。

モバイルバッテリーを、スマートフォンの充電以外に使いたい人はいるわけで、
そういう人たちは、私と同じことになるわけで、
そういう人たちのためなのかどうかはわからないが、
モバイルバッテリーのなかには低電流モードに対応している製品がいくつかある。

コメントには、それらのモバイルバッテリーへのリンクがはってあった。
さらにモバイルバッテリー用のダミー負荷があることも、コメントにあった。

私が昨晩試したiPhoneを接続したのもダミー負荷である。
充電が完了すると、iPhoneはダミー負荷として機能しなくなる。
正確にいえば、充電が80%になったらiPhoneはダミー負荷として使えない。

なので最初に試したモバイルバッテリーを、
ダミー負荷として使ってみた。

もちろん使える。
当然予測できたことだが、ダミー負荷に何を使うかで、微妙とはいいがたい音の差が生じる。

それに二口あるUSB端子のどちらに接ぐかによっても音は違ってくる。
そしてこれも予想できたことなのだが、
最初に試した小型のモノと昨晩試した中型のモノとでは、音は違う。

今日、低電流モードに対応しているモバイルバッテリーが届いた。
ダミー負荷を必要とせずに問題なく使える。
アンカーのモバイルバッテリーである。

どのモバイルバッテリーが音がよいのかをすべて試していく気はない。
いまのところアンカーのモノでいろいろやっていく予定である。

これらのことは、4月1日のaudio wednesdayでやる予定でいる。

Date: 3月 10th, 2020
Cate: 電源

モバイルバッテリーという電源(その1)

D/Dコンバーターもそうだが、DC5Vで動作するアクセサリーが増えてきている。
USBのバスパワーで動作するモノ、5Vの外付け電源を使うモノがある。

5Vの外付け電源ならば、モバイルバッテリーがそのまま使えるはず。
手元に小さなモバイルバッテリーがある。
一応フル充電して試してみる。

あるアクセサリーに使ってみた。
専用の電源がついている。
オーディオ用と謳っている電源である。

モバイルバッテリーに交換すると、音ははっきりと変る。
いい感じである。

けれど一分ほどで電源が落ちてしまう。
バッテリーにあるボタンを押す。
するとまた動作する。
でも、やはり一分程度で、また落ちる。

音がいいだけに、なんとかしたい。
それにしても、なぜそうなるのか。

モバイルバッテリーはスマートフォンの充電用である。
今回試したアクセサリー用ではないし、消費電力も違う。

そのためなのか。
それとも、試したモバイルバッテリー特有の現象なのか。
検証のために、比較的大容量のモバイルバッテリーを買ってきた。

サイズ的には、試したモノよりもかなり大きい。容量も大きい。
どうだったかというと、やはり一分、というか、もっと短い時間で落ちる。

アクセサリーの消費電力が少ないのか。
今回購入したモバイルバッテリーには、出力のUSB端子が二つある。

試しに空いている端子にiPhoneを接続する。
iPhoneを充電しながら、アクセサリーにも給電している状態にした。

こうすれば安定して使える。
電源が落ちることなく使える。

Date: 2月 24th, 2020
Cate: 電源

スイッチング電源のこと(その8)

イギリスのCHORDは、スイッチング電源に最も意欲的・積極的なメーカーである。
CHORDのD/Aコンバーターやコントロールアンプといった、
消費電力の少ない製品に関しては、90Vから250Vまで対応している。

消費電力の大きいパワーアンプではどうかというと、各国の電源事情にあわせている。
日本の輸入元タイムロードのウェブサイトには100Vのみが記載されている。

本国のCHORDのサイトでは、D/Aコンバーター、コントロールアンプなどでは、
90v AC-250v AC auto switchingとある。

パワーアンプのところには、電源電圧に関する項目がない。
スイッチング電源の専門メーカーともいえるCHORDだから、
パワーアンプにおいては、auto switchingでは電源電圧の低い国では、
音質的に不利になることを理解しているのだろう。

ジェフ・ロゥランドも、スイッチング電源を採用している。
プリメインアンプのDaemonのリアパネルをみると、85-265 VACとある。

パワーアンプのリアパネルには、スイッチング電源であっても100Vとあったりする。

このあたり、ジェフ・ロゥランドが、
スイッチング電源と電源電圧の関係による音の変化をどう考えているのか知りたいところだ。

スイッチング電源を搭載しているオーディオ機器は何も使っていない──、
そういう人もいる。
そういう人でも、パソコンを使って再生しているのであれば、
そのパソコンに使われている電源は、メーカー製であるならばスイッチング電源である。

ノート型で、音楽再生時にはバッテリー駆動しているというのであればいいが、
AC電源を使う場合、電源電圧は高いほど有利になるのは同じだ。

Date: 2月 24th, 2020
Cate: 電源

スイッチング電源のこと(その7)

メーカーは100Vの電源電圧であっても、
十分な容量のコンデンサーを搭載している、というはずだ。

けれど、このことは240Vで使用すれば、
コンデンサーの容量にかなりの余裕がある、ということになる。

平滑後のスイッチング電源でリップルは抑えている、と、またメーカーはいうだろう。
たしかにそうだろうが、それでも音は変らない、といえるだろうか。

でも、それは整流・平滑のあとに定電圧回路を入れているから、
電源トランス、ダイオード、コンデンサーなどによって音は変らない、というのと同じことだ。

スイッチング電源では、入力される電源電圧によって音は変化しない──、
そうであってほしい、といちばん願っているのはオーディオマニアなのかもしれないが、
現実には音は変ってくる。

音が変る──、ということで喜ぶオーディオマニアも意外に多いのかもしれないが、
私は変ってほしくない、と思う側だ。

でも変る以上はなんとかする必要がある。

自分で設計し自作するのであれば、
スイッチング電源の場合、最初から100Vに限定しておくのがいい。

けれどメーカー製の場合はそうはいかない。
メリディアンの218も、平滑コンデンサーの耐圧は450Vとなっている。
100Vに限定すれば、耐圧は半分以下におとせる。

そして、その分、同サイズのコンデンサーならば容量は増える。
218(version 10)とは、このコンデンサーの交換のことである。

でも別項「218はWONDER DACをめざす」で書いているように、
部品の交換はやらないと決めている。

ならばどうするか。
電源電圧を昇圧するわけだ。

Date: 2月 24th, 2020
Cate: 電源

スイッチング電源のこと(その6)

スイッチング電源では、平滑コンデンサーにかかる電圧は、入力される電源電圧によって違ってくる。
100Vと200Vとでは、平滑コンデンサーにかかる電圧がそれだけ違ってくる。

つまりスイッチング電源で、100Vから200V(もしくは240V)まで対応するには、
高い電圧のほうに、コンデンサーの耐圧をあわせることになる。

交流を整流し平滑して直流にする。
けれどこれだけで完全な直流になるわけではなく、
リップルという小さな波が残ってしまう。

リップルが小さければ小さいほどいいわけで、
コンデンサーの容量は、このリップルと密接に関係してくる。
簡単にいってしまえば、コンデンサーの容量が大きいほどリップルは小さくなっていく。

けれどコンデンサーには耐圧という制約がある。
耐圧が高いコンデンサーと低いコンデンサーである。
この二つのコンデンサーのサイズが同じならば、
耐圧の低いコンデンサーのほうが容量は大きい。

それから実際に電源回路に使った場合、
消費電流が少ないほど、同じ電源電圧、同じコンデンサーの容量であっても、リップルは小さくなる。
ほかの条件が同じでも、電流が大きくなればリップルも大きくなる。

電圧に関してはどうかといえば、電流が同じであれば、
電圧が高い方がリップルは小さくなり、低くなればリップルは大きくなる。

どういうことかというと、240Vの電源電圧まで対応できるスイッチング電源であれば、
平滑コンデンサーの耐圧はそれだけ高いわけだし、リップルに関しては有利になる。

それを100Vで使うとなると、コンデンサーの容量は変らず、電圧だけが低くなるわけだから、
リップルに関しては不利になる。

240Vと同じリップル率にするには、100Vではコンデンサーの容量を増さなければならない。

Date: 2月 24th, 2020
Cate: 電源

スイッチング電源のこと(その5)

オーディオアンプにスイッチング電源が採用されたのは1970年代後半からだから、
スイッチング電源という考え方は、それ以前からあったのだろうなぁ、ぐらいには思っていた。

数日前に、あるニュースサイトに
コンピューターや家電製品の「電源」はどのように進化してきたのか?』という記事があった。

この記事によると、スイッチング電源の構想は1930年代とある。
まだトランジスターが登場していないころである。
動作周波数20kHzのスイッチング電源は、1960年代後半に登場したこともわかる。

この記事に刺激されて、スイッチング電源の歴史で検索してみると、
なかなかおもしろい。

1974年ごろ、Robert Boschert氏によるスイッチング電源の簡略化が実現してなければ、
オーディオへの採用はもっと後になっていたかもしれない。

とにかくそうやってビクターやソニーのパワーアンプ、
それからテクニクスのコンサイスコンポへ搭載された。

このころのスイッチング電源は、100Vのみだった。
いまのスイッチング電源は、そうではない。

メリディアンの218のリアパネルには、100-240V ACとある。
内部は緯線を切り替えることなく、100Vでも200Vでも、240Vでも対応できる。

いまではあたりまえのことなのだが、
初期のスイッチング電源ではそうではなかったから、進歩といえる。

けれどオーディオに関していえば、進歩と素直に喜べない面もある。

スイッチング電源は、まずダイオードで整流し、コンデンサーで平滑する。
通常の電源は、まず電源トランスがあり、そこで電圧を昇圧・降圧したうえで、
整流・平滑とする。

つまり通常の電源の場合、平滑用コンデンサーにかかる電圧は、
各国の電源事情にあわせて電源トランスの一次側の巻線で対応するため、
100Vの国だろうと、もっと高い電圧の国であろうと同じである。

スイッチング電源は、そこが違う。