Archive for category ショウ雑感

Date: 9月 24th, 2014
Cate: ショウ雑感

2014年ショウ雑感(些細なことだけど)

どこのブースで、誰が、といったことはいっさい省く。

あるオーディオ評論家が、あるブースで簡単な挨拶をされた。
そこで「商売柄いろんな音(製品)を聴くわけで」といわれた。

そんな些細なことを気にするのは少数だし、揚げ足取りではないか、といわれそうだが、
それでも「商売柄」には異和感をおぼえた。

「仕事柄」だったら、なにもこんなことを書いたりはしない。
簡単な挨拶だから、ぽろっと出た言葉だろう、といわれるのもわかっている。
けれど、なにげなく使ってしまう言葉に、人柄は出てしまう。

商売にも職業の意味はあるから、間違った使い方ではないことはわかっている。
それでも「商売柄」といわれると、
この人にとってオーディオ評論は商売なのか……、と思うわけだ。

Date: 9月 24th, 2014
Cate: ショウ雑感

2014年ショウ雑感(その6)

ヤマハのプレゼンテーションが満点だったとはいわない。
けれどそう大きな不満はなく、及第点とははっきりといえる。

というよりもプレゼンテーションという視点でみれば、ほかのブースはひどいところが多い、というだけの話である。
インターナショナルオーディオショウの一週間くらい前になると、
日本インターナショナルオーディオショウ協議会のサイトで、講演スケジュールのPDFが公開される。

毎年「講演スケジュール」と書かれている。
いつまで講演という言葉を使っていくのだろうか、とも思う。
もう講演と呼べないレベルのものが大半になってきているし、
講演という言葉を使っているかぎり、プレゼンテーションだということには気がつかないのかもしれない。

私がオーディオ雑誌の編集者だったら、各ブースのひとりひとりに、
どういう意識でやっているか聞いてまわる。

講演なのか、プレゼンテーションなのか。
それともこのふたつのどちらでもないのか。

昨年のインターナショナルオーディオショウの雑感のところでふれた柳沢功力氏の、
ステラのブースでの二時間にわたる話は、なんだったのかとなると、
私はアナログディスク漫談だという認識でいる。

漫談というと、貶めているように受けとめられるかもしれないが、積極的な意味での漫談であった、と思う。
漫談には、とりとめのない話という意味の他に、
演芸の一。世相などを話題として風刺や批評をまじえた軽妙な話芸、と辞書には書いてある。

昨年の柳沢氏の話は、まさに後者の意味での漫談であった。
こういうアナログディスク漫談を、いまやれるのは柳沢氏くらいだろう。

そう、この手の漫談は誰にでもやれるわけではない。

Date: 9月 23rd, 2014
Cate: ショウ雑感

2014年ショウ雑感(ふたつのブースでの光景)

タイミングがずれていれば、すれ違わない。
いままでインターナショナルオーディオショウにほぼ毎年のように来ているが、
今年初めて車椅子で来場されている人に気がついた。

おそらくこれまでのショウにも来場されていたのだと思う。
たまたま私はすれ違うことがなかったのだろう。

今日、車椅子で来場されている人を見かけたのは、あるブースに入ってからだった。

どのブースもそうだが、すでに椅子がセットされている。
スタックできる、いわゆる会議用椅子と呼ばれるタイプのものだ。

この椅子がブースに広さに応じて十脚くらいから数十脚並べられている。
車椅子で来場した人が、左右のスピーカーのセンターで聴きたいと思っても、
椅子が邪魔をする。

だが、タイムロードのブースでは、その人はセンターで聴いていた。
会議用椅子をどけて、である。
おそらくタイムロードのスタッフの人が会議用椅子をどけたのだろう、と思われる。
はじめての光景だった。

タイムロードのブースを出て、いくつかのブースにまわり、夕方にあるブースに入った。
扉を開けたら、その人がいた。
でも部屋の隅だった。

そのブースは、私がはいったときはまあまあの数の人がいた。
だがすぐに空いてきて、最前列は誰も座っていない状態だった。
そのブースでは、何の動きもなかった。

Date: 9月 23rd, 2014
Cate: ショウ雑感

2014年ショウ雑感(その5)

インターナショナルオーディオショウにはラックス、アキュフェーズは前から出展している。
そこにA&Mが加わり、フォステクス、TADが続いた。

でも、これらのブースに入っても、「オーディオフェアの感じ」は受けない。
他の輸入商社のブースと大きく違うわけではない。

なのにヤマハのブースに「オーディオフェアの感じ」がある。
これは否定的な意味で使っているのではない。
むしろ、いい意味で使っている。

私がはいった時は、プレゼンテーションの途中だった。
意外にも(と書いては失礼になるだろうが)、人は多かった。
次に気がついたのは、進行役の人が女性で、
こういうイベントの仕事をしてきた人なんだろうなと勝手に思ってしまうほどスムーズにこなされていた。

いまの太陽インターナショナルが大場商事だったころ、
ここのブースでも女性の人が紙に書かれた内容を読み上げていた。

でも、大場商事の人よりも、ヤマハの人は慣れていた。
マイクロフォンを使い、小型のスピーカーで適正の音量でアナウンスがなされていた。
聞き取りにくいことはなかったし、音量が大きすぎると感じることもなかった。

部屋の一角には大型のディスプレイが設置してあり、
再生ディスクのジャケット、タイトル、演奏家、曲名などが表示されていた。
音が鳴っている途中で入ってきた人でも、何のディスクかすぐにわかる。

それから音を鳴らしている時間、話をしている時間、
この配分がどちらも長すぎることなく、進行していく。
どこのブースかは書かないが、長々と聞き取りにくい声で話が続くところがある。

ずっと出展してきているところがそうなのに、
今回初出展のヤマハが実にスムーズに進めていくのを見ていると、
ほかの出展社は、一度ヤマハのブースに来てみては、といいたくもなる。

Date: 9月 23rd, 2014
Cate: ショウ雑感

2014年ショウ雑感(その4)

ハーマンインターナショナルがいなくなり、空いたふたつのブースには、
ヤマハとヨシノトレーディングがはいっている。

ヨシノトレーディングは、これまでハイエンドオーディオショウに出ていた。
だからなんとなくではあるものの、こんな感じなのだろう、という予想は出来ていた。

その意味では、ヤマハの方が、どんなふうに出展してくるのだろうか、と想像してみるものの、
はっきりとしたものが浮んでこない。

今回出展しているブースに置かれているオーディオ機器の価格を単純に合計する。
まちがいなくヤマハのブースに置かれているオーディオ機器の合計金額がいちばん低い。

ヤマハの現行製品はCDプレーヤーとプリメインアンプ。
スピーカーシステムもあるけれど、ヤマハが力をいれているのは、S300シリーズとS2100シリーズである。
今回ヤマハのブースにあって、音を聴けたのも、このふたつのシリーズのCDプレーヤーとプリメインアンプである。

A-S2100が25万円、A-S3000が47万円。
決して普及価格帯のアンプではないけれど、
インターナショナルオーディオショウに展示され音を聴けるアンプの中では、普及クラスとなってしまう。

そういう、いまのヤマハがインターナショナルオーディオショウでどういうプレゼンテーションを見せてくれるのか、
これが今年のショウでの興味のひとつだった。

いくつかのブースをまわったあとにヤマハのブースに着いた。
扉を開けて、まず思ったのは「オーディオフェアの感じ」だった。

Date: 9月 23rd, 2014
Cate: ショウ雑感

2014年ショウ雑感(その3)

インターナショナルオーディオショウに行ってきた。
今年は例年とは違い、週末の開催ではなくなり、休日、平日、平日の開催だけに、
23日の今日はひどく混むだろう、と思っていたから、行くつもりはなかった。

けれど用事があり出掛けることになり、その用事も予定していたよりもずっと早く片づいたので、
あと少し電車に乗れば会場に着く。

会場着は12時少し前だった。それから約六時間、ずっといた。
混んではいた。それでも予想していたほどではなかった。

今年は(その1)で書いているようにハーマンインターナショナルが出展していない。
日本インターナショナルオーディオショウ協議会のサイトをみると、
メンバーからハーマンインターナショナルが外れていることがわかる。

ということは来年も再来年もハーマンインターナショナルが戻ってくるとことはない、ということなのだろう。
私にとってハーマンインターナショナルが出展していないということは、JBLの不在と同義だ。

オーディオフェアのころからJBLは、つねにあった。
私が初めて行ったオーディオフェア(1981年)では、山水電気のブースにJBLはあった。
そのJBLが、今年はない。今年からない、というべきか。

もしかするとほかの出展社のブースでJBLのスピーカーが鳴らされているかもしれない……、
と淡い期待をもっていたけれど、私が見た範囲ではどこにもJBLの姿はなかった。

JBLの姿がどこにもない、初めてのショウである。

Date: 9月 19th, 2014
Cate: ショウ雑感

2014年ショウ雑感(その2)

あと数日で今年のインターナショナルオーディオショウが始まる。
今年も行く予定でいる。

インターナショナルオーディオショウで毎年会って話をする知人がいる。
私よりも10くらい若い知人である。

彼は会うと、毎年のようにいうことがる。
「オーディオ評論家の話なんてどうでもいい。オーディオ雑誌を読めばいいのだから。
それよりも海外から来ているメーカーの人の話が聞きたい」と。

すべてのオーディオ評論家の話が、オーディオ雑誌に載る内容とすべて同じわけではないから、
どうでもいい、とまでは私は思わないけれど、それでも彼の気持はよくわかる。

知人は、できればメーカーの人に質問できれば、もっといいのに、ともいう。
これにも同意する。

英語が流暢な人ならば、直接話しかけることもできようが、
私もそうだが、英語が流暢とはお世辞にもいえない。
つまり通訳してくれる人が必要となる。

今回、イギリスのCHORDの輸入元であるタイムロードでは、
24日(水)、18:00から「CHORDスペシャル ファンミーティング」が行なわれる。

どういう内容かはリンク先を見ていただきたい。

ファンミーティングという企画自体は、目新しいものではない。
でも、オーディオショウでこういう企画が行なわれるのは、初めてではないだろうか。

いい企画だといえる。
そして、こういう企画が、タイムロードだけでなくほかの出展社でも行なわれるようになることを望みたい。
知人も、この企画を望んでいた、と思う。

できればひとつのメーカーだけでなく、
他メーカーの人たちによる座談会・対談も行なわれるようになれば、とも私は思う。
さらにいえば、インターナショナルオーディオショウにいけない人たちのために、
Ustreamでのライヴ中継もやってくれれば、とも思う。

とにかく、この企画が根づいて、拡がってほしい。

Date: 7月 10th, 2014
Cate: ショウ雑感

2014年ショウ雑感(その1)

今年のインターナショナルオーディオショウは九月に開催される。
もう少し先のことなのに、こうやってショウ雑感を書くのは、
今年のショウにハーマンインターナショナルが出展しないことがはっきりしたからである。

五月の終りごろだったか、
twitterとfacebookの両方で、来年のショウからハーマンインターナショナルが出展しない、という書き込みをみた。
その書き込みはすぐに、来年だけでなく今年もだ、というふうになっていった。

ハーマンインターナショナルは毎年ふたつのブースを使っていた。
JBL、マークレビンソン、SMEなどを扱っている。
そのハーマンインターナショナルが出展しなくなるなんてことがあるのか、と訝っていたら、
六本木のミッドタウンに直営店を出したことが、インターナショナルオーディオショウの規約にひっかかるためだ、
という情報も流れてきた。

そういう規約があるのならば、ハーマンインターナショナルが出展しないのもわかる。
けれど直営店ではないにしても、ほとんど直営店といえる販売経路をもっている輸入代理店がないわけではない。
そういうところは大丈夫なのか、と思っていたら、
そういうところは直営店ではなく、あくまでも子会社、別会社としての経営だという情報がまたあがってきた。

それならば規約に違反していないことになる。
そういう前例があるにも関わらず、ハーマンインターナショナルは直営店を選んだ、ということになる。

ハーマンインターナショナルが抜けたふたつのブースには、ヤマハとヨシノトレーディングが出展する。

Date: 11月 29th, 2013
Cate: ショウ雑感

2013年ショウ雑感(その12)

ステラのブースでの、柳沢功力氏の話は面白かったし、楽しめた。
二時間立ちっぱなしできいていたわけだから、満足していた、といえばそうなる。
けれど、柳沢氏の話がプレゼンテーションだったのか、となると、素直にそうとはいえない。

柳沢氏はプレゼンテーションという意識はなかったかもしれない、
というよりも、たぶんなかったんだと思う。
プレゼンテーションという意識のない話をきいていて、
それを受け手側(私)が勝手にプレゼンテーションとしてどうだったか、と勝手なことをここに書いているわけだ。

では、ステラのブースでの柳沢氏の話は、
柳沢氏自身はどういうつもりだったのか。
講演だったのか。

柳沢氏に依頼したステラの人たちは、どういうつもりだったのか。
講演を依頼していたのだろう、おそらく。

どちらも講演という認識だったのかもしれない。
とすれば受け手側は、ステラのブースでの話を講演としてきかなければならなかったのだろうか。

私には、どうしても講演とは思えない。
柳沢氏の話だけがそうではなくて、ここしばらく、
インターナショナルオーディオショウで講演と素直に書きたくなる話は聞いていない。

といって柳沢氏の話を、デモンストレーションとはいいたくない。
デモンストレーションという言葉につきまとう、ネガティヴな印象は受けなかったからだ。

Date: 11月 26th, 2013
Cate: ショウ雑感

2013年ショウ雑感(その11)

今年のインターナショナルオーディオショウでは、
そう多くの、講演と呼ばれているものをきいたわけではないが、
これまでにもインターナショナルオーディオショウに出かけていき、その都度きいてきている。

オーディオ評論家と呼ばれている人たちの、講演と呼ばれているものだけではなく、
各メーカー、各輸入商社のスタッフの人たちによるものをきいてきている。

きいてきたうえで、ここで思うのは、
各メーカー、各輸入商社の人たちは、講演と思っているのだろうか、である。
講演をやっていると思い、講演をやってくれる人に依頼する。それを講演と呼んでいるわけだ。

だからインターナショナルオーディオショウの各ブースで行われているのは、講演。
そういうことなのかもしれない。

それでも私は、あれを講演とは呼びたくない。
デモンストレーションとも呼びたくない。

それでは結局何かというと、月並なことになってしまうが、
やはりプレゼンテーション(presentation)なのだと思う。

発表、提示、説明、紹介、披露の意味をもつプレゼンテーション、
これがいちばん個人的にはしっくりくる。
そしてこれまできいてきたものを、プレゼンテーションという視点からふり返ってみると、
残念なことに未熟なプレゼンテーションであることのほうが多かった。

Date: 11月 14th, 2013
Cate: ショウ雑感, 瀬川冬樹

2013年ショウ雑感(続・瀬川冬樹氏のこと)

私にとって、もっとも会いたかったオーディオ評論家は瀬川先生だった。

熊本には瀬川先生よりも先に、別のオーディオ店に長岡鉄男氏が来られたことがある。
それには行かなかった。
私が初めて行ったのは瀬川先生によるものだった。

瀬川先生による、いわば試聴会だけを高校生の時ずっと体験してきた。
つまり、私にとって瀬川先生のやり方がひとつの基準としてある。
そのことに、実はいまごろ気がついた。

なにも瀬川先生のやり方がすべてで、理想的だった、とはいわない。
オーディオ店、メーカーのショールームにおいて、理想的な条件が得られることはまずない。
いくつもの制約があるのが当り前で、
その制約を言い訳にすることなく、さらに時間という制約の中で、ひとつの音をきちんと聴かせてくれる。

そして、このことも重要なのだが、
瀬川先生はレコードのかけかえもカートリッジの上げ降しも、アンプのボリュウム操作も、
誰かにまかせることは一度もなくすべてやられていた。

だからこそ、見ているだけで学べることがいくつもあった。

それらのことが私の中にはある。
だからインターナショナルオーディオショウなどの催物での、
いまオーディオ評論家と呼ばれる人たちのやり方を見ていると、
無意識のうちに瀬川先生のやり方を基準としてみていたことに、いま気がついた。

そして、瀬川先生のやり方を見て知っている人も、
いまでは少なくなってきた、ということにも気がついた。

Date: 11月 13th, 2013
Cate: アナログディスク再生, ショウ雑感

2013年ショウ雑感(アナログディスク再生・その14)

アナログディスク再生に対して確固たるものを持っていない人の書いたものは、
読んでいて、すぐにそうだとわかる。

確固たるものが自分の確固たるものと同じでなくてもいい。
さらにいえば確固たるものが正しいのかどうかも、極端な話どうでもいい。

とにかく確固たるものを持った上での評価をしているのかどうか、
それは確固たるものを持っている読み手であれば、
それがどの人のことを指しているのかはすぐにわかるはずだから、
ここではその人の名前を出すことはしないし、ここでは個人攻撃はしたくはない。

それでもおかしなものを高く評価していたり、
その反対のことをやっていたりするのをみかけると、ついあれこれ思ってしまうし、言いたくなってしまう。

そんなことをやっている人が、私よりもずっと若い人で、
オーディオに関心を持ち始めた時はすでにCDが主流で、アナログディスクとの出合いはその後だった、
というのならば、仕方ないかもな、とは思いはするければ、
私よりも上の年齢の人で、いまもそういう人が野放しになっているのは、
どこに、誰に責任があるのだろうか……。

Date: 11月 12th, 2013
Cate: アナログディスク再生, ショウ雑感

2013年ショウ雑感(アナログディスク再生・その13)

どんな人にでも、いわゆる粋がっていた時代はあるのではないか。
それがいつなのか、どのくらいだったのかは人によって違ってくるだろうし、
いまも粋がっていたいという人だっている。

そんな粋がっていた時には、定番のモノよりも、
エキセントリックだったり、エキゾティシズムのモノにより惹かれることがある。

私のように若いころからEMTの930stを欲しい、と思ってきた者は、
さしずめ定番のモノを使って、人よりもいい音を……、と考えているのだろう。
それでも定番とは対極に位置するモノに魅力を感じてこなかったわけではない。

むしろ定番の良さをしっかりと認識することで、
その対極にあるモノの魅力もよりはっきりとみえてくることだってある。
つまり定番を頭から拒否している人は、
エキゾティシズム、エキセントリックなモノに騙されてしまうこともあるような印象をもっている。

いま市場に出廻っているアナログディスク再生に関するオーディオ機器を眺めていると、
素晴らしいモノといっしょにどうにもこうにもおかしなモノがある。

そんなモノを高く評価する一部の人が、またいる。
そんな人の書く、アナログディスク再生に関するものを読むと、
この人にはアナログディスク再生に対しての、その人なりの基準がないように感じられる。

アナログディスク再生は、昨日今日のものではない。
長年続いてきているものであり、
私と同世代、そして私よりも上の世代の人はそれだけの時間、
アナログディスク再生に時間を割いてきているわけだ。

人はその中で、その人なりのアナログディスク再生とはこうあるべき、という考えを構築形成してきたはず。
そうやってつくられた基準によって、アナログディスク再生に必要なオーディオ機器を評価判断する。

それは人によって違ってくるところがあるし、ひとりの人の中でもこれだけ、というわけではない。
少なくともオーディオ雑誌で不特定多数の人にアナログディスク再生に関する文章を書く人ならば、
そういう基準をしっかりと持った上で評価判断してほしい、と思っている。

だが実際には一部の人は、あきらかにそれが感じられない。
おそらくないのだと思う。
だから、あきらかにおかしなモノを高く評価したりする。

Date: 11月 12th, 2013
Cate: アナログディスク再生, ショウ雑感

2013年ショウ雑感(アナログディスク再生・その12)

オルトフォンのSPU-GとSMEの3012-Rの組合せは、定番中の定番といえたかもしれない。
オルトフォンのRMG309よりも、SMEのロングアームの方がSPUと組み合わされることは多かったかもしれない。

SPUのように針圧が3g前後のカートリッジにはダイナミックバランス型のトーンアームが向く。
そういう思い込みにとらわれている人にとっては、
SMEの3012-Rはスタティックバランスということで関心を持たないかもしれない。

でもこの組合せは、ステレオサウンドの試聴室で何度聴いたのかは忘れてしまったほど聴いている。
私がいたころのステレオサウンドの試聴室にあったのは、SPU-Goldだった。

ほとんどのレコードを難なくトレースしてくれた。
トレースに不安を感じて調整をしなおした、ということは一度もない。
安心してさまざまなレコードをかけられる組合せだった。

定番同士の組合せだから、といえるだろうし、
そういうモノだから定番と呼ばれている、ともいえる。
定番と呼ばれているモノは、その多くがこういう良さを有している。

モノマニア的なところがないオーディオマニアはいないのかもしれない。
だから、人とは違うモノに魅力を感じてしまうのかもしれない。

誰もが使っている定番はできれば使いたくない。
そういう視線で目新しいモノを選んでしまうと、それは時としてエキセントリックだったり、
エキゾティシズムの魅力のモノだったりすることがある。

オーディオ機器には、昔からそういうモノが存在しているし、いまも存在している。
特に一部のアナログ関係のモノ、スピーカーシステムに見られる。

それらすべてがそうゆうわけではないが、中には以前書いているように欠陥スピーカーといいたくなるモノがある。

Date: 11月 12th, 2013
Cate: アナログディスク再生, ショウ雑感

2013年ショウ雑感(アナログディスク再生・その11)

どのようなモノにも定番と呼べる存在がある。
オーディオにもある。

定番とは辞書には、
流行にかかわりなく,毎年一定の需要が保たれている基本型の商品。白のワイシャツ・白のブラウスなど、
とある。
だからこの意味通りの使い方からはズレてしまうのはわかっているが、
オーディオのジャンルでいえば、
トーンアームはSMEの3012や3009、
カートリッジではシュアーのV15シリーズ、オルトフォンのSPUなどがすぐにあげられる。
そういう意味での、ここでの定番という使い方である。

オーディオに関心のある人ならばほとんどすべての人が少なくともブランド、型番は知っている。
使っている(持っている)人も多い。
持っていなくとも、オーディオ店やオーディオ仲間のリスニングルームで聴いたことがある。
そういうモノが、他にもいくつもある。

こういう定番のオーディオ機器は、すでに評価が定まっている、ともいえる。
だから、そんなモノは使いたくない、と思う人もいることは知っている。
人と同じモノは使いたくない。
しかも定番と呼ばれるモノは、多くの人が使っているのだから、
そういう気持をもっている人にとっては、なおさら自分のモノにはしたくない、という気持も生まれるだろう。

この気持は、誰しも持っていることだろう。
私だって持っている。
以前に比べればそういう気持はほとんどなくなってしまっているともいえるけれど、
それでもまったくなくなってしまったわけでもない。

そういう気持は、オーディオには必要な要素かもしれない。
でも、だからといって定番のモノに対し、まったく見向きもしないということはやらない。