2006年のいまごろ、ハーマンインターナショナルのウェブサイトを見ていたら、
JBLが大口径ウーファーにこだわる理由の説明がなされていた。
このページは、JBLのホームオーディオに行き、
テクノロジー解説の「スピーカーシステムの低音再生能力について」にて読める。
リンクしてもよかったのだが、3年前と今とでは、サイトが作りかえられたためだろう、
アドレスが変更されていた。
今後もサイトの変更とともにアドレスも変更されるだろうから、あえてリンクはしなかった。
そのページでは、4インチ(10cm)口径から15インチ(38cm)口径まで8つのサイズのユニットの
振動板面積、許容振幅、振動体積を表組みで提示してある。
振動板面積は、ユニットの口径から算出した円の面積である。
注目したいのは、振動体積だ。
38cm口径だと4534cc、30cmは2120cc、20cmは628cc、10cmは79ccとなっている。
この振動体積は、振動板面積と許容振幅を掛け合わせて得られる、1振幅当りの値である。
この振動体積で比較すると、38cm1発と同等の値を得るには、
30cmだと2発、20cmだと7発、10cmになると50発ものウーファーが必要となる。
振動体積だけで低域の再生能力の全てが語れるわけではないだろう。
それでも、井上先生が言われた、
「38cmなら(片チャンネル当り)2発、30cmなら4発」というが、ぴったりあてはまる。
井上先生は、長年の、ご自身の体験から得られた感覚的な結論として言われたのであって、
振動体積を考慮しての発言ではなかったと思う。
38cm2発と20cm14発、どちらが優れた低音再生能力を見せてくれるかは、
実際に試してみないことにははっきりしたことは言えないが、ひとつだけ言えるのは、
20cm14発のシステムをつくることは、38cm2発のシステムを組むよりも、
そうとう大がかりで困難な作業であることは明らかだ。
38cm2発ならば、ユニット配置は縦にするか横にするかぐらいだが、
14発ともなると、どうレイアウトするかだけでも難しい。
それにユニットの接続も、2発なら並列につなぐことが基本になる(直列接続がいいこともある)が、
14発ではシリーズとパラレルを組み合わせるしかない。
この組合せをひとつひとつ、音を聴いて確かめていく作業だけでも、気が遠くなりそうだ。
JBLのウェブサイトに示されている各口径のスペックは、あくまでもJBLの基本的なユニットの値である。
許容振幅は38cmが4cmなのに対して、20cmだと2cmだ。
他のメーカーが独自技術で、20cm口径の許容振幅を大幅に向上させたら、
10cmを超える振幅を実現したら、話はまた違ってくるだろう。