Archive for category 組合せ

Date: 10月 22nd, 2013
Cate: ワーグナー, 組合せ

妄想組合せの楽しみ(カラヤンの「パルジファル」・その1)

カラヤンが亡くなって、約四半世紀が経つ。
カラヤンが残した録音の正確な数は、決してカラヤンの熱心な聴き手ではなかった私には、
おおよその数すら知らない。

それにそう多くのカラヤンのレコードを聴いていたわけでもない。
カラヤンのベートーヴェン全集にしても、すべてを聴いているわけではない。

このことには、やはり五味先生の影響が関係している。
五味先生がカラヤンをどう評価されていたのかについては、いまここではあえて書かない。

五味先生の影響をまったく無しで、カラヤンの演奏を聴けているかについては、
いまでも正直自信が、いささかなかったりする。

そんなカラヤンの、偏った聴き手である私でも、いくつかのディスクに関しては、
カラヤンの素晴らしさを素直に認めている。

私が聴いてきたカラヤンのレコードの数はたかが知れている。
そのたかが知れている数の中から、カラヤンのベストレコードとして私が挙げたいのは、
ワーグナーの「パルジファル」である。

日本にはアンチ・カラヤンの人がいる。
そういう人たちからすればカラヤンのベートーヴェンは……、ということになるし、
おそらくカラヤンのワーグナーに関しても、カラヤンのベートーヴェンと同じ扱いになっていることだろう。

カラヤンの「パルジファル」のレコードが出た時、私は18だった。
若造だった。
「パルジファル」の全曲盤をたやすく買えるわけでもなかった。
五味先生の影響も受けていた私にとって、
カラヤンの「パルジファル」は、狐にとって手の届かない葡萄と同じだったのかもしれない。

カラヤンの「パルジファル」なんて……、と思い込もうとしていた時期が、私にはあった。

Date: 8月 20th, 2013
Cate: 組合せ

妄想組合せの楽しみ(その49・続×七 番外)

今回考えた組合せの、音の中心となるのはウエスギのU·BROS2011Pではないかと想像している。
実際のところ、組合せをつくり音をまとめていく過程で、スピーカーシステムのGX250MGが中心になるのか、
それとも私の想像しているようにU·BROS2011Pになるのかが、はっきりする。

それでもU·BROS2011Pを音の中心に据えて音をまとめていくというのも、ひとつの手法としてある。

では今回の組合せのデザインの中心となるのは、どれなのか。
全体のデザインの統一感はなくとも、どれかひとつ秀でたデザインのモノがあれば、
組合せ全体のイメージがずいぶん変ってくるのだが、
ここでは中心となるモノはない──、そんな気がする。

たとえばデザイン面の統一感を重視してコントロールアンプもCDプレーヤーもアキュフェーズに変更したとする。
システムの半分以上がアキュフェーズになれば、見た目の統一感は増す。
増すけれど、それでアキュフェーズのコントロールアンプなりCDプレーヤーが、
パワーアンプでもいいのだが、これらのひとつがデザインの中心になってくれるとは考えにくい。

アキュフェーズのデザインに関して、高く評価する人は割と多い。
私は、正直、いまのアキュフェーズの一連のデザインに関しては、どこか薄さを感じてしまう。
そのことが、それまで私のなかで積み重なってきたアキュフェーズの印象と少しずつ離れていくところがあり、
このままアキュフェーズのデザインは、この方向で展開していくのだとすれば、
いろいろとおもうところがある。

デザインに関しては、フォステクスのGX250MGもそうだ。
あえて、こういう外観にしているのだろうが、あまりにも魅力に欠ける。

今回の組合せはデザインの中心となるモノがないから、よけいにそれぞれの機器のデザインが気になってくる。

Date: 8月 20th, 2013
Cate: 組合せ

妄想組合せの楽しみ(その49・続×六 番外)

ラックスのアナログプレーヤーといえば、PD121がある。
PD121を知る者、憧れた者には、 現行のPD171のデザインにはついあれこれいいたくなってしまう。
でも、国産のアナログプレーヤーとして、決して高価すぎない、
しかも大きすぎない、大袈裟すぎない製品を、他に見つけることは難しいのだから、黙っておこう。

それでも書いておきたいのは、何も知らずはPD171を見せられたら、
ラックスのアナログプレーヤーとは思えない、ということだ。

価格的なバランスをくずして、もう少し安いところまでみれば、
デノンのDP1300MKIIがある。
そのくらいだろうか。

私の中では、テクニクス、デンオン、ビクターはダイレクトドライヴ御三家だった。
この中でいまもアナログプレーヤーを製造しているのはデノン(デンオン)だけなのは、
時代の流れなのだから、そういうものだと受けとめるしかないのだが、
それにしても、ラックスのPD171、デノンのDP1300MKIIにしても、
せっかく、こういう時代にアナログプレーヤーをつくっているのだから、
いつの時代のアナログプレーヤーなのか、と見る者が判断を迷うようなデザインではなく、
これまでのキャリアがあるのだから、それに見合うだけの洗練したモノが欲しいところである。

アナログプレーヤーと比較すると、CDプレーヤーの選択肢は多い。
国産のCDプレーヤーという制約をつけても、マランツ、デノン、アキュフェーズ、ラックス、エソテリックがある。

これらのモデルであれば、どれを選んでも間違いはない。

こうやって組合せができたわけだが、
組合せをあれこれ考えているときから感じていたことがある。
音のことではなく、組合せ全体のデザインのことである。

Date: 8月 20th, 2013
Cate: 組合せ

妄想組合せの楽しみ(その49・続×五 番外)

ステレオサウンド 185号のベストバイにて、
黛さんがウエスギのU·BROS2011Pのフォノイコライザーについて書かれている。
     *
特にフォノイコライザーは秀逸。鋭すぎず、柔らかすぎることもない中庸を得た音で、空間感もよく表現されている。音には勢いがあり、活き活きとしていて、棚の奥に仕舞い込んであるアナログLPレコードのコレクションをあらためて聴き直したくなるほど蠱惑的な音だ。ヴォーカルの潤いが出色!
     *
U·BROS2011Pを購入対象と考える人は、ある年齢以上の人が多いと思う。
560000円のコントロールアンプを購入できる経済力のある人でも、
20代の若い世代の人が欲しくなるアンプとは思えない。

いくつものコントロールアンプを自分のモノとして使ってきた人こそが、
購入対象として考えるのが、U·BROS2011Pではないだろうか。

そういう人ならばアナログディスクもコレクションも充実していよう。
U·BROS2011Pはフォノイコライザーの音がいいことは、わかった。

だが50万円前後のアナログプレーヤー、
それも日本のモノとなると、これもいつのまにかこんな状況になっていたのかと驚く。

ステレオサウンド 185号のベストバイに選ばれている国産プレーヤーは、
テクダスのAir Force One、
オーディオノートのGINGA 2012、
ラックスのPD171だけである。
Air Force OneとGINGA 2012は600万円をこえる。

PD171だけが条件に合う、ただひとつの国産プレーヤーとなる。

あくまでもステレオサウンド 185号を参考にしているから、
こうなってしまうが、あれこれ調べても結果は大きくは違わないはず。

Date: 8月 18th, 2013
Cate: 組合せ

妄想組合せの楽しみ(その49・続々続々番外)

妄想組合せといって、目的はあり、そして制約をもうけている。
今回の、この組合せでの制約は国産のオーディオ機器で組合せをまとめるということが、ひとつある。

だからパワーアンプも50万円前後の国産のモノということになるわけだが、
いまどんな製品があるのかと参考までにステレオサウンド 185号のベストバイの記事を見ていたら、
ラックスのソリッドステートのアンプがセパレートアンプでは登場していないことに気づいた。

コントロールアンプはCL38u、パワーアンプはMQ88uと、どちらも真空管アンプである。
現行製品でソリッドステートのセパレートアンプがないわけではない。
にも関わらずベストバイには登場していない、ということは、
ラックスのソリッドステートのアンプは、どれも数年前に登場したモノだから、
いわゆる古い製品ということになってしまっているのだろうか。

185号のベストバイの記事を元に、50万円前後の国産のソリッドステートのパワーアンプとなると、
アキュフェーズのみとなってしまう。
ベストバイの記事はほとんど読んでいない(見ていない)ので、
こうやって久しぶりに見ると、ずいぶん様変りしてしまった印象を受けてしまう。

アキュフェーズのパワーアンプきなると、470000円のP4100と600000円のA46がある。
アキュフェーズのアンプだから、こまかな説明は不要だろう。
どちらも選んでも、いい結果が得られると思う。
それでもあえて私が自分で使うアンプとして選ぶならば、A46にする。

A級動作ゆえに出力は45W+45W(8Ω負荷)と大きくはないが、
GX250MGのインピーダンスは4Ωなので、出力は倍の90W+90Wとなる。

この組合せの目的である、音楽を聴くのを億劫がっているときに、音楽を聴きたくなるシステムでは、
出力に不足を感じることは、ほとんどないだろう。

これで組合せのめどが立った。
コントロールアンプはウエスギのU·BROS2011P、
パワーアンプはアキュフェーズのA46、
スピーカーシステムはフォステクスのGX250MG。

実際に、その音を聴いていないとはいえ、この組合せから変な音がするようなことはないはずだ。
もしかすると期待よりもいくぶん落ちるところがあったとしても、
チューニングをしっかりやれば、それは充分にカバーできる範囲に収まるだろう。

あと決めるのはCDプレーヤーとアナログプレーヤーである。
U·BROS2011Pにはフォノイコライザーがついている。
これを活かしたいのだが……。

Date: 8月 18th, 2013
Cate: 組合せ

妄想組合せの楽しみ(その49・続々続番外)

上杉先生は、とにかく刺激的な音を嫌われていた。
そういうところも含めて、フォステクスのGX250MGとウエスギのU·BROS2011Pには、
まったく同じとはいえないまでも、共通した良さはある、と私は見ている。

となると、共通した良さをもつコントロールアンプとスピーカーシステムの間に位置するパワーアンプは、
何を、どういう基準で選ぶのかとなる。

U·BROS2011Pは560000円。
GX250MGも一本あたり476000円。
そうなると、パワーアンプも50万円前後のモノから選びたい。

U·BROS2011PとペアとなるU·BROS2011Mはモノーラル使用で、640000円(ペア)。
コントロールアンプもウエスギなのだから、同じウエスギ同士の組合せは、
いわゆる筋が通るようなところがあり、これは他のメーカーでも、
良くできたセパレートアンプであれば、共通する良さともいえる。

けれどあえてウエスギ以外を選びたい。
とくに、これという理由はないのだけれど、
わたしのこれまでの経験から、
良くできた真空管のコントロールアンプと優秀なソリッドステートのパワーアンプとの組合せは、
なかなかに魅力的な音を聴かせてくれることがある。

例えば聴感上のS/N比。
真空管のコントロールアンプとソリッドステートのパワーアンプの場合、
しなやかな聴感上のS/N比の良さがあるように感じている。
とぎすまされた、洗練さたと表現できる聴感上のS/N比も良さよりも、
ここではしなやかな聴感上のS/N比の良さが合うような気がするからこそ、
純正のペアではなく、他社製のソリッドステートのパワーアンプをもってくる。

Date: 8月 17th, 2013
Cate: 組合せ

妄想組合せの楽しみ(その49・続々番外)

フォステクスのスピーカーシステムGX250MGを鳴らす組合せとしては、
海外製品ではなく、できればすべて日本のモノだけで揃えたい、という気持がある。

GX250MGは952000円(ペア)だから、価格的にも見合った組合せにしたい。
もともとの目的が、音楽を聴くのを億劫がっているときに、音楽を聴くためのシステムなのだから、
億劫がる気持をさらに億劫にしてしまうようなシステムにはしたくない。

電源をいれれば、いつでも安定している。故障もしにくいもの。
本来の音が鳴ってくるまでウォームアップに時間がかかりすぎるものも、ここでは除外する。

アンプで、まず浮んだのは、ウエスギのU·BROS2011Pである。
パワーアンプでなく、コントロールアンプがまず浮んできた。

真空管アンプは、私にとってまずふたつに大きくわけられるところがある。
それは季節感と音に密接な関係を感じさせるかそうでないか、である。

秋から冬にかけて聴きたくなる音をもつ真空管アンプは、
ますます暑くなっていっているように感じる日本の真夏には、聴きたいとは思わない。
そういう真空管アンプの音がある。

その反対に、そういった季節感とはほとんど関係のない音を聴かせる真空管アンプもある。

どちらの真空管アンプが優秀か、ということではなく、
私には、大きく、そういうふたつの真空管アンプの音があるように感じているし、
一般的に、真空管アンプの音として認識されているのは、季節感を感じさせる音のほうかもしれない。

U·BROS2011Pがその点どうなのかというと、おそらく季節感とは関係のない音の真空管アンプだと思う。
U·BROS2011Pはまだ聴いていないけれど、ウエスギ・アンプはこれまでいくつも聴く機会があった。

上杉先生はもうこの世にはおられない。
けれど、上杉先生の真空管アンプに対する考えは、しっかりと継承されているようだし、
そうであるならばU·BROS2011Pの音は、そうなのだと思う。

Date: 8月 16th, 2013
Cate: 組合せ

妄想組合せの楽しみ(その49・続番外)

最近、フォステクスのスピーカーシステムがよくなった、ということう耳にしたり目にしたすることが増えてきた。
数年前から、フォステクスは良くなってきた、という話を聞くようになっていた。

2005年のステレオサウンドの二冊、155号と156号で、ひさしぶりにスピーカーシステムの測定が行われている。
測定器があればアンプの測定はステレオサウンド車内でも行えるが、
スピーカーシステムの測定となると、無響室が最低でも必要になり、
測定には国内メーカーの協力が不可欠である。

155号と156号での測定はフォステクスで行われている。
記事には周波数特性、インピーダンス特性、歪率、指向特性といった基本的なデータのみが掲載されていた。
けれと実際にはそれ以外の項目についても測定を行った、とある。
そうだろうと思う。

これだけの国内外のスピーカーシステムを一度に同条件で測定できることは、
フォステクスにとって、決して小さくはない財産となったであろう、と私は思っている。

このときから、フォステクスのスピーカーシステムは良くなってくるんじゃないか──、
そういう予測は、私だけでなく少なからぬ人がしていたのではないだろうか。

この測定だけがきっかけというわけではないはず。
それでも、その後のフォステクスのスピーカーシステムをみていくと、
この測定がフォステクスにもたらしたものは大きいか小さいかよりも、多岐にわたっているのではないのか。

音楽を聴くのを億劫がっているときに、フォステクスのスピーカーシステムは向いているんじゃないか、
とステレオサウンドをぱらぱらとめくっていて、そう思えた。

ステレオサウンド 185号の特集・ベストバイの記事で、
フォステクスのGX250MGについて、黛さんが
「誰にでも好かれるフレンドリーな音で心を和ませてくれる」と書かれている。
そういえば、このスピーカーシステム、ステレオサウンドグランプリでも選ばれている。

そこにはこうある。
     *
小野寺 メーカーの方に、「仕事に疲れて家に帰ってきて、ふっと音楽を聴くのにいいスピーカーですね」といったら、「それが狙いです」とおっしゃいましたし。
     *
フォステクス GX250MGの音を、まだ聴いていない。
けれど、黛さんの書かれた者と小野寺氏の発言からすれば、
億劫がっているときに、音楽を聴き始めるのに好適なスピーカーシステムのように思えてくる。

実際のところ、どうなんだろうか。

Date: 8月 16th, 2013
Cate: 組合せ

妄想組合せの楽しみ(その49・番外)

妄想組合せの楽しみ」の前回は、そういえば暑い夏の日だったな、と思い出した。
思い出して、続きをかこうと以前のものを読みなおした。
二年前の夏だった。

二年は短いけれど、その間の変化だけをみれば、決して短いとはいえない期間である。
二年前書こうと思っていたことは、多少の変更を加えなければならないかも……、と思いながら、
自分の書いたものをいくつか溯って読んでいた。

その49)を読んでいて、ひっかかった。
黒田先生の
「あきらかに、頭の半分では、音楽をききたがっていて、もう一方の半分では、音楽をきくことを億劫がっていた」
を引用して書いている。

こういうことはたしかに私も経験がある。
こういうときには音楽の選択も難しいし、重要でもあるのと同じように、
レコードで音楽を聴く者にとっては、どういうスピーカーシステムでいうことも同じウェイトをもつことになる。

レコードの聴き手に強いテンションを要求するような音は、億劫な気持をさらに億劫にすることだってある。
しかも暑い夏であれば、よけいにそうかもしれない。

とはいえ、一度聴き始めれば没頭できるのかもしれないが、
とにかく、気持が億劫がっているときに大事なのは、聴き始めることである。
この「聴き始める」を億劫がらずにできるのであれば、それがいい。

そんな気持の時に向いているスピーカーシステムは、いまの時代にあるのだろうか。

Date: 11月 16th, 2011
Cate: 組合せ

妄想組合せの楽しみ(番外・その12)

この組合せで、コントロールアンプの第一候補に考えていたのは、
ゴールドムンドのユニバーサル・プリアンプと呼ばれている、
いわゆるデジタル入出力を備えるコントロールアンプだった。

ただ、こういう商品の性格上、聴く機会がまったくなかった。
ステレオサウンドをはじめオーディオ雑誌でもあまり積極的に採り上げられなかったようで、
信頼できる人による試聴記を読んだ記憶がない。

いったいどんな音をするのか。
それにゴールドムンドのサイトには、新型の情報が公開されていた。
日本にもこれがもうすぐ入ってくるのか、
入ってきたらインターナショナルオーディオショウで聴けるかもしれない……と思っていたら、
今年、ショウ初日に耳にしたことは、
ステラヴォックスジャパンがゴールドムンドの取扱いをやめる、ということとその理由について、だった。

そういわれてみると、ステラヴォックスジャパンのブースに、
ゴールドムンドの製品はMETISシリーズだけが飾られていただけだった。

なので、この組合せは少し変更しなければならなくなった。

どこか他の輸入商社が取り扱うようになるかもしれないが、
そうなったとしても、ゴールドムンドのデジタル・コントロールアンプを聴く機会は、ほとんどないかもしれない。

ゴールドムンドの製品の中で、私がいちばん聴いてみたいと発表されたときから思っていたのが、
デジタル・コントロールアンプの2機種だった。
たしかに特殊な製品といえばそういうことになるだろうが、
果して、ほんとうに特殊な製品なのだろうか、とも思う。

いまデジタル信号処理による音場補整イコライザーの興味深い製品がいくつか登場してきている。
これらを積極的に活用するとなると、デジタル・コントロールアンプの存在はひじょうに魅力的にくる。
D/A変換は、パワーアンプの直前で行なえばいい。
ゴールドムンドのパワーアンプはD/Aコンバーターを内蔵していたり、
搭載できたりできる仕様なのは当然としても、
一般的な従来のパワーアンプでも、D/Aコンバーターをパワーアンプの間近に置けばいい。

いまは、こういう性格のアンプを組み込もうとしたら、まだまだ過渡期ということになって、
それがまだまだ過渡期のまま続いていくような気がしないでもない。

Date: 9月 4th, 2011
Cate: 組合せ

妄想組合せの楽しみ(その48・余談)

暑い暑い夏だけは、ユニゾンリサーチのP70ではなく、
コードのCPM2800も用意して……ということを書いておきながら、
こんなことを書くのも矛盾するような気もしなくはないが、
それでもひとつの暑い夏の、音楽の聴き方のひとつとして実践しているのは、
あえて熱い音楽を、熱い音で、しかもエアコンを止めた部屋で聴く、というのは、いかがだろうか。

こんな聴き方を何時間もやれ、というのではなく、1枚もしくは2枚、すこし大きめの音量が出せるのであれば、
できる範囲内で大きな音を出して、熱い魂の持主の音楽家のディスクをかける。

具体的にはパブロ・カザルス(チェロよりも指揮したもの)、
アルゼンチンのハーモニカ奏者のユーゴ・ディアス(同姓同名のバンドネオン奏者もいるのでご注意)、
そのユーゴ・ディアスと同じアルゼンチンのアストル・ピアソラ、
彼らのディスクを聴く。聴き終わるころには汗をかいているかもしれない。

クーラーという文明の利器があるのに、汗をかきながら音楽を聴くという自由もオーディオにはある。

Date: 8月 31st, 2011
Cate: 組合せ

妄想組合せの楽しみ(その51)

タンノイのヨークミンスターを鳴らすためのアンプとして、ふたつのプリメインアンプを選んだ。
ひとつはユニゾンリサーチのP70であり、これをメインとした上で、
季節感という要素をいれて、もうひとつ、コードのCPM2800を選んでいる。

CPM2800はUSB入力をもち、D/Aコンバーターを内蔵している。
これでCPM2800に録音用端子(つまりREC OUT)がついていれば、
P70でヨークミンスターを鳴らしているとき、CPM2800のD/Aコンバーターのみを使えることになるのだが、
CPM2800のリアパネルをみても、出力端子はスピーカー用のみだけである。
輸入元のサイトでは、このへんが確認しづらい。
リアパネルの写真もあるのだが、拡大してもそれほど大きく表示されるわけでなく、細部が確認しにくい。
結局、CHORD本家のサイトにいって、写真と取扱い説明書を読んだ。

わかったのは、REC OUTはなく、内蔵D/Aコンバーターのみを利用するという使い方はできない、ということ。
私が、ここで考えているのがやや特殊な使い方だから、それができなくてもCPM2800が悪い、ということではない。
でも、CPM2800にかぎらず、いまのコントロールアンプ、プリメインアンプの中には、
テープ関係の入出力端子をないがしろにしているものがぽつぽつ目立つようになってきている気もする。

以前は、フォノ入力の信号を、つまりイコライジングして増幅した信号をREC OUTからとり出すことができた。
つまりそのアンプのフォノイコライザーアンプのみを音を、REC OUTがあれば聴くことができ利用できた。

USBやSPDIF端子も、その意味ではフォノ入力端子と同じであり、
内蔵D/Aコンバーターは内蔵フォノアンプと同じととらえることができるのだから、
REC OUTの復活と積極的利用が可能な構成を、メーカーに望みたい気持がある。

Date: 8月 21st, 2011
Cate: 川崎和男, 組合せ

妄想組合せの楽しみ(その49・補足)

以前使っていたブログ・テーマでは、左側のサイドバーに、最新のコメントが表示されるようになっていたが、
いまのテーマでは、下側に表示されるはずなのに、なぜかできない。
けれど、従来通りコメント欄はあり、それぞれのブログ記事のタイトルをクリックしてもらえば、
そのタイトルの記事単独での表示になり、いただいたコメントともにコメント記入欄を表示される。

コメントをいただいた記事は、日付の下に、1msgとか2msgと表示される。

「妄想組合せの楽しみ(その49)」に川崎先生からのコメントがあった。

そこに「ラジオ(太鼓)」とある。
ラジオ(太鼓)?? となられた方もおられるかもしれない。

ラジオ(太鼓)について興味をもたれた方は、ぜひ川崎先生のブログをお読みいただきたい。

今年3月2日の「新しい部族の太鼓か インターネットラジオというメディア」と
翌3日の「ラジオ聴覚メディアの強さは革新された」の2本だ。

Date: 8月 20th, 2011
Cate: 組合せ

妄想組合せの楽しみ(その50)

クリスティアン・ティーレマンが、いまもっともベートーヴェンの交響曲を聴きたい指揮者である。
なのにCDではフィルハーモニアを指揮した、1996年の第5番と7番だけしかない。

今年初めにインターネット・ラジオ局で聴くことができたウィーン・フィルとのベートーヴェンは、
ほんとうに素晴らしかった。
けれどCDはいっこうに発売されず、6月にDVDとBlu-ray Discが出た。
続いてCDが出るのかと待っているのだけれど、おそらく出ない可能性の方が高いようだ。
となると、ティーレマン/ウィーン・フィルとのベートーヴェン全集は映像つきのものを買うことになる。

テレビのない生活が、テレビのあった生活よりも10年以上長くなっている私にとって、
DVDの音楽モノを観る時は、Macでヘッドフォンを使っての視聴だった。
でもティーレマン/ウィーン・フィルとのベートーヴェン全集だけは、
CDがでない可能性が高いだけにそういうわけにはいかなくなる。

ティーレマン/ウィーン・フィルのDVDなりBlu-ray Discを購入したとしても、
最初だけは映像つきで視聴しても、2回目以降は音だけ、となるはず。
だからホームシアターや本格的なAVシステムを組もうと考えているわけではない。
あくまでも、DVDなりBlu-ray Discの音声信号領域に記録されている音楽をきちんと再生したい、ということである。

となると、いまここで考えている組合せには、すこし積極的にこのことを考えてみたい。

Date: 8月 20th, 2011
Cate: 組合せ
1 msg

妄想組合せの楽しみ(その49)

タンノイ・ヨークミンスターの、ここで書いている組合せに私がもっとも強く求めているのは、
「あきらかに、頭の半分では、音楽をききたがっていて、もう一方の半分では、音楽をきくことを億劫がっていた」、
このことと無縁でいたい、ということだ。

音楽を聴きたがっているのに……、億劫がっている──、
これは黒田先生が「ミンミン蝉のなき声が……」で書かれていることだ。

いまは、ちょうどセミがせわしく鳴いている季節である。
黒田先生が「ミンミン蝉のなき声が……」を書かれたのは、ステレオサウンド 51号だから、
1979年の夏、いまから32年前のことだ。

このとき、なぜ黒田先生が、こういう心境になられたのかについては、
5月29日に公開した「聴こえるものの彼方へ」の電子書籍(ePUB)でお読みいただきたい。

黒田先生の場合には、そういう理由だったわけだが、理由は人それぞれあるだろうし、
季節がかわれば、その理由も変ってくるし、齡によって、音楽をきくのが億劫になる理由は変化していくことだろう。

そういう時は、自分でディスクを選択する、という、この必要な主体性すらしんどく思えることがある。
でも、なにかを聴きたいという気持はあるのに……。

そんなとき、選ぶともなく選んだというか、
スイッチを入れたら突然鳴ってきた音楽がきっかけで、
さきほどまで億劫がっていたことがウソのようにどこかにいってしまうことだってある。

以前だったら、こういう状況はチューナー(ラジオ)だった。
いまでもラジオ放送はある。それに、いまではさらにインターネット・ラジオもある。
日本で受信できるFM局の数なんて比較にならないほど多くのインターネット・ラジオ局がある。
無造作にどこかのインターネット・ラジオ局に選ぶ。音楽が流れてくる。
懐かしい曲のこともあれば、はじめて耳にする音楽のときもあって、そこで「おっ」と思ったときには、
億劫がっていた気持はなくなっている。
そうなると、せっかくだから……、という気持が湧いてくるのがオーディオマニアだろう。