Date: 10月 22nd, 2013
Cate: ワーグナー, 組合せ
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妄想組合せの楽しみ(カラヤンの「パルジファル」・その1)

カラヤンが亡くなって、約四半世紀が経つ。
カラヤンが残した録音の正確な数は、決してカラヤンの熱心な聴き手ではなかった私には、
おおよその数すら知らない。

それにそう多くのカラヤンのレコードを聴いていたわけでもない。
カラヤンのベートーヴェン全集にしても、すべてを聴いているわけではない。

このことには、やはり五味先生の影響が関係している。
五味先生がカラヤンをどう評価されていたのかについては、いまここではあえて書かない。

五味先生の影響をまったく無しで、カラヤンの演奏を聴けているかについては、
いまでも正直自信が、いささかなかったりする。

そんなカラヤンの、偏った聴き手である私でも、いくつかのディスクに関しては、
カラヤンの素晴らしさを素直に認めている。

私が聴いてきたカラヤンのレコードの数はたかが知れている。
そのたかが知れている数の中から、カラヤンのベストレコードとして私が挙げたいのは、
ワーグナーの「パルジファル」である。

日本にはアンチ・カラヤンの人がいる。
そういう人たちからすればカラヤンのベートーヴェンは……、ということになるし、
おそらくカラヤンのワーグナーに関しても、カラヤンのベートーヴェンと同じ扱いになっていることだろう。

カラヤンの「パルジファル」のレコードが出た時、私は18だった。
若造だった。
「パルジファル」の全曲盤をたやすく買えるわけでもなかった。
五味先生の影響も受けていた私にとって、
カラヤンの「パルジファル」は、狐にとって手の届かない葡萄と同じだったのかもしれない。

カラヤンの「パルジファル」なんて……、と思い込もうとしていた時期が、私にはあった。

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