Archive for category 楽しみ方

Date: 9月 6th, 2021
Cate: 楽しみ方

オーディオの楽しみ方(つくる・その41)

自作するオーディオマニアは減っているのだろうか増えているのだろうか。
自作に関する本はいまも出版されているが、
昔とくらべると減ってきているし、
自作記事をメインとする雑誌も数は減ってきている。

ステレオサウンドの読者は、自作なんてしないから──、
そういう人が大半なのだろうか。

誰も実態を調べたりしないから、なんともいえないが、
少なくとも以前のステレオサウンドは違っていた。

以前のベストバイは、読者アンケートを行っていて、その結果を載せていた。
51号(1979年夏号)の読者の現在使用中の装置のところを見る。

スピーカーシステムはヤマハのNS1000Mが、使用台数138、総数比率5.5%、
プリメインアンプはラックスSQ38(歴代モデルをふくめて)、使用台数190の総数比率7.5%、
コントロールアンプはヤマハのC2(a型も含めて)、使用台数275、総数比率15.7%、
パワーアンプはQUADの405、使用台数102、総数比率5.9%で、それぞれの一位である。

けれどスピーカーシステムでは637、プリメインアンプは11、
コントロールアンプは218、パワーアンプは236が自作である。

スピーカーシステムではダントツの一位となるし、
パワーアンプでも405の二倍以上、
コントロールアンプはヤマハのC2には及ばないが、三位のラックスのCL35の倍以上。

プリメインアンプは自作が難しいということがあってだろう、
11という数字はかなり下位である。

とはいえ、コントロールアンプとパワーアンプの自作率は高い。
このアンケート結果だけでは、どんな自作なのかまではまったくわからない。

ただ「自作」という項目があるだけだ。

このころのステレオサウンドのスーパーマニアには、自作の人がけっこう登場していた。
とにかく昔のステレオサウンドの読者も、自作は特別なことではなかったのだろう。

Date: 8月 22nd, 2021
Cate: 楽しみ方

オーディオの楽しみ方(つくる・その40)

オンキョーの10cm口径フルレンジがついていくるムック、
できれば近所の書店で買いたい、と思っていた。

スピーカーユニットが同梱されているムックは、
これまでも音楽之友社から出ている。

そのすべてに注目していたわけではないが、
書店で並んでいるのは目にしている。

だから今回も、書店で買えるものだと思っていたわけだ。
それに地元の書店で買いたい、という気持もある。

けれど私の近所の書店には、どこにもなかった。
繁華街の大型書店に行けば並んでいるのだろうが、
コロナ禍のいま、そこでしか、ということでもなければ、
繁華街はできれば避けたい。

結局、ヨドバシのオンラインで注文して、今日、届いた。
スピーカーユニット二本で、七千円を切る価格。

実物を見る前から、中国生産であろうことは予想できていたし、そうである。
オンキヨーは、いまや工場を持っていないはずだから。

価格が価格なのだから、過度な期待はしていなかった。
実物を手にして、細部をみていくと、
この価格だから仕方ない、という気持と、
この価格でよく出してきたな、という気持とがある。

まだ音は聴いていない。

純セレブスピーカーを作るならば、
ダンボール箱は100円ショップで買ってこようかな、とか、
うまくいったら、以前書いているダンボール製のカホンを使おうかな、とか、
音を聴く前からCR方法をやろうかな、とか、
そんなことをあれこれ考えている。

Date: 8月 15th, 2021
Cate: 楽しみ方

オーディオの楽しみ方(つくる・その39)

今週木曜日(8月19日)に、
オンキョーの10cm口径フルレンジがついていくるムックが、
音楽之友社から発売になる。

振動板にバイオミメティクス技術を採用したもので、
昨年にオンキョーから発表になった、この技術については、
すでに知っている人が大勢だろうから省く。

今回のスピーカーユニットがどういう内容かも、
今年2月に販売の予告がなされていたから、これも省く。

私がオンキョーの製品で購入したのは、PC1だけである。
PC1はスピーカーユニットの極性チェッカーであり、当時8,000円だった。

オンキョーの製品で欲しいとおもったのは、
以前も書いているがプリメインアンプのA722nIIぐらいである。

オーディオマニアの中には、今回のスピーカーユニットが、
オンキョー最後のオーディオ機器になるかも──、そんなことをいう人がいる。

だから記念に買っておこう、ということらしい。
その可能性はあるだろうが、私も今回のスピーカーユニットは買おうと思っている。
記念に買っておこうというわけでもないし、オンキョーというブランドに思い入れもない。

今回のスピーカーユニットを面白いと感じたからだし、
聴いてみたい、と思ったからである。

このユニットが高すぎたら、別にいいや、となっただろうが、安価である。
試しに買ってもみてもいいと思わせる価格である。

私は、これで純セレブスピーカーを試してみようと考えている。

Date: 7月 31st, 2021
Cate: 楽しみ方

オーディオの楽しみ方(その6)

たくましくあるからこそ、細心なのであって、
たくましさを喪失してしまっては、細心ではなく小心でしかない。

小心で、どれだけ楽しめるのか。

Date: 7月 21st, 2021
Cate: 楽しみ方

STUDER A101 + Pass DIY BA-3(その7)

定電圧回路が、必ずしも必要かと問われれば、
そうではない、と答えるのだが、
ACアダプターとして、D/Dコンバーター、スイッチングハブなどの電源の場合は、
定電圧回路の必要性を考えることになる。

定電圧回路は、構成として基準電圧、誤差増幅回路となる。
誤差増幅回路の出力には、制御用のトランジスターがある。

簡単にいえば、制御用のトランジスターは、
パワーアンプにおける出力トランジスターにあたる。

シリーズ型定電圧回路の場合、
制御用トランジスターのエミッターから出力を取り出す。

けれど、アンプ同様、ここもコレクター出力としたほうがいいのではないのか。

Date: 7月 13th, 2021
Cate: 楽しみ方

オーディオの楽しみ方(その5)

たくましさを喪失していくことで、
毒にも薬にもならない音を求めるようになるのかも──、
そんな気がしてならない。

Date: 7月 12th, 2021
Cate: 楽しみ方

オーディオの楽しみ方(その4)

オーディオに限らないのだが、
なにごとも徹底的に楽しむには、たくましくなければならない。

肉体的に、という意味ではなく、人としてたくましく、である。

Date: 6月 23rd, 2021
Cate: 楽しみ方

STUDER A101 + Pass DIY BA-3(その6)

コントロールアンプでも、コレクター出力のモノは、
私が知るかぎりはそう多くはない。

これがパワーアンプになると、もっと少なくなる。
コレクター出力のパワーアンプで、すぐに浮ぶのは、
ミュージカル・フィデリティのA1くらいである。

A1はプリメインアンプで、パワーアンプ部はA級動作で、コレクター出力。
しかもA1のジェームズ・ボンジョルノのアンプと同じく、FETを使っていない。
全段トランジスターである。

初段もトランジスターなので、入力には電解コンデンサーが挿入されている。

いまもA1の音のファンは多い、ときいている。
A1の音には、私も惹かれるものを感じた。

A1のファンの人たちは、A1の音の魅力はA級動作にある、というが、
私はむしろコレクター出力であることが大きいし、
次に全段トランジスター構成ということを挙げたい。

Date: 12月 19th, 2020
Cate: 楽しみ方

待ち遠しい、という感覚(その3)

この項とテーマは、
映画「ワンダーウーマン1984」のことを書きたくて、
というのが理由の半分をしめる。

一年ほど公開が遅れた。
ほんとうに待ち遠しかった。

ワンダーウーマンが、
「バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生」に登場する、というニュースをきいたとき、
なぜワンダーウーマン? 出さなくてもいいのでは? と思っていた。

それは映画を観て、180度変ってしまった。
それから2017年公開の「ワンダーウーマン」を観て、ワンダーウーマンのファンである。

続編を楽しみにしていた。
けれどコロナ禍などの事情で、延びに延びた。
公開延期になった、というニュースをみるたびに、
予告編を見て過ごしていた。

昨晩(18日)、観てきた。
ひさしぶりに公開初日に、映画を観る。

予告編を何度もみては、不思議に思うシーンがいくつかあった。
予告編で、ワンダーウーマンが疾走するシーンがある。
鬼気迫る疾走のようにもみえたシーンは、そういうことなのか、と、
本編を観れば、胸にぐっとくるシーンになってくるし、
不思議に思えたシーンも、納得できる。

観て感じていたのは、公開延期になって、むしろよかったのではないか、ということだ。
映画会社にとっては、公開延期はマイナス面ばかりなのかもしれないが、
われわれ観る側としては、この時期の公開でよかった、と思う。

一年前に公開され観ていたら、DVDを購入してまた観ていたはずだ。

Date: 12月 15th, 2020
Cate: 楽しみ方

待ち遠しい、という感覚(その2)

三年前に、待ち遠しい日があると、子供の時のように、
時間が経つのが遅く感じられる、と書いた。

いまも、そう思っている。
けれど、いまの世の中、スピード社会(古い表現)だから、
待ち遠しい、なんてなくなりつつあるようにも感じている。

映画もそうだ。
私が10代までのころは、ほんとうに日本での洋画の大作の公開が待ち遠しかった。
あのころ、日米同時公開なんて、考えたこともなかった。
半年から一年くらい遅れての公開だった。

しかも、そのころは映画雑誌がいくつもあった。
断片的な情報だけは、それらを読めば入ってくるだけに、よけいに待ち遠しい気持は募った。

話題の映画が、テレビ放映されるのも、かなりの時間がかかっていた。
私の田舎にはロードショー館はなかった。
バスで熊本市内の映画館まで行かなければならない。
そうすると映画の料金よりもバス代のほうが高くなる。

中学生、高校生の小遣いでは、年に数本の映画を観ることぐらいしかできなかった。
だからこそ、テレビ放映も待ち遠しかったものだ。

いまは、すべてがはやい。
日米同時公開はあたりまえになっているし、
ビデオ化も早い。見逃しても、数ヵ月後にはなんらかの方法で観ることができる。

そんなふうにして待ち遠しい、という感覚が稀薄になる、ということは、
余韻がいっしょになくなりつつあるようにも感じられる。

待ち遠しい、という感覚と余韻とは、ひとつであることに気づいた。

Date: 12月 11th, 2020
Cate: 楽しみ方

待ち遠しい、という感覚(その1)

STAR WARS episode IXを観たのは、ほぼ一年前。
一年しか経っていないのに、
ずいぶん経っているような感覚なのは、
私にとっては、つまらない映画だったからなのだろう。

印象がとにかく薄い。
だからずいぶん前に観た感じになっている。

別項で書いているように、
スターウォーズの映画で、はじめて「長いなぁ……」と感じていた。

episode IXは、ひとつの区切りである。
スターウォーズの新作が続くことはすでにニュースで知っていたけれど、
もう観ることはないなぁ、そんな感じになってしまっていた。

スターウォーズの新作は2023年12月公開のニュースがあった。
これだけだったら、なんとも思わない。
そうですか……、といういった感じで、すぐに忘れてしまっただろう。

でも監督がパティ・ジェンキンスである。
「ワンダーウーマン」のパティ・ジェンキンスである。

たったこれだけの情報だけれども、スターウォーズの新作がすごく楽しみになった。
絶対観る、というほどになっている。

三年後である。
三年間、待ち遠しい、という感覚が持ち続けられるわけだ。

Date: 4月 17th, 2020
Cate: 楽しみ方

STUDER A101 + Pass DIY BA-3(その5)

メリディアンの218にバッファーをつけたいだけならば、
BA3だけでいいし、
スチューダーのA101を手に入れたのであれば、
スチューダーのA80のラインアンプの回路をコピーするのもおもしろい、とも思う。

A101とBA3を組み合わせて、一つのアンプにすることは、
私の個人的な興味からでしかない。

それに今回考えているアンプは、
218用のバッファーとしてだけでなく、
ヘッドフォンアンプとしての実験機でもある。

その場合、ボリュウムをどこに設ける。
一般的には入力の位置になる。

ボリュウムがあってラインアンプという構成である。
けれどA101とBA3のあいだにボリュウムをもってきたい。
なのでNFBはA101+BA3といったオーバーオールではかけないことになる。

どこにボリュウムをもってくるかは、
ボリュウムからの信号のリターンの引き回しに多く関係してくる。

富田嘉和氏が、
オーディオクラフトのラインアンプPL1000でやられていることを見習いたい。

Date: 4月 17th, 2020
Cate: 楽しみ方

STUDER A101 + Pass DIY BA-3(その4)

GASのThaedraは、アイドリング電流をたっぷりと流している。
それだけでなく、ラインアンプの出力はトランジスターのエミッターからではなく、
コレクターから取り出している。

エミッターから取り出す方が一般的だし、
出力インピーダンスも、コレクターからよりも低くなる。
それでもボンジョルノはコレクターからの出力を選んでいる。

FETならばソースからではなく、ドレインからの出力ということになる。

たっぷりのアイドリング電流と、
コレクター(またはドレイン)からの出力の取り出し。

この二つの条件にぴったりなのが、BA3(Burning Amp Number Three)である。
出力のFETには45mA流している。
抵抗の値を変えれば、もっと増やすこともできる。

トランジスター、FETにしても電流を大きく流すことはノイズ的には不利になる。
ジョン・カールが設計したディネッセンのJC80は、
ラインアンプの残留ノイズが多かった。

音楽を鳴り始めると気にならなくなるというものの、
ラインアンプの出力段から発生しているノイズなだけにボリュウムを絞った状態でも出る。

出力段に使っているFETとアイドリング電流の多さが原因とのことで、
アイドリング電流を減らした改良モデルも出た。

確かにノイズは減っている。天板の熱さも減っている。
けれど、あれほど魅力に感じたJC80の音は、稀薄になっていた。

BA3も、その点でノイズ的にはやや不利となるだろう。
それでもBA3のアイドリング電流を減らすようなことは、おそらくしない。

Date: 4月 16th, 2020
Cate: 楽しみ方

STUDER A101 + Pass DIY BA-3(その3)

GASのThaedraを使ったことのある人ならば、
かなり発熱するコントロールアンプだとわかっている。

Thaedraのラインアンプの出力段は、
パワーアンプのドライバー段のみのアイドリング電流を流している。
8Ω負荷で、3W程度の出力だった、と記憶している。

実際にロジャースのLS3/5A(15Ω仕様)を鳴らしたことがある。
いまでもLS3/5Aの最上の音として記憶に残っているほどだ。
どんなパワーアンプでも聴けなかったほどの緻密な音だった。

これだけのラインアンプが、ほんとうに必要だろうか。
くり返すが、理屈からいえば、不必要といえる。
特にThe Goldのような入力インピーダンスが極端に高い場合は、そうである。

にも関らず、そんな理屈を吹っ飛ばすかのような音だった。
よく鮮度の高い音を求めるために、コントロールアンプを省略する、ということがある。

そういう鮮度の高さとは違う、鮮度のよさである。
音がとにかくヴィヴィッドである。
そして表情豊かである。

こういう音の得られるアンプを、218の後にもってきたい──、
218を使うようになってから、そう考えていた。

GASのThaerdaをもってくるのが、手っ取り早い。
けれどThaedraの程度のいいモノは、もう極端に少なくなってきている。
それに、ここを読まれている方の参考にならない。

多少なりとも参考になれば……、と考えると、
やる気のある人ならば追試可能なことにしたい。

入手困難なモノ、パーツは使わない。

スチューダーのA101は、入手困難ではないか。
そういわれそうだが、オリジナルのA101は、時々ヤフオク!に出てくる。
さほど高いわけではない。

私は送料込みで数千円程度で入手した。
eBayにも出ている。

それにGoogleで”studer a101″と検索した人ならば、
A101のキットが出ていることに気づかれているはず。
こちらも高価ではない。

それに回路図も公開されているから、キットに頼らずとも自作も難しくはない。
BA3(Burning Amp Number Three)も、プリント基板がアメリカから入手できる。

Date: 4月 16th, 2020
Cate: 楽しみ方

STUDER A101 + Pass DIY BA-3(その2)

こんなアンプを考えるようになったのは、
audio wednesdayで試したいことができたからである。

いまメリディアンの218を使っている。
アンプはマッキントッシュのプリメインアンプMA7900だが、
218を使うようになってからは、パワーアンプ部のみを使っている。

MA7900のコントロールアンプ部はスルーしている。
MA7900にはリアパネルに、コントロールアンプ出力、パワーアンプ入力端子がある。
通常はジャンパーで、この端子が結ばれていて、プリメインアンプとして動作している。

こういう使い方をするようになってから、
MA7900の置き方・場所を変えてみたい、と考えるようになった。
そうなると、218とMA7900との距離がいまの数倍になる。

この間のラインケーブルが、いまは2m弱だが、6m以上は必要になる。
そうなると、218のアナログ段に使われているOPアンプで十分なのだろうか、と思えてくる。

実際のところ試してみないことにはなんともいかないが、
ラインケーブルが長くなれば、それだけケーブルの静電容量は増え、アンプの負担は大きくなる。

とはいえアンプの入力インピーダンスと信号レベルからすれば、
さほど大きな電流が流れているわけではない。
理屈からすれば、負荷として重たいとはいえない。

それでも理屈は理屈であって、これまでの経験からいえば、
それで十分とはなかなか思えない。

以前GASのThaedraを使っていた。
パワーアンプはSUMOのThe Goldである。
どちらもジェームズ・ボンジョルノの設計である。

The Goldのアンバランス入力のインピーダンスは1MΩである。
これだけハイインピーダンスなのだから、ラインケーブルに流れる電流は微々たるものである。

それでもThaedraにした途端に、The Goldが活き活きと鳴り出した。
水を得た魚のようとは、まさにこんな感じの音の変化をいうのかと思えるほどだった。