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Date: 6月 12th, 2020
Cate: 218, MERIDIAN

218(version 9)+α=WONDER DAC(その8)

これで充分かな、と思ったのはほんとうのところだ。
でも、結局は、DALEの無誘導巻線抵抗でターミネーターを作ったら……、
ということになってしまう。

金属皮膜抵抗にしてもタンタル抵抗にしても、DALEよりは安い。
DALEの無誘導巻線抵抗だと、抵抗十二本で、五千円をこえる。

218をversion 9にするのには、さほど費用はかかっていない。
手間がかかっているだけである。

+αは、そこそこ費用がかかる。
コトヴェールのDMJ100BT、iFi-AudioのiPurifier SPDIF、
ルンダールのLL1658にしても、
それからアンカーのモバイルバッテリー、LL1658に施したCR方法の部品など、
計算してみると、意外に使っているな、と感じていた。

それでも、結果に大満足しているのだから、高いとは感じていない。
音を聴けば、払った金額のことは、もう頭にはない。

こうやって書いているから思い出しているだけで、
ターミネーターにしても市販のアクセサリーは、DALEで作った場合よりもずっと高価だ。

DALEの無誘導巻線抵抗を使うほどでもない──、
そんな結果になれば、218を使っている人にもターミネーターの自作を勧めやすくなる。

DALEの無誘導巻線抵抗でターミネーターを作ったのは、
ブログを書き上げてからだったから、夜おそくになってしまった。

とりあえず218に挿すだけ挿して、音を聴くのは明日になってからでもいいや、と思っていた。
でも、とりあえず一枚、というか、一曲だけ聴いて寝よう、と思ったのがいけなかった。

それまでのターミネーターと比較試聴するまでもなく、音がいい。
一度元に戻して、どれだけの違いがあるのかしっかりと把握しておかなければ、という気持は、
この音の前には、どうでもいいことのように思えてしまう。

一曲が一枚になり、さらに二枚になり三枚まで聴いてしまった。

ここでもDALEの無誘導巻線抵抗なのか、という、
私にとっては当り前すぎる結果に落ち着いてしまった。

Date: 6月 11th, 2020
Cate: 218, MERIDIAN

218(version 9)+α=WONDER DAC(その7)

+αは、200Vで終りではない。
その次にやったのは、LAN用のターミネーターである。

メリディアンの218には、四つのLAN端子がある。
一つは使うが、ほとんどの人にとって残りの三つを使うことはない。

これらはメリディアンのアクティヴ型スピーカー用であるからだ。

LAN用のターミネーターは、オーディオ用アクセサリーとして市販されている。
それにGoogleで検索すれば、自作に必要な情報はすぐに得られる。
ハンダ付けがきちんとできれば、失敗することなく自作できる。

使っていないLAN端子にターミネーターを挿すことによる音の変化については、
とりあえずは知ってはいた。

知っていたけれど、試す箇所が、私のシステムにはなかったものだから、そのままだった。
218では試せる。

すでに試したことがあり、その効果がわかっていれば、
最初から抵抗に、DALEの無誘導巻線抵抗を使う。

でも今回は、とりあえずということで、
金属皮膜抵抗とタンタル抵抗を、それぞれ八本ずつ買ってきた。

ターミネーター一つあたり四本の抵抗を使う。
金属皮膜抵抗のターミネーターを二つ、
タンタル抵抗のターミネーターを二つ作って、
あれこれ挿し変えて、どんな感じになるのかを試すつもりだった。

まず一箇所に挿す。
その音の変化を聴いてしまうと、残り二つの端子にもすぐに挿してしまった。

最初は、順列組合せで、
一つの端子、次は二つの端子(これは三通りある)、
最後に三つの端子すべてに、という順序でやるつもりだった。

挿してしまったら、抜きたくない、と心境になり、
結局、どの抵抗のターミネーターを、どの端子に挿すか──、
なんていうことが面倒になってしまった。

同時に、三つのターミネーターの抵抗をすべて違う抵抗にするのはどうか、と考えた。
翌週、また秋葉原に行き、今度はカーボン抵抗を買ってきて作った。

これで金属皮膜抵抗、タンタル抵抗、カーボン抵抗、
三種類のターミネーターをとにかく挿してみた。

これが意外にも好結果だった。

5月のaudio wednesdayに持っていたのは、これである。

Date: 6月 11th, 2020
Cate: 218, MERIDIAN

218(version 9)+α=WONDER DAC(その6)

5月と6月のaudio wednesdayでは、最初から200Vで218を鳴らしていた。

喫茶茶会記は、喫茶室とaudio wednesdayの場となるL Roomは、
壁で隔てられている。

5月の時にも6月の時にも、喫茶茶会記の常連の方がいた。
5月の時にいた人は、「ここもこういう音がするんだ」と感心していた、とのこと。

壁といっても、防音、遮音処理がなされているわけではない。
けっこう音は喫茶室に抜けている。

壁を隔てて聴く音のほうがよくわかるところもある。

6月のときは、セシル・テイラーの「Solo」をかけていた。
喫茶室にいた常連の人(5月の人とは違う)は、
「ほんもののピアノが鳴っている、と思った」とのことだった。

音の浸透力が、100Vと200Vとでは、このくらい違ってくる。

そして、マリア・カラスを聴くと、その違いはよくわかる。
MQA Studio(96kHz、24ビット)でのマリア・カラスは、
どうがんばっても100Vでは聴けないマリア・カラスだった。

どこまでも声がのびる。
決してヒステリックになることはない。
まるで天井がないかのように、声が天へと向っていく。

私だけがひいき目でそう感じたのではなく、
6月2日の音がそうだった。
218はWONDER DACをめざす(番外)」でのことだ。

私のiPhoneに入っているマリア・カラスを、この日も鳴らした。
私を含めて四人いた。
みな、マリア・カラスに圧倒されていた。

20代のころ、私はマリア・カラスをうまく鳴らせなかった。
LPでもCDでも、どちらであっても、もっとすごいはずなのに……、
という思いがつきまとったままだった。

それがいま、こうもあっさりと鳴ってくれる。

Date: 6月 11th, 2020
Cate: 218, MERIDIAN

218(version 9)+α=WONDER DAC(その5)

コトヴェールのDMJ100BT、
iFi AudioのiPurifier SPDIFの次にやったのが、200V駆動である。

2月下旬に、アムトランスにルンダールの絶縁トランスLL1658を注文した。
届いたのはちょうど五週間後だった。

ぎりぎり4月1日のaudio wednesdayに間に合うように届いた。
けれど、コロナ禍のため、4月のaudio wednesdayは5月に延期した。

LL1658もそのまま使うつもりは最初からなかった。
とはいえ、手を加えることでどれだけの音が変化があるのかを自分の耳で確認したかったから、
最初は基本的な使い方・配線をして、しばらく聴いていた。

これまで100Vで218を使っていて、200Vに変更する。
内部配線を変える必要がないのはスイッチング電源の良さの一つだ。

とはいえ、最初は大丈夫かな、と少しは心配になったものの、
音が鳴ってきたきたら、そんな心配は霧散してしまった。

劇的に変化する、という人もいるだろうが、
私はそんな印象は受けなかった。

むしろ基本的な、大事なところがしっかりと変化した、という印象である。
それでも、そのまま使っていると、トランスを介在させることのデメリットも感じなくはない。

一週間ほど使ったあとで、CR方法をLL1568にも試す。
CR方法については、何度か書いているので、省略する。
巻線の直流抵抗は仕様書に載っているので、テスターも不要である。

抵抗はDALEの無誘導巻線抵抗を、
コンデンサーはディップマイカを使った。
どちらも秋葉原の海神無線で購入した。

この効果は大きかった、といえは確かにそうだが、
気にしない人にとっては、どうでもいい変化量なのかもしれない。

LL1658の端子にハンダ付けしながら思っていたのは、
最初から取り付けていたほうが楽だった──、ということ。
CR方法の効果はすでにわかったから、次回からは配線と同時に取り付ける。

218を使っている人たちから、私も200Vにしたい、ということで、
再びアムトランスにLL1658を、今度は五つ注文した。

Date: 6月 11th, 2020
Cate: 218, MERIDIAN

218(version 9)+α=WONDER DAC(その4)

iPurifier SPDIF用の省電力対応のモバイルバッテリーへの充電は、
これも「モバイルバッテリーという電源」で書いているように、
最初に購入したモバイルバッテリーから行っている。

なんかムダなことをやっている、と思われようが、
モバイルバッテリーを介しての充電のほうが、不思議と音がよく聴こえる。

先入観ゆえじゃないか、といわれれば、強くは否定しない。
モバイルバッテリーの充電時間、
使い切るまでの時間などから、厳密な比較試聴は難しいということもあるからだ。

それでも、そんな一手間を面倒だ、と感じないということは、
なんらの音質的メリットをどこかで感じとっているからだろう。

何も感じていなければ、面倒だと思い、やめているはずだから。
結局何がいいたいかというと、
iPurifier SPDIFは電源によってかなり音が変化する、ということだ。

私が使っている省電力対応のモバイルバッテリーは、
アンカー製だが、これがベストなのかというと、なんともいえない。
他にいい製品があるかもしれないし、
省電力対応でなくても、消費電力をなんらかの手段で増すことで対応もできる。

そちらのほうが音がいいかもしれない。

それからこまかなことだが、アンカーのモバイルバッテリーの置き方でも音は変化する。
どちらの面を上にするかで音は変化するし、コネクターは二つあるが、
どちらに接続しても同じ音というわけではない。

このあたりのことは一度セッティングをきちんと行ってしまえば、
特に変更することはない、というものの、安易に使っては安易な音になることだってある。

安易に使うといえば、iPurifier SPDIFは、その寸法の分後に突き出す格好になる。
コネクターはRCAだから、不安定といえばそうだ。
iPurifier SPDIFの下に何かをかませて、片持ちにならないようにする。

たったこれだけのことでも音は変化する。
下から支えるといっても、iPurifier SPDIFや端子にテンションを与えるくらいだと、
逆効果の面も出てくるから、ほどほどにしておいたほうがいい。

いまのところ、iPurifier SPDIFは気に入っている。

Date: 6月 6th, 2020
Cate: 218, MERIDIAN

218(version 9)+α=WONDER DAC(その3)

別項「モバイルバッテリーという電源」で書いていることは、
このiPurifier SPDIF用の電源のことである。

付属のスイッチング電源のiPowerの実力に、ちょっとは疑問を抱いた。
その時、手持ちのモバイルバッテリーが目に入った。

購入したモノではなく、auの長期利用者宛に、ずいぶん前に送られてきたもので、
かなり小型のモバイルバッテリーである。

とりあえず実験として接いでみるぶんには、これでもかまわない。
やってみると、音の冴えが感じられるようになる。

けれど「モバイルバッテリーという電源」で書いているように、
いい感じで聴いていると、わずか数分で電源が切れる。

まず疑ったのは、バッテリーそのものがかなり古いから、ということ。
なので、試しに比較的新しいモバイルバッテリーを買ってみた。

けれど、それでも数分よりも、もっと短い時間で同じ症状を示す。
iPurifier SPDIFの消費電力が少ないゆえの現象なのか、と思う。

facebookでのコメントで、そうであることがはっきりとしたし、
省電力対応のモバイルバッテリーがあることも知った。

立て続けに、別のモバイルバッテリーを購入。
省電力モードで接続すれば、電源が落ちない。

これはいい、と思っていたが、
二時間程度で、やはり電源は落ちてしまう。

それでも二時間持つし、
スイッチを入れ直せば、落ちることなく持続しての使用が可能。
私にとっては実用上問題ない範囲だ。

それでも最初のうちは、バッテリーとiPower、
比率としては半々ぐらいだった。

バッテリーのほうが、すべての面で優れているとはいえなかったからだ。
そうやって使ったり使わなかったりしているうちに、
いわゆるエージングが行われたのか、だんだんはバッテリーが聴く時間が増えてきた。

基本的にはiPowerを接いでいる。
常時、電源を入れっぱなしにしておくためである。

そのまま聴くことはけっこうある。
けれど、聴いているうちに、やっぱりバッテリーにしようと思い、
途中で接ぎかえることになる。

そういう使い方とiPurifier SPDIFの消費電力の少なさから、
一ヵ月経っても、モバイルバッテリーの残量は十分といえるほどだ。

Date: 6月 4th, 2020
Cate: 218, MERIDIAN

218(version 9)+α=WONDER DAC(その2)

コトヴェールの次に導入したのは、iFi AudioのiPurifier SPDIFである。

この手のアクセサリーには関心はあるけれど、
カタログやウェブサイトで謳われていることを素直に信じているわけではない。
iPurifier SPDIFもおもしろそうだな、とは思っていた。

でも手を出さずにいた。
なのに導入したのは、ヤフオク!を眺めていたら、
「お探しの商品からのおすすめ」のところに、iPurifier SPDIFが表示された。
関係してくるようなオーディオ用アクセサリーを、ヤフオク!で検索したことはないのに、
すぐに目に入る位置に表示された。

定価の半額くらいで出品されていた。
この値段で落札できたらいいなぁ、と思っていたら、
私以外の誰も興味をもたなかったのか、その価格で落札できた。

この価格だったら、たいした効果がなくても、少しの間は遊べるだろう──、
そのくらいの気持だった。

効果があるのか、といえば、確かにある。
iPurifier SPDIFが届いてから二日ほどは、使ったり外したりしたが、
それ以降はずっと使っている。

5月、6月のaudio wednesdayにも、
火曜日に行ったAさんのところにも持っていっている。

昨日のaudio wednesdayでは最初から挿しっぱなしだったが、
5月のaudio wednesdayでは、途中から挿したし、
火曜日にも同じように途中で使い始めて、いっしょにいた人たちも音の変化を確認している。

iPurifier SPDIFにはACアダプターが付属する。
スイッチング電源のACアダプターである。

iPurifier SPDIFのウェブサイトには、
《SPDIF iPurifierは5Vで駆動されるので、静かな電源で電力を供給することが不可欠です。そのため、すべてのSPDIF iPurifierは専用のiPower(5V)電源アダプターを同梱して出荷されます。1μVのノイズフロアと同程度のノイズフロアを達成したiPowerは、沈黙に近いほど静かな、新種のDC電源です。消費電力が少なく、低ノイズです。》
とある。

iPowerは、AC極性による音の変化が小さくない。
特にピアノを聴いてみると、かなりの変化が容易に聴きとれる。
だから、質が悪い、とはいわないけれど、
ここでふとバッテリーを試してみたら、どうなるのか、と思った。

iPurifier SPDIFの電源は5Vだ。
モバイルバッテリーがそのまま使える。

Date: 6月 4th, 2020
Cate: 218, MERIDIAN

218(version 9)+α=WONDER DAC(その1)

5月のaudio wednesdayで、
喫茶茶会記の店主、福地さんだけが、メリディアンの218(version 9)+αの音を、
私以外では聴いている。

今週火曜日に、Aさんのところに持ち込んで、私以外に三人が聴いている。
昨日のaudio wednesdayで、さらに数人が聴いている。

聴いた人たちの昂奮が伝わってきた。
もうはっきりと、218(version 9)+αの音は、WONDER DACといえる。

218(version 9)の詳細については、
言葉だけで伝えるのは無理があるし、
その人の力量がわからないことには、どこまで伝えたらいいのか迷う。

そのため、しっかりとわかっている人には教えることにしているが、
ヘタにいじって218を毀しそうだな、と感じた人には伝えないようにしている。

+αに関しては、218の内部をいじるわけではない。
あくまでも外付けに関することばかりである。

まずやったのは、以前書いているように、
LAN用のノイズフィルターである。
コトヴェールのDMJ100BTを使っている。

オーディオ用アクセサリーではない。
いまのところamazonで入手できる。

これも書いていることなのだが、音質面での変化もあるが、
それ以上に使い勝手がよくなった。

iPhoneアプリのIP Controlを起動した際に、
同一ネットワーク上のメリディアンの製品があるどうかを探す。

コトヴェールのDMJ100BT導入以前は、たびたび218を見つけられずに、
もう一度IP Controlを起動する必要があった。

たいした手間ではないのだが、一発で218を見つけて起動してくれたほうが、
精神衛生上いい。

導入してから、四ヵ月ほど使っているが、
これまで218を見つけられなかったことは一度もない。
一発で大丈夫である。

218がすぐには見つけられない現象は、私のところだけではなく、
218を使っている人にきいてみると、やはりそうである。

とにかく、この問題が解消する。
これだけでも、コトヴェールのDMJ100BT導入の価値はある。

Date: 6月 3rd, 2020
Cate: 218, MERIDIAN

218はWONDER DACをめざす(番外)

昨日は、メリディアンの218(version 9)+αを抱えて、
音楽好きの人のところに行っていた。

同世代の女性Aさんは、オーディオマニアではないけれど、たいへんな音楽好き。
先日、ヤマハのプリメインアンプ、A-S2100を購入したのも、このAさんである。

A-S2100と同時に、218も購入。
218(version 9)+αを聴いてみたい、という要望と、
購入した218に手を加えてほしい、ということだった。

218(version 9)+αは、先月のaudio wednesdayで鳴らしたのよりも、
さらに少しだけ進歩している。

手を加えた本人が、いくらよくなった、といっても説得力に乏しいわけだが、
本人としては、別にそれでかまわない。

誰かによくなった、といってもらわなくても、どれだけ良くなっているのかは、
自分で判断できる。

それでも、こうやって持参して、その音を聴いてもらうのは、
音楽をいい音で聴くことに目覚めてほしいからである。

田口スピーカーとであい、田口スピーカーの大型モデルと小型モデルを購入するくらいだから、
その素養はあるわけだが、そこから先に進むきっかけはなかったようである。

ノーマルの218の音に、すでに満足していたところに、
218(version 9)+αを聴いてもらう。

その場で比較試聴するまでもなく、圧倒的に218(version 9)+αはすごかった。
途中で200Vに変更した音も聴いてもらった。

218(version 9)+α、さらに200Vにしてほしい、ということになった。

「良い音で聴く世界にハマった」ということだった。
こういう時間を過ごせるのは、ほんとうに楽しい。

Date: 5月 24th, 2020
Cate: MERIDIAN, ULTRA DAC

メリディアン ULTRA DACと青春の一枚(その7)

「青春の一枚」ということで、
イーグルスの“Hotel California”のCDをかけることになった。

通常のCDなので、ULTRA DACの三種のフィルターを、
それぞれ約一分ほど、まず聴いてもらった。

そのうえで、どのフィルターにするのかを、CDを持参された方にきいてみた。
「音的にはlongかもしれないけど、shortで!」ということだった。

大滝詠一の「DEBUT AGAIN」とは違い、“Hotel California”はかなりの回数聴いている。
それでも、私にとっては青春の一枚とはいい難い。

ロック小僧ではなかった私が、“Hotel California”を知ったのは、
ステレオサウンド 44号、45号のスピーカーシステムの総テストで、
黒田先生が試聴ディスクの一枚として使われていたからだった。

そうでなかったなら、“Hotel California”を聴く機会はもっと遅くなっていたであろう。

CDを持参された方にとっては、“Hotel California”はまさしく「青春の一枚」なのだろう。
“Hotel California”の聴き手としての歴史がずいぶん違う者二人が聴いても、
“Hotel California”はshortの音ということで、一致する。

一致したからといって、二人の聴き手の心象風景が同じなわけではないだろう。
フィルターの選択が違っていたとして、心象風景が違うとも限らない。

誰ひとりとして、自分以外の人の心象風景をのぞきみることはできない。
言葉で表現されたとしても、そこで思い浮べる心象風景がどれだけ同じで違うのか、
それも誰にもわからないはずだ。

メリディアンのULTRA DACで聴くのならば、できるならばMQAで聴きたい、と、
その音をきいたことがある者ならば思うはず。

それでも通常のCDを、
short、medium、longの三種のフィルターを使い分けて聴く行為は、
ひじょうに興味深いものがある。

単にひじょうに音の優れたD/Aコンバーターで、青春の一枚を聴く行為と、
ULTRA DACのフィルターを、どう選択して聴くのか、とでは、
「青春の一枚」といれるディスクであればあるほど、
聴き手のなかに描かれる心象風景に、大きな違いが生じているような気がしてならない。

Date: 5月 7th, 2020
Cate: 218, MERIDIAN

218はWONDER DACをめざす(その17)

手を加えたメリディアンの218を200Vで駆動して、
外付けにいくつかのモノを用意することで、どこまでULTRA DACで聴いた音、
具体的には、ULTRA DACでマリア・カラスの「ハバネラ」の音にどこまで近づけるのか。

昨晩(5月6日)のaudio wednesdayでの「ハバネラ」は、
WONDER DACといってもいいだろう、とそういえるだけの音が鳴ってくれた。

聴いていたのは私と、喫茶茶会記の店主、福地さんの二人だけだから、
信憑性なし、と思われてもかまわない。

井上先生がよくいわれていたことがある。
デジタルは、高いモノも安いモノも基本性能は同じだ、ということだ。

CDプレーヤーが確かにそうだった。
いまハイレゾ時代といわれているが、同じである。
ハイレゾ対応を謳っている機種であれば、基本性能は同じである。

数万円程度で買えるD/Aコンバーターであろうと、
その百倍ほどの高価なD/A今ハーターであろうと、
サンプリング周波数とビット深度によって決る基本性能は同じである。

だからといって、音が同じなわけではないことは、いうまでもない。
音は違う。
けれど基本性能は同じ。
だからこそ、「218はWONDER DACをめざす」というテーマが可能なのだ。

Date: 4月 28th, 2020
Cate: 218, MERIDIAN

218はWONDER DACをめざす(その16・補足)

1996年に出たステレオサウンド創刊30周年別冊「世界のオーディオブランド172」、
その巻頭鼎談の最後のほうでも、菅野先生は、こう語られている。
     *
僕は、21世紀を考えますと、ハイテクとローテクがどう結びついていくかにすごく興味があるわけです。
 それで、今のハイテクの象徴、一般的にそれはパーソナル・コンピューターですね。あんなチャチなプラスティッキーな作りのパソコンにも一流ブランドがあるか? 強いて言えば唯一あります。マック、アップルのマッキントッシュ。マックはほとんどアニミズムみたいに愛されているブランドです。ハイテクとアニミズム、いかにも人間らしい。
 アップル社の創業者たちは、あのブランドを、かのオーディオのマッキントッシュ社に使用権料を払ったほどのこだわったんです。素晴らしいことですよ。僕もあのアンディ・ウォーホールのアップル・マークには惹かれるし、マック・ファンの気持ちもわかりますね。テクノロジーは普遍的であり収斂性あるのみなのに、未発達の古いマックが愛される。奇妙なことです。人間って、奇妙なものですよ本来。
     *
ここでもハイテクとローテクについて語られている。
そしてハイテクとアニミズムである。

Date: 3月 12th, 2020
Cate: 218, MERIDIAN

218はWONDER DACをめざす(その16)

メリディアンの218に手を加えては、その音を聴く。
一ヵ月ほどして、また手を加えては音を聴く──、
こんなことを半年ほどくり返してきながら思い出していたことがある。

菅野先生が、ステレオサウンド 121号、
アキュフェーズのDC300の新製品紹介記事の最後に書かれていたことだ。
《ハイテクとローテクのバランスが21世紀のオーディオを創ると私は考える》とある。

218はハイテクのオーディオ機器といえる。
私が218に加えていることはローテクもローテクといえる。

菅野先生がDC300のところで書かれている「ローテク」が、
私がやっているローテクと、まったく同じなことではないことは承知している。

それでも私がやっているのは、メーカーが量産モデルにはなかなかやらないようなこと、
まさしくローテクであり、いくつかの注意事項さえ守れば、
特に手先が器用でなくとも多くの人が実行できることである。

それでもハイテクだけでは達成できない領域が、オーディオ(音)の世界にはある。
だからこそ、ハイテクとローテクのバランスは、
これから先、ますます重要なこととなるはずだし、
私がここまで218に手を加えてきたことは、
ハイテクとローテクのバランスをとっていく行為といえるかもしれない。

Date: 3月 2nd, 2020
Cate: 218, MERIDIAN

218はWONDER DACをめざす(その15)

メリディアンの218に手を加えるのは、version 9でひとまず終了となる。
version 10の構想はもっているが、実行するつもりはない。

そのかわり218+αを次の手として考えている。
218はWONDER DACをめざす(さらにおまけ)」で取り上げているコトヴェールのDMJ100BT、
これが218+αの第一弾である。

第二弾として、いまあることを試している。
けっこういい感触を得ている。

第三弾は、別項「スイッチング電源のこと」で書いていることと直接関係してくる。
これはあと二週間後くらいに実行に移せそうである。

第四弾は構想だけで、秋葉原に部品を買いに行く必要があり、
まだ試していない。

これらのことは第三弾が間に合えば、
4月1日のaudio wednesdayで行う。

Date: 2月 26th, 2020
Cate: 218, MERIDIAN

218はWONDER DACをめざす(ENESCO PLAYS BACH SONATASを聴く)

五味先生の書かれたものを読んで育った私にとって、
エネスコのバッハの無伴奏ソナタとパルティータは、もう別格の存在である。

とはいえ、エネスコのバッハのオリジナルLPは、一度だけ見たことがあるだけだ。
オリジナル盤がいまほど騒がれていなかったずっと以前のことで、それでも驚くほどの価格だった。
手が届く──、そういう値段ではなかった(いまでは数倍の値段になっているようだが……)。

マスターテープ(アセテート盤)がなくなっている、ときいている。
CDはいくつか出ている。
すべては聴いていないが、いくつかは聴いた。

どれを聴いても、どうにもうまく鳴ってくれない。
エネスコの演奏まで、ダメにしてしまったような感じでしか鳴らない。

エネスコのバッハについては賛否ある。
ボロクソに貶す人もいる。
CDを聴いているだけでは、たしかにそんな評価をする人が出ても不思議ではない。

否定する人のなかには、エネスコのバッハを絶賛する人にもその矛先を向けることもある。
それもわからないわけではない。

でも五味先生の文章を読んできた私は、そんなふうに一刀両断に切り捨てることはできなかった。
機会があるごとに、ふと思い出して取り出して聴く。

そんなことを何度くり返してきたことか。
それでもエネスコの素晴らしさを、心底実感していたとはいえなかった。

オリジナル盤のLPで聴かなければならないのか。

なにかある──、
そんな予感はしている。
その予感は、僅かずつ近づいていっている気もしていた。
そう思い込もうとしていただけなのかもしれない。

今日、ほんとうにひさしぶりにエネスコのバッハを聴いた。
メリディアンの218で聴いていない。
どんな感じで鳴ってくれるのか。

大きな期待はしていなかった。
かけたのは、2000年ごろに入手したCONTINENTALのディスク番号CCD104/5の二枚組。

はじめて、エネスコの素晴らしさだけでなく、凄さを聴けた。