218はWONDER DACをめざす(その16)
メリディアンの218に手を加えては、その音を聴く。
一ヵ月ほどして、また手を加えては音を聴く──、
こんなことを半年ほどくり返してきながら思い出していたことがある。
菅野先生が、ステレオサウンド 121号、
アキュフェーズのDC300の新製品紹介記事の最後に書かれていたことだ。
《ハイテクとローテクのバランスが21世紀のオーディオを創ると私は考える》とある。
218はハイテクのオーディオ機器といえる。
私が218に加えていることはローテクもローテクといえる。
菅野先生がDC300のところで書かれている「ローテク」が、
私がやっているローテクと、まったく同じなことではないことは承知している。
それでも私がやっているのは、メーカーが量産モデルにはなかなかやらないようなこと、
まさしくローテクであり、いくつかの注意事項さえ守れば、
特に手先が器用でなくとも多くの人が実行できることである。
それでもハイテクだけでは達成できない領域が、オーディオ(音)の世界にはある。
だからこそ、ハイテクとローテクのバランスは、
これから先、ますます重要なこととなるはずだし、
私がここまで218に手を加えてきたことは、
ハイテクとローテクのバランスをとっていく行為といえるかもしれない。