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Date: 12月 10th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第十二夜(JBL 4343、ふたたび)

告知しているとおり、
来年1月のaudio wednesdayでは、JBLの4343を鳴らす。

いま考えているのは、一曲目のこと。
11月の4343の時には、コリン・デイヴィス指揮のストラヴィンスキーの「春の祭典」をかけた。

1月の会では、また「春の祭典」でも面白いと思いながらも、
2025年の最初の曲でもあるから、考えている。

1月に最初にかける曲は、2025年の一曲目でもある。
12月の最後にかけるきは、2025年をしめる曲でもある。

この二曲の間に、さまざまな曲をかける。
同じ曲をかけることもある。
今年の12月の会のように、選曲を誰かに任せることもある。

そうやって、いろんな曲を、来年もかけることになる。
2025年は、何曲かかけることになるのか。

そんなことを思いながら、一曲目を考えている。

Date: 12月 9th, 2024
Cate: High Resolution

TIDALという書店(その37)

今年、ROCK(Roon Optimized Core Kit)を導入した。
それからaudio wednesdayでも、CD、SACDを使うことはあったが、
TIDALを使うことの方が多かった。

TIDALの、日本でのサービス開始はまだだから、
契約するには、ちょっとしたことが求められる。
具体的なことは検索すれば、すぐに表示される。

10月23日から、Qobuzが始まった。
なのでaudio wednesdayではTIDALとともに使うようになった。

来年はもっと使うだろう。

audio wednesdayで、なぜストリーミングを使うかといえば、
聴きたい曲がすぐに聴けるからだ。

もちろん、TIDALにもQobuzにもない曲はあるが、
そうとうにさまざまな曲が聴ける。

ここは、とても大事なことだ。
audio wednesdayに来てくれた方が、
会でかけた曲を聴いてみたいと思ったら、
TIDAL、Qobuzを使っていれば、同じ曲がすぐに聴ける。

これがLPやCDだとまだ廃盤になってなくても、
実際には入手困難なことは意外とあるし、
廃盤になっていて中古相場が、かなり高くなっているものは、
audio wednesdayではかけたくない。

そういう盤を持っていることを、
なんとなく自慢げにかけるようなことはやりたくない。

audio wednesdayで鳴らすオーディオ機器は入手困難なモノもある。
だからこそ音楽に関しては、そういうものは避けたい。
だからこれまでもこれからもストリーミングが中心となる。

Date: 12月 8th, 2024
Cate: ディスク/ブック

能×現代音楽 Noh×Contemporary Music(その4)

BOSEの901 Series Vが鳴らす「能×現代音楽 Noh×Contemporary Music」は、
スリリングであっただけでなく、それ以上に美しい。

というよりも美しいからこそ、よりスリリングだったのだろう。

BOSEのスピーカーから、そういう美しい音が鳴るものか──、
そう思っている人が多いと思うが、それも仕方ないこととも思っている。

901シリーズの音を、
きちんと鳴らされている901の音を聴いたことのある人の方が少ないのだから。

現代音楽とは、
作曲家の湯浅譲二氏によると「未聴の音楽」とのこと。
ならば現代音楽を聴くオーディオとは、「未聴の音」ともいえる。

未聴の音で鳴らす(聴く)未聴の音楽。
12月4日の音は、確かにそうだった、と自負している。

Date: 12月 7th, 2024
Cate: ディスク/ブック

能×現代音楽 Noh×Contemporary Music(その3)

12月4日のaudio wednesdayで、選曲者のHさんが最後にかけられて曲が、
青木涼子の「能×現代音楽 Noh×Contemporary Music」。

ちなみに4343を宇都宮から運んできてくれたHさんと、
今回の選曲者のHさんは別人。
二人とも喫茶茶会記からの常連。

「能×現代音楽 Noh×Contemporary Music」を最初に聴いたのは、
2017年1月のaudio wednesdayだった。

1月ということもあって、この時、来てくれたのは東京のHさんだけだった。
私と二人だけだから、「能×現代音楽 Noh×Contemporary Music」の七曲目を何度もかけては、
喫茶茶会記のスピーカーの調整をやっていた。

そして、けっこう詰めていった段階でかけたのが、
エトヴェシュ作曲の「Harakiri」だ。

これは、相当にスリリングだった。
このことがあったから、現代音楽をテーマにするならば、
Hさんに選曲を任せそうと思ったともいえる。

Hさんは、「Harakiri」のコンサートも体験されている。
その上で、「こちらの方(喫茶茶会記での音)が、音がいい」と言われた。

今回のBOSE 901 Series Vでの音は、
私の耳にもHさんの耳にも、さらにいい音であった。

本当に、いい音で鳴った。
青木涼子氏本人に聴いてもらいたい、とも思うほどに鳴っていた。

喫茶茶会記ではCDだった。
今回はTIDALだった。

Date: 12月 6th, 2024
Cate: スピーカーとのつきあい

BOSE 901というスピーカーのこと(その4)

ステレオサウンドを辞めてから、BOSEの901を聴く機会はまったくなかった。

BOSEの901は、オーディオマニアならば、大抵の人が知っているはず。
にも関わらず聴いたことのある人はの割合は、かなり低い。

オーディオ店で見たことはある、という人、
鳴っているというだけの状態ならば、聴いてはいるけども……、という人、
オーディオ雑誌で見ただけ、という人は、多い。

すでに製造中止になっているとはいえ、901はロングセラーモデルである。
なのに聴いている人は、本当に少ない。

そういう私だって、ステレオサウンドで働いていたから、
901を聴けたわけで、そうでなかったら、見たことはあるけれども……、となっていたはず。

聴いてみたかったスピーカーだけれど──、
901は残念なことに、その代表格ともいえた。

私が幸運だったのは、ステレオサウンドで聴くことができただけでなく、
井上先生が鳴らされた901の音を聴いていることだ。

その音を聴いてなければ、
今回のaudio wednesdayで鳴らそうとは思わなかっただろう。

Date: 12月 5th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第十二夜(JBL 4343、ふたたび)

1月8日のaudio wednesdayは、ふたたびJBL 4343を鳴らす。
audio wednesday 序夜は1月10日だった。
瀬川先生の誕生日でもあった。

今年は8日だけれど、瀬川先生が生きておられたら90歳。
なので4343を鳴らす。

また4343を鳴らせるのだから、とにかく嬉しい。

今回は、エラックのリボン型トゥイーターを加える予定でもある。

Date: 12月 5th, 2024
Cate: 1年の終りに……, audio wednesday

2024年をふりかえって(audio wednesday)

1月10日の序夜から始まったaudio wednesday。
序夜での一曲目は、
ピーター・ガブリエルの
“Biko [Live At Blossom Music Centre, Cleveland]”。

12月4日、audio wednesday 十一夜での最後の曲は、
グラシェラ・スサーナの「人生よ ありがとう」。

“Biko [Live At Blossom Music Centre, Cleveland]”で始めて、
「人生よ ありがとう」で終えられて、
私は、これでよかった、と思っている。

Date: 12月 4th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第十一夜(BOSE 901で聴くグラシェラ・スサーナ ・今日)

今日のaudio wednesdayのテーマは現代音楽だが、
18時から19時までの一時間は、グラシェラ・スサーナだけをかける。

Qobuzにするか、CDをリッピングしてUSBメモリーで持っていくか、
どちらかにするつもりでいたが、LPにする。

アナログディスクで、一時間、グラシェラ・スサーナを聴いてもらう。

Date: 12月 3rd, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第十一夜(BOSE 901 Series Vと現代音楽・いよいよ明日)

10月に行う予定だった今回のテーマ。
二ヵ月おくれてやっとできる。

選曲は常連のHさんに任せてしまったけれど、
BOSEの901にエラックのリボン型トゥイーターを組み合わせるだけでなく、
後半からはセンターチャンネルを足すつもりでいる。

使用機材をあげておく。

Speaker System: BOSE 901 Series V
Super Tweeter: ELAC 4PI PLUS.2
Control Amplifier: Marantz Model 7, McIntosh C22
Power Amplifier: Accuphase A20V, McIntosh MC275
D/A Converter: Meridian 218
Streamer: Meridian 210

マッキントッシュのMC275だけでなく、C22も使う。
ただしC22は、まだメンテナンスされていないので、
当日試してみて不調ならば取りやめだが、
うまくいけばセンターチャンネルのスピーカーには、
ウェストレックスの757Aを鳴らす。

どんな音になるのか、非常に楽しみだ。

開始時間は19時。終了時間は22時。
開場は18時から。

会場の住所は、東京都狛江市元和泉2-14-3。
最寄り駅は小田急線の狛江駅。

参加費として2,500円いただく。ワンドリンク付き。
大学生以下は無料。

Date: 12月 3rd, 2024
Cate: きく

『20世紀のうた』〜銘機クレデンザで聴くSPレコード鑑賞会 〜

12月8日(日曜日)、
私がaudio wednesdayを行っている狛江で、
クレデンザで「20世紀のうた」を聴く会が行われる。

ここでのクレデンザとは、
ステレオサウンドの「オーディオ巡礼」の一回目の扉の写真の「クレデンザ」である。

選曲者は、音楽評論家の湯浅学氏と、作家のいしいしんじ氏。

詳細は下記のリンクから。
『20世紀のうた』〜銘機クレデンザで聴くSPレコード鑑賞会 〜

Date: 12月 2nd, 2024
Cate: 名器

名器、その解釈(JBL 4343の場合・その1)

先月のaudio wednesdayでのJBL 4343の音を聴き終ってからも、
あれこれ考えることがある。

ソーシャルメディアを眺めていると、
このスピーカー(アンプ)は名器だ、という投稿が、よくある。

こちらからすると、それもあれも名器? といった感じだし、
名器も安っぽくなってしまった、としか言いようがない。

愛用するオーディオ機器は名器と呼ばれるモノであってほしいのか。
そんなことも思ったりする。

ステレオサウンド 50号では、
「栄光のコンポーネントに贈るステート・オブ・ジ・アート賞」をやっている。
旧製品のステート・オブ・ジ・アート賞である。

この企画で取り上げられている機器は、
確かに名器といえるものばかりだ。

この50号を高校生の時に読んでいるのだから、
名器の基準ともなっている。

こういうモノが名器だ、と素直に思える。
そういう私からすると、いまの名器の使われ方は、
ただただ安っぽい。

こういうことを書くと、趣味の世界なのだから、
好き勝手でいいじゃないか、という人がいる。

逆ではないのか。
趣味の世界だからこそ──、と私は言いたいわけだが、
本題は、では4343は名器なのか、と問われれば、
多くの人は、名器というだろう。

でも私にとってはちょっと違う。
優れたスピーカーだと思っているし、
オーディオ機器として一流品とも思う。

そしてなによりも、いまでも欲しい。

それでも名器なのか、と問われれば、
少し違う、というのが私の本音だ。

Date: 12月 1st, 2024
Cate: アナログディスク再生

私にとってアナログディスク再生とは(SME 3012-R Special・その7)

東京に来て、最初に買ったオーディオ機器はSMEの3012-R Specialだったことは、
すでに何度か書いているし、ステレオサウンド 62号の編集後記にも書いている。

しばらく3012-R Specialだけが、手持ちのオーディオ機器だった。
そのころ、ターンテーブルはどれを組み合わせる、
そのことばかり考えていた。

3012-R Specialを思い切って買うきっかけは、
瀬川先生による新製品紹介記事であり、
そこではマイクロのSX8000との組合せだった。

なので、音だけで選ぶならSX8000なのだが、
そう簡単に買えるモノではないし、それにカッコイイわけではなかった。

3012-R Specialにふさわしいのは、どれなのか。
ガラードの301なのか、トーレンスのTD124なのか。

どちらにしようか、かなり真剣に考えてもいた。
心はかなりTD124に傾いていた。
TD124にロングアームは、さほど似合わないのはわかっていても、
TD124単体のまとまりの良さは、なんとも魅力的だった。

そんなことを先輩編集者のSさんと話していたら、
TD124の程度の良いものがあるよ、と教えてくれた。
かなり心は動いた。

結局、トーレンスの101 Limitedを買ってしまい、
TD124を自分のモノとすることはなかった。

それでもTD124を、どこかで見かけるたびに、
やっぱりいいなぁ、と思う。

いま私のところにはTD224がある。これでいい。
TD124への憧れのようなものは、ほぼ消えていった。

そんなところへ、昨日、TD124が動かないから、来てみてほしい、と連絡があった。

今日、行ってきた。
電源が入らないTD124がある。

電源から辿って一つひとつチェックしていって、
割とすんなり動くようになった。
気になる異音もない。

とはいっても完全な状態とはいえないので、
後日また手入れすることになるが、
静かにまわるターンテーブルプラッターを眺めていると、
あらためてTD124はいいなぁ、と思っていた。

今回のTD124は、124IIではないから、
製造されてけっこうな年月が経っているにも関わらず、
動き始めると何事もなかったように、
年月など関係ないように動作しているのをみると、
基本がしっかりしたモノは、すごいとしか言いようがない。

TD224を、まじめにメンテナンスしよう。

Date: 11月 30th, 2024
Cate: 使いこなし

セッティングとチューニングの境界(その30)

以前から、オーディオには三つのingがあり、
セッティング(setting)、チューニング(tuning)、エージング(aging)であり、
この三つのingをごっちゃにすることなく、
常にその境界を意識していくことが、いつかは訪れる──、
何度も書いていている。

この項の(その27)では、
セッティングに深く関係してくるのは精度、
チューニングに深く関係してくるのは練度、と書いた。

エージングに深く関係してくるのは、熟度だろう。

精度、練度、熟度。
こんなことを考えなくても、意識しなくても、
オーディオはやれる──。

そういう声があり、むしろそういう声の方が多いのかもしれないと思いながらも、
私はそういう態度でいようとは思っていない。

Date: 11月 29th, 2024
Cate:

いいじゃないの幸せならば

グラシェラ・スサーナの訃報。
ここ数日はグラシェラ・スサーナの歌をいくつか聴いていた。
なのになぜか今回は聴いていない歌が、頭の中で繰り返し響いている。

「いいじゃないの幸せならば」が響いている。

「いいじゃないの幸せならば」は、
佐良直美が1969年のレコード大賞を受賞した曲だから、
テレビから流れていたのを聴いていたのかもしれないが、
私にとっての「いいじゃないの幸せならば」は、
グラシェラ・スサーナの歌である。

聴いたのは中学生の時だ。
歌詞、その退廃さといっていいのだろうか、
それを中学生が理解していたとは言えないが、
グラシェラ・スサーナの「いいじゃないの幸せならば」は、重く湿っていた。

なぜ、訃報後聴いていないのに、「いいじゃないの幸せならば」なのか。

それは、これを歌った十数年後のグラシェラ・スサーナ自身の歌ともいえるからかもしれない。

ソニーミュージックから発売になったスサーナのアルバムは、
スサーナ一人の歌唱ではなく、
お世辞にもプロの歌手とは言えない女性と一緒のものだった。

なぜ? と東芝EMIのころからスサーナを聴いてきた人ならば、
そう感じ思っただろう。

でも、グラシェラ・スサーナが、
結婚相手から家庭内暴力を受けていたことを、
いまは知っている。

だから、「いいじゃないの幸せならば」が鳴ってきたのか、
単なる偶然なのか、その辺のことはなんともいえないが、
スサーナ自身は、どうだったのだろうか。

Date: 11月 28th, 2024
Cate: 異相の木

「異相の木」(好きな音と正しい音・その2)

「趣味なんだから……」、
昔から、そしていまもソーシャルメディアでよく見かける。

「趣味なんだから……」につづくのは、ほとんどの場合、
好きに関することだ。
趣味なんだから好きにやらせろ、
趣味なんだから、好き嫌いだけでいいんだ、とか。

「趣味なんだから……」は、免罪符なのか。
そういっていれば、オーディオは楽しいのか──、と私は昔から思っている。

オーディオは録音と再生の約束事が守られていることが、大前提である。
「趣味なんだから……」と、すぐに行ってしまう人は、
この約束事すら無視するのか。

そして、ここでも孔子の論語を引用したくなる。
ついこの間、別項で引用したばかりだか、その別項とも関係してくる。

子曰く、
吾れ十有五にして学に志ざす。
三十にして立つ。
四十にして惑わず。
五十にして天命を知る。
六十にして耳従う。
七十にして心の欲する所に従って、矩を踰えず。

《七十にして心の欲する所に従って、矩を踰えず。》、
ここである。

「趣味なんだから……」と、そこに留まっていたのでは、
《七十にして心の欲する所に従って、矩を踰えず》の域には、
到底辿り着けない。