カセットテープとラジカセ、その音と聴き方(エルカセットのこと)
来年で、「五味オーディオ教室」と出逢って五十年になる。
だから、けっこうな数のオーディオ機器の音を聴いているわけだが、
それでもタイミングというか、聴く機会がなかったもこもけっこうある。
1976年に登場したエルカセットが、その一つだ。
オープンリールテープと同じ1/4インチ幅のテープを、
カセットテープと同じようなハウジングに収めたもの。
オープンリールテープ並みの音と性能を、カセットテープの扱いやすさで、ということが謳い文句だった。
かなり期待された規格だったはずだ。にも関わらず短命だった。
実機を見たことはあるが、聴いたことはない。
エルカセットテープを手にしたこともない。
何の実感も持たずに、エルカセットは消えていった。
でも、ふと思うことがある。
エルカセット登場の三年後にソニーからウォークマンが出た。
ウォークマンが世に出なかったら、エルカセットはもう少し生き延びたのか、と。