サイズ考(その43)
いつのころからか、信号系からトランスを排除する方向が主流となってきた。
良質のトランスは高価なことが多い。もちろん安価でも優れたトランスはあるし、
高価で、見た目も、立派なシールドケースに収められていても(むしろ、そのことがアダになってか)、
さほどトランスを信号系に挿入するメリットを感じさせてくれないものも、ある。
それにトランスは、伊藤先生の言葉を借りれば、
生き物だから、他のパーツ以上に、気難しい面ももっているように感じている。
もっとも安価なトランスでも、トランジスターやFETとくらべるとずっと高価だし、
いまではOPアンプで簡単に代用できるとこも多いので、
そうなると、トランスの使用はそうとうなコスト高になっていく。
そういう価格的なデメリットと、性能的にも、指の爪ほどのサイズのOPアンプ(価格も安いものだと100円以下)が、
NFBのおかげで、トランスよりもずっとワイドレンジな周波数特性をもっている。
その他にもトランスが使われなくなってきた理由は、いくつか挙げられるが、
とにかくコントロールアンプで、最終段にトランスをしょっている市販アンプは、皆無に近い。