Mark Levinsonというブランドの特異性(その57)
ずっと考えていたことがある。
初期のマークレビンソンのアンプ、いいかえると回路設計にジョン・カールが携わっていたアンプ、具体的にはJC1、 JC2、LNP2、ML2といったアンプ。
これらとトム・コランジェロが回路設計に携わったアンプ、ML3、ML7、それ以降のアンプ。
明らかに音が違う。
黒田先生は、 ML7以前のマークレビンソンのアンプの音には、ナルシシズムを感じる──、ステレオサウンド 59号で、そのような主旨のことを書かれている。
ML7からは、ナルシシズムが感じられない、とも書かれている。
納得できると、黒田先生の文書を読んでそう思いながらも、完全に納得できていたわけでもなかった。つねに、ほんとうに初期のマークレビンソンのアンプの音にはナルシシズムがあったのか、と腑に落ちないところもあった。
ここにきて、やっと私なりの結論が見えてきた。
初期のマークレビンソンのアンプにあったのは、少なくとも私が感じたのは、しかもそれを他のアンプにはない魅力と感じたのは、マーク・レヴィンソン自身の飢餓だ、と。
その飢餓が、トム・コランジェロと組んでからのアンプからは感じとれなくなった。