サンスイ EC10がやって来る(その1)
スピーカー自作ブームというのが、確かにあった。私がオーディオに興味を持ち始めたら1970年代の後半はそうだった。
スピーカー自作のムックがいくつか出ていたし、スピーカーユニット、エンクロージュア、その他のパーツなども、いろいろ揃っていた時代だった。
ステレオサウンドから、その頃出ていたHIGH TECHNIC SERIESも、二冊目のMCカートリッジの号以外は、スピーカーの自作をメインテーマとしていたといえる。
別項でも何度も何度も書いているが、HIGH TECHNIC SERIESの一冊目はマルチアンプがテーマだった。瀬川先生提唱のフルレンジユニットから始める4ウェイシステムの構築が載っていた。
フルレンジだけで鳴らす。それからトゥイーターを足す。次はウーファーを足し、最後にフルレンジとトゥイーターの間にミッドハイを足して4ウェイ化するというもの。
瀬川先生は、ずいぶん前に、このフルレンジから最終的な4ウェイの案を発表されていたが、私にとっては、HIGH TECHNIC SERIESが最初だった。
JBLから4343がすでに出ていて、高い評価を得ていただけでなく、ヒットしていた時代でもある。4343に憧れながらも、高校生にとって手が届く4343ではなかった。それでも4343への憧れ、そして4ウェイへの憧れは大きくなっていた。
その頃である、サンスイが当時輸入していたJBLと共同開発したエンクロージュア、ECシリーズを出してきたのは。
このECシリーズは、エンクロージュアを自作しなくても、瀬川先生のフルレンジからの4ウェイを、実現できるための出てきた──、そんなふうにも捉えていた。