トーンアームに関するいくつかのこと(リニアトラッキング型・その3)
私が初めて聴いたリニアトラッキング型トーンアームを搭載したプレーヤーは、テクニクスのSL10だ。
レコードジャケットサイズの、このアナログプレーヤーは話題になった。多くの人が、欲しいと思ったであろうSL10は、私も短い期間ではあったが所有していた。
サブのアナログプレーヤーとして、恰好のモデルといえた。持っていた方がよかったかなぁ、とは思っていない。譲ってほしいという人がいたから、手放した。
それでよかったと思っている。SL10のサイズは、邪魔になるわけではないから、使わなくてもそのまま持っているだけで終ってしまいそうだったからだ。
リニアトラッキング型トーンアームといっても、SL10はサブ的なポジションであった。本格的なアナログプレーヤーに搭載されたリニアトラッキングトーンアームを聴いたのは、ステレオサウンドの試聴室での、ゴールドムンドのReferenceだった。
当時はトーレンスのReferenceとほぼ同じ価格だった。
“Reference”の名を持つアナログプレーヤーが、もう一台登場した。
トーレンスはEMTの929トーンアーム、ゴールドムンドは電子制御のリニアトラッキング型。
型番こそReferenceと同じであっても、雰囲気はまるで違っていた。
トーレンスのReferenceは、熊本にいた時に聴いている。瀬川先生が、最後に熊本に来られた時に、聴いている。
この時の音は別項で書いているので詳細は省くが、ほんとうに凄かった。
その音がまだはっきりと記憶に残っていたからこそ、ゴールドムンドのReferenceにも期待していた。
しかもゴールドムンドはリニアトラッキング型トーンアームだ。
ゴールドムンドのReferenceを聴いて、私はリニアトラッキング型トーンアームへの特別な想いは、捨て去った。