バスレフ考(その10)
アルテックの620Aと620Bは、エンクロージュアは基本的に同じといえるけれど、バスレフポートの位置と向きが違う。
実際に測ったわけではないが、開口部の寸法は同じだろう。
だとすると620Aと620Bを比較試聴すれば、バスレフポートの位置と向きの違いによる音の変化はどうなるのかを、ある程度は探れる──、となるのか。
私は620Aと620B、どちらも聴いているが、同じ環境で聴いたわけではないから、確かなことは何も言えない。
この点について、多少なりとも書かれている(語られている)のは、ステレオサウンド別冊「コンポーネントステレオの世界 ’80」での岡先生の組合せがある。
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岡 単純かつ明快にいえることで、ミッドパスの下のほう、というよりも、低音の上のほうの音が、まったく欠落した感じで、量感がなくなってしまったわけです。エンクロージュアの問題もあるだろうし、ユニットのf0そのものにも多少かかわっているのでしょうが、604Eから8Gにかけての製品がそなえていた低域の量感が、どうしても聴かれなかったんですよ。
それから、マンタレーホーンをつけたことによって、高域がややおとなしくなったと思います。ここのところは、よしあしではなく、好みの問題になるでしょうが、この620Bモニターになって、アルテック独特の高域の輝かしさ、スカッとした感じの音色が、かなり薄くなったと思います。
高域の輝かしさが薄れて、おとなしくなったということは、ある意味では、高域のクォリティがそれだけ向上した、といえるでしょうけれど、問題はそれに見合う中低域が、エネルギー的に若干弱くなったのです。これはユニットそのもののせいもあるかもしれないけれど、ぼくはそれよりもむしろ、バスレフのダクトをタテ長にしたことに理由があるように思います。そのために、低域の、いいかえると低音楽器の低次倍音が出るあたりが、エネルギー的に弱くなってしまったのでしょう。そこで、なんとかならないかというもどかしさを感じるし、まったくアルテックらしからざる音だという感じがするわけです。ことにこの試聴室では、そのへんのところがとくに目立ってしまうんですね。
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620Aと620Bとではスピーカーユニットも違う。同じアルテックの同軸型とはいえ、604-8Gと604-8Hではホーンが、マルチセルラからマンタレーになり、ネットワークも、2ウェイ型なのに3ウェイ的なレベル調整が可能なタイプになっている。
それにフェイズプラグも変更されている。ただし604-8Gも後期モデルはタンジェリン型になってたりする。
中高域の鳴り方が変化すれば、下の帯域の鳴り方も変ることは、オーディオマニアならば体験していることだから、620Aと620Bの音の違いは、そう簡単には語れないとはわかったうえで、岡先生の言われていることは、読んだ時から気になっていた。