My Favorite Things(オープルリールデッキ篇・その7)
オーディオに興味を持ち始めたのは中学二年の秋だった。このころの私は、中学の先生になることを考えていた。
父が英語の教師だったことも関係しているし、長男だから家を継ぐことも考えてのことだった。
それに喘息持ちということも東京に出て行こうとは、全く考えていなかった。小学生のころに観た映画「ゴジラ対ヘドラ」は衝撃だったし、東京に住んだら喘息はひどくなるだけじゃないか──、そんなこともあって、ずっと熊本で暮らしていくんだろうな、とぼんやり思っていた。
そんな将来で、オープンリールデッキを持って、何を録音するのか、と考える。
マーク・レヴィンソンの考えは賛同できる。日本では高城重躬氏、金田明彦氏が同じ考え、近い考えをもっての実践者といえる。
金田明彦氏は、マイクロフォンアンプからテープデッキのアンプを含めて、再生系全てのアンプをDC化された。
高城重躬氏は、自身のリスニングルームにスタインウェイのグランドピアノを置かれ、そこでの演奏を録音して再生することでの原音再生の一つを試みられていた。
高城重躬氏の場合、そこで得られたことで、ゴトうんユニットの改良へとつながっていた。
高城重躬氏のやり方は、正しいように思う人も多いようだが、録音時にリスニングルームにスタインウェイのピアノがあることは、わかる。
けれど再生時にも、そこにあるということは、スピーカーからの音とスタインウェイのピアノとが常に共鳴しているわけで、同一空間での録音再生で、原音再生を追求していくのであれば、再生時にはスタインウェイのピアノはリスニングルーム外に出しての音で判断すべきである。