直熱三極管(その2)
真空管について、全く知らないわけではなかった。
私が通っていた小学校の各教室には、ラジオがあった。
古いラジオで、真空管式だった。
私が幼い頃は、テレビもそうだった。
なのでオーディオに関心を持つ前から真空管は、身近といえばそうだった。
とはいえ真空管について詳しく知っていたわけではない。
傍熱管と直熱管があるのも知らなかった。
直熱管を知ったのはオーディオからである。
最初に知った直熱三極管は、2A3だった。
ウェスターン・エレクトリックの300BやシーメンスのEdを知るのは、もう少し後のことだ。
2A3を知ったとはいえ、傍熱管よりも直熱管の方が音がいいみたいだ──、その程度だった。
私が中学生、高校生だったころのラジオ技術や無線と実験の誌面に2A3は、よく登場していた。
いまとは違い、300Bはあまり登場していなかった。
あの頃、直熱三極管といえば2A3が、もっともポピュラーな存在だったけれど、
なぜか2A3を使ったアンプを聴く機会は、これまで一度もなかった。