audio wednesday (next decade) – 第五夜・選曲について
「今日はカザルスはかけないんですか」
5月26日の野口晴哉記念音楽室レコード鑑賞会で、そういわれた。
「今日はかけないんです。でもaudio wednesdayでは必ずかけます」
とこたえた。
「行きます」と返ってきた。
私に直接いってきた人は一人だけだったが、
他にも数人の方が「カザルスはかけないんですか」といわれていた、とのこと。
6月5日のaudio wednesdayは、
ウェスターン・エレクトリックの757Aでのモノーラル録音のモノーラル再生。
カザルスももちろんかける。
そしてジャクリーヌ・デュ=プレのバッハもかける。
デュ=プレがBBCに残した録音がCDとして世に出たのは、いまから三十年以上前。
デュ=プレはどうしてバッハを録音しなかったのか──。
デュ=プレの演奏にふれたときから、ずっーとそう思い続けてきた。
だから、やっぱり残っていた(録音していた)。
そのことを喜ぶとともに、年代的にはステレオ録音でもおかしくないのに、
モノーラル録音だったことに、すこしばかりがっかりした。
デュ=プレが残したバッハは一番と二番のみ。
全曲ではないけれど、聴ける、というそのことに感謝しかない。
757Aの音を聴くまでは、なぜモノーラルなの? だったのが、
いまではモノーラルでよかったかもしれない、と思い直している。
6月5日、カザルスとデュ=プレ、ふたりのバッハをかける。