アキュフェーズがやって来た(その2)
アキュフェーズの製品がやって来たことは、すでに書いている。
いずれの機種も2000年、もしくはそれ以前の機種である。
二十年ほど前に開発された機種である。
最新のアキュフェーズの音は、
インターナショナルオーディオショウで聴ける、といえば、たしかに聴けるわけだが、
試聴室でじっくりと聴いた、というレベルでは当然なくて、
あくまでも聴いた、ということでしかない。
その意味で、私にとって、二十年ほど前のアキュフェーズとはいえ、
じっくり聴けるわけだし、アキュフェーズの音だけというわけでもなく、
手持ちの他のブランドのモデルともじっくり比較できる。
そんなことを思っていたら、
アキュフェーズの製品の音は、私にとって、一つのリファレンス的といえるのか、
そういう自問が生じてきた。
私が働いていたころのステレオサウンドの試聴室で、
アキュフェーズの製品は、CDプレーヤー、コントロールアンプ、パワーアンプ、
いずれもリファレンス機器として使われていた。
自然とこちらの意識も、リファレンス機器として見るように(聴くように)なっていた。
このことが一般的なのかどうかは、私にとってはどうでもいいことで、
私にとってはアキュフェーズの製品の音とは、そういう存在であった──、
そのことが重要なことであり、そういえば──、と思い浮べるのは、
瀬川先生の文章である。
*
以前B2と組み合わせて聴いたC2だが、パワーアンプが変ると総合的にはずいぶんイメージが変って聴こえるものだと思う。少なくともB3の出現によって、C2の本当に良い伴侶が誕生したという感じで、型番の上ではB2の方が本来の組合せかもしれないが、音として聴くかぎりこちらの組合せの方がいい。B2にはどこか硬さがあり、また音の曇りもとりきれない部分があったがB3になって音はすっかりこなれてきて、C2と組み合わせた音は国産の水準を知る最新の標準尺として使いたいと思わせるほど、バランスの面で全く破綻がないしそれが単に無難とかつまらなさでなく、テストソースのひとつひとつに、恰もそうあって欲しい表情と色あいを、しかしほどよく踏み止まったところでそれぞれ与えて楽しませてくれる。当り前でありながら現状ではこの水準の音は決して多いとはいえない。ともかく、どんなレコードをかけても、このアンプの鳴らす音楽の世界に安心して身をまかせておくことができる。
*
「世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)」での、
ヤマハのC2とB3の組合せの試聴記である。