9月27日
1932年9月27日は、菅野先生の誕生日である。
菅野先生の80代の音、90代の音というのを想像してしまう。
どんな音を出されたのだろうか。
2008年だったか。
菅野先生が「痴呆症になった時の音に興味がある」といわれた。
老人性痴呆症になったときに、自分はどういう音を出すのか。
それにいちばん興味がある、ということだった。
それは空(カラ)になった音なのだろうか、といまは思う。
オーディオの勉強をして、いろんな音を聴いて、
いろんな工夫をして音を出していく。
そういう行為を、何十年も重ねていけば、
経験が、知識が、ノウハウが、その人のなかに積み上っていく。
だから「音は人なり」なのか、というと、
実のところ、そういったものすべてを捨て去って、
つまり空っぽになって出てくる音こそが、ほんとうの「音は人なり」なのではないか。
ここ数年、そう考えるようになってきたし、
菅野先生がいわれたことを思い出している。