Cantate de l’enfant et de la mere Op.185(その2)
聴きたい、とおもうときには、聴けないことが多かったりするものだ。
そういうものだ、となかばあきらめていた。
それでもAmazon Music HDを使い始めたのだから、
こっちでも、検索してみよう、と思った。
すんなり見つかった。
五味先生が聴かれていたのと同じである。
私がずっと以前に手離したのと同じ、
ミヨー夫人による朗読の「子と母のカンタータ」である。
素晴らしい時代を迎えつつある、という感触がある。
ほぼ三十年ぶりに聴いた。
あのころは、ミヨー夫人の朗読が心に沁みてくるという感じではなかったけれど、いまは違う。
五味先生の個人的事情と私の個人的事情とではずいぶん違うけれど、
三十年のあいだに、いろんな個人的事情はあった。
そんなことがあったから、「子と母のカンタータ」が聴きたくなったのだろうし、
いま、こうやって聴くことができて、よかった。
あいかわらずミヨー夫人が、なにを言っているのか、まんたくわからない。
けれど、あのころと違って、インターネットがある。
インターネットがあるからこそ、こうやって「子と母のカンタータ」が聴けているわけで、
「子と母のカンタータ」の詩を検索すれば、きっとすぐに見つかるだろう。
翻訳も見つかるもしれない。
見つからなかったとしても、いまはDeepLという翻訳サイトがある。
そこを使えば、日本語に訳してくれる。
そこにかかる労力はわずかなものであり、
やろうとおもえばすぐにできることだ。
でも、知らないままでいいのかもしれない、といまはおもっている。
《音楽のもたらすこの種の空想》、
そのためにあえてやらないことだってある。