Date: 4月 6th, 2019
Cate: MERIDIAN, ULTRA DAC
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メリディアン ULTRA DACと青春の一枚(その5)

何枚かのディスクをかけたあとで、もう一度「DEBUT AGAIN」を鳴らす。
ULTRA DACでの通常のCDをかけるときは、フィルターを三通り聴くことになる。

short、medium、long、どれにしてもたいして音が変られなければ、
さほど気にすることはないが、
ここでの音の変化は、音楽好きにはたまらない機能といえる。

「DEBUT AGAIN」をshort、medium、longの順で、野上さんに聴いてもらったあとに、
「longでしょ」と訊いた。
「longが、大瀧くんの声にいちばん近い」との野上さんはいわれた。
根拠のない私の確信が確認できた。

ULTRA DACのlongフィルターで聴く大滝詠一の「熱き心に」は、
別項「MQAのこと、潔癖症のこと」で書いたことに関係してくる。

その冒頭に、
“See the world not as it is, but as it should be.”
「あるがままではなく、あるべき世界を見ろ」
と書いている。

ULTRA DACのlongフィルターで聴く大滝詠一の「熱き心に」は、
あるべき世界(音)で鳴ってくれた、という印象が私にはある。

あるがまま、ということでは、もしかするとshortフィルターでの音がそうなのかもしれない。
そんな可能性があるのを無視できない。

マイクロフォンを通して、そしてさまざまな録音器材を経て録音された、
いわば原音での大滝詠一の歌(声)は、どうなのか。
それを知る術はないけれど、もしかするとshortフィルターでの音が、
あるがまま、ということでは近いのかもしれない──、と思わないわけではない。

けれど聴きたいのは、あるべき世界(音)である、私の場合は。
そうなるとlongフィルターでの音を、
私は大滝詠一の「熱き心に」を聴くのであれば選択する。

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