Date: 3月 8th, 2019
Cate: Kate Bush, ディスク/ブック
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THE DREAMING(その1)

ケイト・ブッシュのアルバムで、強い印象をうけたのは、
やはりデビューアルバムの“THE KICK INSIDE”、
そして“THE DREAMING”である。

“THE KICK INSIDE”を初めて聴いたのは、FMだった。
衝撃だった。

背中に電気が走った、という表現があるが、
“THE KICK INSIDE”を聴いたときが、まさしくそうだった。

ケイト・ブッシュの四枚目の“THE DREAMING”が出た時、東京で暮していた。
同じころ、バルバラの“Seule”で出ていた。

“THE DREAMING”は、“THE KICK INSIDE”以上に、
“THE KICK INSIDE”とは違った衝撃を受けた。

バルバラの“Seule”とケイト・ブッシュの“THE DREAMING”。
どちらも重く、聴き手のこちらにのしかかってくるような感じも受けた。

ひたひたと何かが迫ってくる、とも感じた。
この二枚が、これから先、愛聴盤になっていくのだろうか、とも思っていた。

東京では独り暮しの始まりでもあった。
そのことも、そう感じたことと無関係ではない、といまでは思う。

“THE DREAMING”は、72トラック録音だといわれた。
36トラックのマルチトラックレコーダーを二台シンクロさせての録音である。
当時としては最大数のトラックだったはずだ。
厳密には同期用にトラックが使われているので、
72トラックすべてに録音されているわけではない。

にしても、すごい録音だと感じた。
“THE DREAMING”が発売になって、どのくらい経っただろうか、
ケイト・ブッシュが精神病院に通っている(入院している)というウワサが出た。

そもありなん、と思える録音であった。
事実は、セラピーに通っていた、ということだった。

これだけの録音を仕上げるのは、そうとうにしんどい作業であったはずだ。
“THE DREAMING”はアナログ録音である。

トラックダウン作業の実際を知りたい、とそのころ思っていた。
“THE DREAMING”は、すごく凝った録音なのは聴けばすぐにわかる。

けれど、これだけのものを作り上げるために、どれだけの作業工程が必要だったのか。
“THE DREAMING”は、どう鳴らしてもスタティックな印象がついてまわる。

もっと躍動的に鳴らないのか──、そう感じてもいた。

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