時代の軽量化(その9)
文字情報による知識を得るのは、たやすい時代になっている。
そういう時代にあって、受験テクニックを身につけている世代は、
どれだけでも知識を増やしていけることだろう。
そういう人を知っている。私より一世代くらい若い人だ。
知識を、とにかく身につけているオーディオマニアだ。
けれど、残念なことに、それらの知識が有機的に結びついているとは言い難い。
体系化できていない。
だから、それらの知識は、いわば脂肪のように彼にまとわりついている。
本人は、オーディオに詳しいと自負していることだろう。
知識量だけはあるのだから、そういえなくもない。
でも、身につけているだけである。
筋肉とは違い、脂肪のようだ、という理由はそこにある。
そのためか、その人のオーディオの言動は、
とても見苦しい、と感じる。
いわば知識の肥満体である。
ぶくぶくと知識だけが、鍛えられずに身についているだけなのだから。
これも時代の軽量化のように感じている。