「複雑な幼稚性」が生む「物分りのいい人」(理解についての実感・その3)
丸山健二氏の「新・作庭記」(文藝春秋刊)からの一節を引用するのは、これで四回目だ。
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ひとたび真の文化や芸術から離れてしまった心は、虚栄の空間を果てしなくさまようことになり、結実の方向へ突き進むことはけっしてなく、常にそれらしい雰囲気のみで集結し、作品に接する者たちの汚れきった魂を優しさを装って肯定してくれるという、その場限りの癒しの効果はあっても、明日を力強く、前向きに、おのれの力を頼みにして生きようと決意させてくれるために腐った性根をきれいに浄化し、本物のエネルギーを注入してくれるということは絶対にないのだ。
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この項で、引用の理由は書かなくていいだろう。