必要とされる音(その4)
四年前の2013年、ヴァイタヴォックスのスピーカーがふたたび輸入されるようになった。
その時点では情報がほとんどなくて、なぜ? いまになって、と思った。
その後の情報では、イギリスのOctave Audio Woodworkingが、
ヴァイタヴォックスのコンシューマー用部門を買収して、ということだった。
オクターヴ(Octave)といえば、ドイツの真空管アンプメーカーのオクターヴがよく知られているが、
何の関係もなさそうである。
Octave Audio Woodworkingは、
十数年前から、タンノイのオートグラフとGRFのエンクロージュアを復刻している。
復刻にあたっては、元タンノイの一員であったテレンス・リビングストンが監修している。
このOctave Audio Woodworkingが、ヴァイタヴォックスのHi-Fiスピーカー、
つまりコンシューマーオーディオ用スピーカーを復刻(復活)させた。
Octave Audio Woodworkingはタンノイの次に、
ヴァイタヴォックスを選択したわけである。
ここがなんとも日本的とでもいおうか、
五味先生のタンノイがあり、
五味先生のオーディオ巡礼に登場されるH氏のヴァイタヴォックスがある。
その系譜を、五味先生の文章を読んできた者にとって、
親近感に似た感情を、Octave Audio Woodworkingに対しおぼえる。