豊かになっているのか(その2)
1970年代後半は、50万円をこえていれば、そのオーディオ機器は高級機であり、
100万円をこえているモノは超高級機という認識だった。
これはこの時代のオーディオを体験してきた人ならば、同じはずだ。
1980年代にはいり、200万円をこえるモノ、300万円をこえるモノが登場してきた。
トーレンスのリファレンスが350万円をこえていた。
スレッショルドのSTASIS1も350万円をこえていた。
瀬川先生はステレオサウンド 56号のリファレンスの記事の最後に書かれている。
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であるにしても、アーム2本、それに2個のカートリッジがついてくるにしても、これで〆めて358万円、と聞くと、やっぱり考え込むか、唸るか。それとも、俺には無縁、とへらへら笑うことになるのか。EMT927までは、値上げになる以前にどうやら買えたが、「リファレンス」、あるいはスレッショルドの「ステイシス1」あたりになると、近ごろの私はもう、ため息も出ない、という状態だ。おそろしいことになったものだ。
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時代が30年以上前のことではあるけれど、オーディオ機器ひとつの価格が350万円というと、
とんでもない価格であり、「おそろしいことになった」と私も感じながらも、
それでもいつの日か、リファレンスを買える日が来るのではないか、とも思えていた。
リファレンスは買えなかったけれど、927Dst(すでに製造中止になっていたので中古だったが)は買える日が来た。
このころは350万円がオーディオ機器の最高価格といえたし、
1980年代も350万円あたりで落ち着いていた。