Date: 3月 23rd, 2014
Cate: plus / unplus
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plus(その12)

分割でプラスされてきたもののなかで、もっとも象徴的ともいえるのが、
ステレオ化といえるのではないだろうか。

モノーラルからステレオへは、それまで1チャンネルしかなかった伝送系に、
もう1チャンネルをプラスして2チャンネルとしたものだから、
その考えでいえばあくまでもプラスであり、分割でプラスされたものとはいえない。

けれどそういえるのか、とも考えられる。

モノーラルでスピーカーが一本しかないときには、すべての音源はスピーカーの位置にあった。
ステレオになりスピーカーが左右に設置されることで、音は左右に拡がっていった。

ここで考えたいのは、センター定位の音について、である。
歌のレコードだと、ほとんどセンターに歌手が定位しているように聴こえる。
けれど2チャンネルのステレオ再生には、スピーカーはあくまでも左右の二本であり、
センターにはスピーカーは存在しない。

モノーラルでの歌は一本のスピーカーからのみ、である。
それがステレオでは二本のスピーカーから、ということになる。
つまりこれはセンター定位する音を、左右のチャンネルに分割しているわけで、
左右のスピーカーから同じ音を出すことによって、
われわれ聴き手はあたかもセンターに歌手がいるように錯覚できる。

なにもセンター定位の音だけではない。
たとえば左側に定位する音に関しても、左側のスピーカーからしか音が出ていないわけではない。
右側のスピーカーからも左側に定位する音の一部は出ていたりする。

センター定位の音では左右に等しく分割していたのが、
片側のチャンネルに寄って定位する音の場合は、分割が等しいわけではない。

こんなふうに考えていくと、ステレオも分割というプラスという見方が可能になる。

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