4343における52μFの存在(その25)
残念ながら、JBLには、15インチ・ウーファーでコーン紙の裏面にランサプラス処理をしたものは、ない。
JBLのスピーカーシステムで、アクアプラス(ランサプラス)処理のウーファーを採用したものは、
他のJBLの低音の鳴りかたとは、なにか異る性質をもつ。
4350の初期モデル、4311、4345などが、そうだ。
もっとも4350と4311は、ウーファーに対してコイルやコンデンサーといった、
ネットワーク素子が介在せず、パワーアンプと直結されていることで、得られている面もあるのだが。
4343と4345の低音の鳴りかたの違いを、
ウーファーの設計方針の違いだけで捉えることは一面的すぎることはわかっている。
エンクロージュアのプロポーションや設計方針の違い、バスレフポートの位置も、4343と4345では異るし、
ネットワークの設計の違い、それにいちばん大きな違いは、設計者の違い──、
これが有機的に絡み合って違いではあるとわかっていても、
4343に、もう2245Hの15インチ版ウーファーなるものが存在し、装着されていたら……、
設計者のパット・エヴァリッジが描いていた音が、より具現化されていたのではないだろうか。