BRITTEN THE PERFORMER(その4)
“BRITTEN THE PERFORMER”のCD BOXを購入し聴いた人のすべてが、
「美しい演奏」と感じるかどうかは、なんともいえない。
どこが美しいのか、どこがいいのか、さっぱりわからない、と感じてしまう人もいよう。
反感をもたれることはわかっているけれど、
ベンジャミン・ブリテンのモーツァルトを「美しい演奏」と感じさせない音は、
どこかが間違っている。
音楽として正しい音で鳴っていれば、
オーディオ機器のグレードにはさほど関係なく(まったく関係ない、とはいえないけれど)、
「美しい演奏」と感じることができる。
どんなに高価で、世評の高いオーディオ機器を揃え、
セッティング、チューニングに手抜きすることなく、
オーディオ仲間に聴いてもらっても、皆が素晴らしい音だといってくれる音であっても、
ブリテンのモーツァルトを「美しい演奏」ではなく、美演にしてしまったり、
「美しい演奏」とは感じさせないのであれば、
そのシステムから鳴っている音は、「美しい音」ではない。
川崎先生が数日前、facebookに書かれていた。
《「正しいかどうかは、美しいかどうか」の自問自答で判断が可能だと、プラトンは言っていた。》
「正しいかどうかは、美しいかどうか」の自問自答で判断が可能であっても、
美しいかどうかは、どうやって判断するのか、と問う人はいる。
結局「美しいかどうかは、正しいかどうか」の自問自答で判断するしかない、
と私はおもっている。
答になっていないじゃないか──、
そういわれようが、「正しいかどうかは、美しいかどうか」の自問自答で、
「美しいかどうかは、正しいかどうか」の自問自答で判断していくものだ。
ベンジャミン・ブリテンの演奏は、だから正しい。