新製品(Backes & Müller・その4)
ステレオサウンド 117号の特集の座談会がこんなふうになってしまったのは、
B&Mの輸入元バルコムのいうことをそのまま信用してしまった、というところだろう。
これは別項で書いている技術用語の乱れと根は同じように感じる。
ほんのわずかな手間を惜しむ。
そのことをずっと続けてきたことが、誌面に残っていく。
しかも117号の座談会は、一年の締括りともいえるコンポーネンツ・オブ・ザ・イヤーである。
賞である。
その賞の権威(ほんとうにあるといえるのかはここでは問わない)を、
自ら貶めることをステレオサウンド編集部は知らず知らずにやっている、ともいえよう。
45号と117号のあいだでも、こういうことが起る。
ステレオサウンドは昨年、創刊50周年を迎えた。
200号をこえている。
こういうことは、これから先、もっと起る、といえる。
少なくともいまのままでは。
45号と117号を読んでいて感じたのは、
そして書きたかったことは他にある。
B&Mの音についてだ。
45号では、こんなふうに紹介されている。
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井上 このスピーカーは音を聴いてみてびっくりしましたね。かなりしなやかで滑らかな音が出てきた。こういう音を出すドイツのスピーカーを聴くのは初めてです。
山中 今までのドイツのスピーカーの音というと、硬質な音というのが基調になっていたと思いますが、この場合はもっとやわらかい、あたたかい雰囲気をもった音といっていいですね。やはりバイエルン地方の風土によるものかも知れません。
井上 音のクォリティの高さも相当なものですね。こういうしなやかな音はなかなか出ない。かなり注目できる製品だと思います。
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45号でのMonitor 5と117号でのBM30とでは、
スピーカーシステムとしての在り方が、MFBという共通項はあるものの、
ある意味大きく変っている、ともいえる。
それでも音に関しては一貫しているように読みとれる。