新製品(Backes & Müller・その2)
Backes & Müller(B&M)のスピーカーは、
ステレオサウンド 117号の表紙を飾っている。
BM30というモデルで、’95-’96コンポーネンツ・オブ・ザ・イヤー賞を受賞している。
横幅は41.0cmながら、高さは178.0cmというプロポーションをもち、
ウーファーは25cm口径、ミッドバスは20cm口径、ミッドハイは13cm口径のコーン型を、
それぞれ二発を使用し、トゥイーターは3.7cm口径、スーパートゥイーターは1.9cm口径のドーム型。
5ウェイ8スピーカーという構成である。
八つのユニットには、それぞれ専用のパワーアンプが、
つまり八台のパワーアンプが搭載されている。
ウーファー、ミッドバス、ミッドハイはユニットを並列接続してやれば……、
と考えがちだが、ここまで徹底したマルチアンプ構成にしているのは、
すべてのユニットに対しMFBをかけるためのはずだ。
ステレオサウンド 45号の新製品紹介の記事でも、そのことにはふれられていた。
3ウェイで、すべてのユニットにMFBがかけられている、と。
通常MFBはウーファーだけにかけられる。
インフィニティのIRSシリーズでも、MFBはウーファーにのみ採用されている。
それをB&Mは1970年代後半ごろから、全帯域(すべてのユニット)にかけている。
ステレオサウンド 117号の座談会も、そのことから始まっている。
ただ、この座談会がおかしいのは、B&Mが日本に紹介されるのは初めてだと書いてあることだ。
菅野、山中、朝沼の三氏が、このB&Mを知らなかった、と発言されている。
でも……、と思う。
確かに45号ではB&Mとして紹介されている。
117号ではバックス&ミューラーとして紹介されている。
輸入元もシュリロ貿易からバルコムへと替っている。
それでも日本に紹介されるのは初めて、といってしまうのは、どうだろうか。
それはB&Wがバウワース&ウィルキンス、
B&Oがバング&オルフセンとして紹介されたら、日本に初めて紹介された、というのと同じことである。