ミソモクソモイッショにしたのは誰なのか、何なのか(その23)
今日facebookを見ていたら、数年前に見た話がまた登場していた。
数年前にも、そして今日も、そこには「実話」とある。
タイトルは
「【実話】満員バスの中、赤ちゃんが泣き止まないため降りようとしたお母さんに、運転手さんがこう言った…」
いい話だ、心暖まる話だ、と読む人の方が多いのだろう。
でも東京に住んでいる人ならば、違和感にすぐ気づくはず。
この記事の2ページには、こうある。
*
そのお母さんが運転手さんの横まで行き
お金を払おうとしますと運転手さんは
「目的地はどこまでですか?」
と聞いています。
*
このバスは中野坂上方面から新宿に向うバスである。
この経路のバスで運賃後払いはない。
前乗り、後降りであるから、
運転手のところまで料金を払おうとする必要はない。
前のドアから乗車する際に料金は払っている。
この記事の冒頭に16年前とあるが、16年前も、ずっと前から先払いである。
この話がまったくの創作なのか、
どこかで似たような話があったのを東京に置き換えただけなのか、そのへんはわからないが、
少なくとも実話とはいえない。
にも関わらず数年おきにインターネットに登場してくる。
これもpost-truthであるし、
「理解なんてものは概ね願望に基づくものだ」の例のひとつともいえる。