複数のスピーカーシステムを鳴らすということ(その20)
たとえば100畳のスペースが与えられたとしよう。
オーディオ機器も好きなモノ、使いたいモノを選び放題、という夢の話があったとして、
100畳のスペースをどう使うか。
100畳の床面積の部屋をつくるのか、
それとも100畳をいくつかに分割して、50畳の部屋をふたつつくるか、
それとも50畳の部屋と25畳の部屋をふたつ、計三つの部屋にするのか、
もっと分割して大中小、さまざまな大きさの部屋をつくるのか。
そしてそこにスピーカーシステムをどう配置するのか。
100畳の部屋に一組のスピーカーシステムだけ、もある。
100畳の部屋に複数のスピーカーシステムというのもある。
分割した部屋にそれぞれ一組のスピーカーシステム、
分割した部屋にそれぞれ複数のスピーカーシステム、ということだって考えられる。
同じ空間に複数のスピーカーシステムを入れれば、
鳴らしていないスピーカーシステムが、鳴っている音に影響する。
これはどうやっても抑えられない。
だからひとつの部屋には一組のスピーカーシステム、という人がいる。
20代のころの私は、そうだった。
一組のスピーカーシステムだけを置く。
複数のスピーカーシステムを使いたければ、スピーカーの数だけの部屋を用意するか、
そんなことはほんとうに大変だから、
あくまでもサブスピーカー(セカンドスピーカー)としてメインスピーカーの邪魔にならないような、
そんなサイズの小さなスピーカーにする──、そういう考え方だった。
けれど、いまは変ってきた。
スピーカーシステムを役者としてとらえるようになってきたからだ。