オーディオの「本」(その2)
CDが附録としてついてくる雑誌は、もうめずらしくも何ともなくなってしまったが、
CDが登場し普及しはじめたころ、1980年代の半ば、新しいオーディオ雑誌が創刊され、
CDがついてきていた。おそらくもっともはやくCDをつけた雑誌のひとつだろう。
もしかすると世界初だったのかもしれない。
このオーディオ雑誌(誌名を忘れてしまった)は、試聴室で鳴っていた音を録音し、
それをそのままCDに収録して、いわば音の出る本として売り出してきた、と記憶している。
この本が出た時は、まだステレオサウンド編集部に在籍しており、
編集部内でも、無視できないものとして発売日に購入していたはずだ。
このオーディオ雑誌は、結局成功しなかったようだ。
理由はいくつかあろうが、オーディオには「読む楽しみ」があるということを、
再認識させてくれたように思う。
オーディオの楽しみには、いくつもある。
いい音を出す楽しみ、いい音で好きな音楽を聴く楽しみ、それらに負けないくらいの魅力を、
「オーディオ(音)を読む楽しみ」はもっている。