同軸型はトーラスなのか(その6)
S-F1を発売当時見たときには思わなかったことだが、
なぜ振動板を円にしなかったのだろうか。
S-F1の各ユニットの口径は、ウーファーが40cm角、スコーカーが15cm角、
トゥイーターが6cm角、スーパートゥイーターが2.6cm角となっている。
クロスオーバー周波数は500、2.5k、8kHzなので、ウーファー、ミッドバス、
ミッドハイ、トゥイーターと呼べないことはないが、
パイオニアの表記にしたがって呼ぶことにする。
S-F1のウーファーとスコーカーは振動板、ボイスコイルの形状ともに角型であるが、
アルミハニカムにベリリウムスキンを貼り、
よりいっそうの軽量化をはかっているトゥイーターと
スーパートゥイーターのボイスコイルの形状は円型となっている。
なぜここだけ円なのか。
S-F1の振動板を円型にしなかったのは、同軸型構造としたために、
ウーファー部分の面積が減り、すこしでも面積を稼ぐために、
同じ幅ならば、円よりも矩形型のほうが面積をめいいっぱい利用できる。
おそらく、理由はこのへんにあると思うけれど、もしかすると開発者の方は、
「回」の字から、S-F1を発想されたのかもしれない。
S-F1の写真を見れば見るほど、そう思えてくる。
そのくらい、S-F1は、「回」そのものではないだろうか。
もしそうだとしたら、日本人だからこその発想から生れてきたスピーカーといえるわけだ。