オーディオの「本」(その1)
紙の本、ということにこだわってきたところがある。
そのためか、本の理想としても、紙の本がそうであるように考えてきたところが、どうしてもある。
紙の本の延長線上に、理想の本の形態があるようにも思ってきた。
だから電子書籍、というよりも、電子紙(電子ペーパーとはあまりいいたくないので)の実現を、
あれこれ妄想し、理想の電子紙から電子書籍について考えをめぐらしていた。
いまのところ、電子書籍のなかに、パソコンで読むことも含まれているだろう。
ページをめくるという感覚ではなく、巻紙のようにスクロールしていく感覚。
パソコンで文章を読むことに、抵抗は特にもってはいないが、
それでもじっくり読みたいものは、それこそ紙の本で、という想いは、誰しもお持ちだろう。
でもオーディオの本として、紙の本からは、
昔からくり返し──それこそどれだけ言われてきたかわからないくらいだが──、
誌面から、音は出ない。音が直に伝わってくるわけではない。
そこからオーディオ評論が生れてきた、ともいえる。