同軸型はトーラスなのか(その5)
1980年代のオーディオ機器に詳しい方ならば、私と同じモノを思い浮べられるだろう。
パイオニアのS-F1である。
矩形の平面振動板を採用し、4ウェイの同軸型を実現したスピーカーは、
あとにもさきにもこれだけである。
大半の同軸型スピーカーは2ウェイである。
ジェンセンのG610はたしかに3ウェイだが、トゥイーターの中心軸が、
ウーファーとスコーカーの中心軸とぴったり揃っているわけでなく、
真横から見た場合、上に少しズレている。
S-F1は平面型振動板のメリットを活かし、4ウェイすべての振動板の位置をそろえることにも成功し、
同軸型のメリットを最大限に活かせる構造ともいえよう。
S-F1の同軸型ユニットを正面から見れば、まさに「回」である。
「回」がトーラスならば、S-F1の同軸型ユニットもトーラスなのかもしれない。