Archive for category テーマ

Date: 5月 25th, 2023
Cate: 映画

TÁR(その2)

「TÁR」は、公開初日(5月12日)に観た。
(その1)で書いているように、TOHOシネマズ日比谷のスクリーン1で観たかったからだ。

スクリーン1での上映は、やはり18日までだった。
早めに観に行ってよかった、と観終ったから、よけいにそう思う。

大きなスクリーンと上質な音で観たい映画である。
単に音楽を扱っている映画だからということからではなく、
「TÁR」を観た人(注意深くきいた人)ならば、そのことをわかってもらえるはず。

「TÁR」をおもしろかったという人もいれば、期待外れ、残念だったという人もいる。
「TÁR」はおもしろい映画だった。
観終って、もう一度観たい、と思っていた。
いくつか確認したいシーンがあったからでもある。
それもTOHOシネマズ日比谷のスクリーン1で、と思っていた。

できればDolby Atmosで上映してほしい。
エンドクレジットには、Dolby Atmosのロゴが表示される。

話題作がけっこう公開されているし、公開予定でもあるから、
「TÁR」のDolby Atmosでの上映は望めない。

個人的にもう一度観たい(確認したい)シーンは、終盤での、
あるビデオを見ている時の主人公の顔のアップのシーンだ。

えっ、とおもってしまった。
どういう意味(こと)? と思うほどの表情だったけれど、
そのシーンはほんとうに短い。

Date: 5月 23rd, 2023
Cate: 終のスピーカー, 組合せ

終の組合せ(その3)

2008年ごろ、知人がTroubadour 40を購入した。
そのとき、ウーファー、何にします? と訊かれた。
即答で、JBLの1500ALを挙げた。

他にも使ってみたいウーファーユニットはいくつかあったけれど、
やはりパッと浮んできたのは、1500ALだった。

知人も1500ALが第一候補だったようで、すぐに購入していた。
けれど、残念なことにTroubadour 40と1500ALの音は聴いていない。

知人もエンクロージュアをどうするのか、
ここのところに悩んでいて、1500ALは購入したものの、
元箱に収まったままだった。

1500ALは、ほんとうにいいウーファーだと思っている。
だからこそ、エンクロージュアはできるかぎりいいモノに仕上げたい──、
けれどその気持が強すぎると、知人の例のようになってしまう。

とりあえず1500ALを鳴らして、Troubadour 40と組み合わせてみよう、といいたい気持と、
中途半端な気持(状態)で、1500ALを鳴らしたくない、というのはよくわかる。

もし、いま1500ALのひじょうに程度のいいモノが手に入ったとして、
エンクロージュアにはそうとう悩むことになるのは目に見えている。

終のスピーカーとしてやって来たのが、Troubadour 40ではなくUnicornであれば、
ウーファーで悩むことはない。

Unicornであれば、このテーマで書き始めてもすぐに結論に近いものが書けただろう。
けれど、やって来たのはTroubadour 40なのだから、
ウーファーをどうするか、徹底的に考えることから、ここでのテーマは始まる。

Date: 5月 21st, 2023
Cate: 終のスピーカー, 組合せ

終の組合せ(その2)

ジャーマン・フィジックスのTroubadour 40が、
終のスピーカーとして、昨年やって来たのだから、終の組合せを考える。

ここでの組合せは、現実に買える金額かどうかはあまり考慮しない。
それでも(その1)を書いてから、五ヵ月。

なかなか続きを書かなかったのは、やはりウーファーをどうするか。
ここで悩んでいるというか、迷っているというか、あれこれ考えているからだ。

菅野先生は、
JBLの2205Bをパイオニア製エンクロージュアにおさめられたモノを使われていた。
同じモノを、と考えなくもないが、
2205Bは中古市場にもあまり出てこないし、もちろん新品はすでにない。

パイオニアのエンクロージュアも手に入らないし、
仮に新品同様の同じモノが手に入ったとしても、
菅野先生のリスニングルームでの、あの低音の素晴らしさは、それだけで実現できるものではなく、
グラフィックイコライザーを含めての使いこなしがあってのものだ。

Troubadour 40が新製品として登場したころ、
JBLは1500ALを単売していた。

そのころはTroubadour 40が欲しい、とつよくおもってはいても、
すぐに買えるというわけではなかった。
けれど、Troubadour 40を買ったら、ウーファーは1500ALが第一候補だった。

エンクロージュアをどうするのかはなにも考えてなかったければ、
当時市販されていたウーファーで、1500ALはそうとうにいいウーファーだったはずだ。

その1500ALも製造中止になり、Troubadour 40も製造中止になった。

Date: 5月 19th, 2023
Cate: ディスク/ブック

エリー・アメリングの「音楽に寄せて」

1933年2月8日生れのエリー・アメリングは、今年生誕90年。
ということで、29枚組のCDボックスが発売になった。

e-onkyoでもリマスターでの配信が、今日から開始になっている。
TIDALでは?
ほとんど期待していなかったけれど、いちおう見てみた。

するとMQAでの配信が始まっている。
フィリップスへのデジタル録音だったアルバムも、MQAになっている。

アメリングによる「音楽に寄せて」は、
ステレオサウンドの試聴室で数え切れないくらい聴いている。

名曲なのは承知している。
とはいっても、一日に何度もくり返し、しかもそういう日が続く。
そういう聴き方をしてきただけに、
アメリングの「音楽に寄せて」は、かなりながいこと聴いてこなかった。

それが昨年あたりから、ふたたび聴くようになった。
聴くたびに、MQAだったらなぁ、とおもっていた。

それでも1982年のデジタル録音だけに、MQAでの配信は、
ソニー・クラシカルではないのだから、まずないだろうなとなかばあきらめていた。

そこにMQA(48kHz)で配信。
フィリップスへの録音だったから、デッカからのリリースということになっている。
デッカは、ドイツ・グラモフォンと同じユニバーサル・ミュージック。

別項で書いているようドイツ・グラモフォンは、
MQAでの配信をやめてはじめている。
その一方で、新譜はMQAでの配信だったりして、
MQAをやめるのか継続するのか、
なんともはっきりしないドイツ・グラモフォンの態度を見ているだけに、
今回のMQAでの配信は、意外でもあり嬉しいことでもある。

Date: 5月 19th, 2023
Cate: ディスク/ブック

宿題としての一枚(その13)

この項であげてきたディスクは、
なんらかのかたちで、そこで鳴っていた音を聴いての宿題としての一枚なのだが、
同じような経験を持っていない人も少ないない。

それでも──、とおもうところはある。
たとえば菅野先生録音の「THE DIALOGUE」。
なんらかのかたちで、菅野先生が鳴らされた「THE DIALOGUE」を聴いたことがある人は、
どのくらいいるのだろうか。

その音を聴いていない人にとっては「THE DIALOGUE」は、
宿題としての一枚とはならないのか、といえば、けっしてそうではない。

ステレオサウンド別冊「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」の試聴を読んでほしい。
この別冊での試聴ディスクは、三枚。

ヘンリック・シェリングとイングリット・ヘブラーによる
ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタの第七番。
シルヴィア・シャシュのドラマティック・オペラ・アリア集、
そして菅野先生録音の「THE DIALOGUE」である。

なので個々のアンプの試聴記(鼎談)に、
「THE DIALOGUE」がどう鳴ったのかが、けっこう具体的に語られていたりする。

すべてのアンプの試聴記に「THE DIALOGUE」のことが必ず出てくるとはかぎらないが、
かなりの数のアンプで、具体的に語られている。

これらをまとめて読めば、アンプによって「THE DIALOGUE」のドラムスとベースの音が、
どんなふうに変り、どんなふうになるのが「THE DIALOGUE」なのかもつかめる。

Date: 5月 17th, 2023
Cate:

ふりかえってみると、好きな音色のスピーカーにはHF1300が使われていた(その15)

メリディアンのアクティヴ型スピーカーシステム、M1。
ステレオサウンド 54号の特集、
「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」に登場している。

瀬川先生の試聴記を読んでいると、いちどは聴いてみたい、とおもったものの、
一度ものその機会はなかったどころか、実物を見たことすらない。

その後もメリディアンはアクティヴ型のスピーカーシステムに積極的に取り組む。
別項で書いているように、M20は、いまも欲しいとおもうほどに、
その音色の魅力からは、いまだに逃れられないままだ。

M20を聴いたときに、M1も聴いてみたい、と思った。

そのM1なのだが、54号の写真でも、
輸入元の今井商事の広告の写真、スペックでは3ウェイである。

しかし昨晩見つけたM1の写真は、4ウェイである。
“meridian m1”で画像検索すれば、その写真はすぐに見つかる。

しかもセレッションのHF1300が使われている。
この4ウェイのM1がどういうモデルなのかは、詳細はよくわからない。

ごく初期のM1なのかもしれない。
だとすれば、ここにもHF1300なのか、とひとりで納得している。

Date: 5月 14th, 2023
Cate: ジャーナリズム

オーディオの想像力の欠如が生むもの(その88)

オーディオの想像力の欠如した者は、自己顕示欲を昇華することができない。

Date: 5月 11th, 2023
Cate: 映画

TÁR(その1)

明日(5月12日)、ようやく映画「TÁR」が公開になる。
今年公開予定の映画のなかで、最も観たいとおもっている一本だ。

予告編を観るたびに、一日でも早く観たい、とおもう。
「TÁR」はアクションものやSFものではないから、
上映は通常の2Dのみである。

ドルビー・アトモスの上映もない。
それでもいい音の映画館で観たい、となると、
東京だとTOHOシネマズ日比谷のスクリーン1で観たい。

初日はスクリーン1での上映があるが、土曜、日曜は他の映画が上映されるため、
スクリーン1での「TÁR」の上映はない。
月曜日以降はスクリーン1での上映が再開されるが、
いつまでスクリーン1での上映なのかは、いまのところ18日までは行われるようだ。

それ以降になると、他の映画になってしまう可能性もある。
スクリーン1で観たい方はお早めに。

Date: 5月 11th, 2023
Cate: オーディオマニア

オーディオマニアとして(圧倒的であれ・その12)

オーディオの力を信じることに圧倒的であれ──、とおもっている。

Date: 5月 11th, 2023
Cate: オーディオマニア

つきあいの長い音(その46)

つきあいの長い音とは、自分にとって理想の音、最高の音よりも、
ぴったりの音のことなのかもしれない。

Date: 5月 11th, 2023
Cate: オーディオマニア

つきあいの長い音(その45)

つきあいの長い音があれば、つきあいが長すぎる音も、
つきあいが長すぎた音もあろう。

Date: 5月 11th, 2023
Cate: 使いこなし

使いこなしのこと(ステレオゆえの難しさ・その5)

八年前に書いたことを、そのまままるごと公開しておく。
別項「モニタースピーカー論(APM8とAPM6・その12)」で書いていることだ。

山中先生が《ぼくは実はこうした音楽が一番好きなのです》と語られているドビュッシー。
ステレオサウンド 88号の特集「最新コンポーネントにおけるサウンドデザイン24」、
この中に「山中敬三のサウンドデザイン論 そのバックグラウンドをさぐる」がある。
そこで語られていることを思い出していた。
     *
──好きな音楽は?
 わりと広いほうです。若いときから、その時期ごとに、一つのものに傾倒して、それがシフトしていって、結果的にかなり広いジャンルを聴くようになった。
 自分自身でレコードを買うようになったのはジャズ……スイングの後半からモダン・ジャズまでです。ベニー・グッドマンにはじまり、コルトレーンでストップ。
 兄がクレデンザの一番いいやつを持ってて、それでジャズを聴いてしょちゅう怒られました。でもあの音は素晴らしかった。
 クラシックで最初に好きになったのは、フォーレとかドビュッシーとかのフランス音楽だったんです……。
──S/Nをとるのがむずかしい……!
 苦労しましたね。低音を出そうと思ってもS/Nがとれない。フォーレのレクイエムを聴くために壁バッフル作ったり……。
 フランス音楽のあの積み重なりが好きになったんでしょう。
     *
「コンポーネントステレオの世界 ’82」でのESL63の組合せでは、
《こういったドビュッシーなんかの曲で一番難しいのは、
音が空間に漂うように再生するということだろうと思います》といわれている。

フランス音楽の積み重なり、これが漂うように再生されるかどうか。
「漂い」に関しては、88号の特集で菅野先生も語られている。
     *
──鳴らし方のコツのコツは……?
 オーディオマニアは「漂い」という言葉を使わない。「定位」という言葉がガンと存在しているからだ。「漂い」の美しさは生のコンサートで得られるもの……。それを、もうちょっとオーディオマニアにも知ってほしい。これこそ、一番オーディオ機器に欠けている部分ですね。
 最新の機械を「漂い」の方向で鳴らすと、極端にいうと、みんなよく鳴るように思います。最新の機械で「定位」という方向にいくと「漂い」がなくなって、オーディオサウンドになります。
     *
山中先生が自宅のシステムとしてAPM6ではなくESL63を選ばれた大きな理由のひとつが、
この「漂い」だと思う。

読み返してみて、そのとおりだと頷く。
モノーラルからステレオ再生になったからそ可能になったといえる漂いの再現。

茫洋とした音が漂いではない。

Date: 5月 7th, 2023
Cate: 映画

ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー

ゴールデンウィーク中に、
映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」を観てきた。

「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」についての説明は必要ないだろう。
大ヒットしているし、関心のない人でもどういう映画なのかは、おおよそ想像がつくし、
その想像通りの内容の映画でもあった。

そんな映画まで観るのか、といわれるかもしれないが、
最初は観るつもりはほとんどなかった。

映画館で流れていた最初の予告編は短いもので、
観たい、という気持にはさせてくれなかった。

それが3月に入ってからの予告編は長くなり、
これはぜひとも映画館で観たい、と一転してしまった。

「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」を観たからといって、
ゲーム「スーパーマリオ」シリーズをやっていたわけではない。

テレビを持っていないのだから、「スーパーマリオ」をやったことは一度もない。
なのに1993年のアメリカの実写映画「スーパーマリオ 魔界帝国の女神」も、
映画館で観ている。

「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」の長めの予告編をみて思い出していたのは、
2008年の映画「スピード・レーサー」だった。

「マッハGoGoGo」を原作とする映画で、興行成績も評論家による評価はひどかった。
けれど、映画館で観て楽しかった一本だった。

このことがあったから、「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」は、
通常の上映ではなく、できればMX4Dで観たかったのだが、どこも満員で席がとれなかった。
IMAXレーザー・3Dで観てきた。

「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」は「スピード・レーサー」とは違い、
興行成績は大成功といっていいほどヒットしている。

ゴールデンウィーク中ということもあってなのだろうが、映画館は満席だった。
ここ数年映画館で観るようにしているが、ここまで満員だった映画はなかった。

けれど、アメリカでの評論家による評価は、かなり低い、らしい。
でも、いいじゃないか、観て楽しかった、と思えれば、それでいい。
そういう映画があってもいいのが、映画のよさのはずだ。

Date: 5月 7th, 2023
Cate: きく

野口晴哉記念音楽室レコード鑑賞会(その6)

野口晴哉記念音楽室レコード鑑賞会の前売りはすべて完売とのこと。
当日券は若干数確保してあるそうだが、
状況によってはすぐの入場はできない場合もあるそうだ。

Date: 5月 7th, 2023
Cate: 映画

モリコーネ 映画が恋した音楽家(その3)

エンニオ・モリコーネの音楽ときいてまっさきに頭のなかでながれてくるのは、
「続・夕陽のガンマン」の、あの口笛のフレーズである。

有名すぎるといっていいぐらいだから、かなりの人が一度は耳にしているだろうが、
同時に、どこか別の機会で聴いているような気が、
映画「モリコーネ 映画が恋した音楽家」を観たあとにわいてきた。

とはいっても記憶はひどく曖昧だ。
なんだったのか、記憶を辿る糸は口笛ぐらいしかない。

子供のころに見ていたヒーローもののテレビ番組で口笛といえば、
キカイダーに登場するサブロー(ハカイダー)だ。

確かめたくてもNetflixやPrime Video、どちらも配信していない。
Prime Videoの有料チャンネル、マイ★ヒーローで配信している。
確認してみた。

サブローの口笛は、はっきりとモリコーネの影響を強く受けたものだった。

こんなことをどうでもいいことだといわれれば、そのとおりだと答える。
それでもちょっとでもひっかかっていることで、確認できる手段があるのならば、
やはり確認しておきたい。

確認できたからといって、すっきりするだけで、それ以上ではないけれど、
ウルトラセブン最終回のシューマンのピアノ協奏曲と同じで、
子供のころ、意識することなく聴いていた音楽と、十年後、二十年後に出逢う。