Archive for category テーマ

Date: 3月 11th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第三夜・Apogee Duetta Signature + 1.0(その1)

3月6日のaudio wednesdayでは、サウンドラボのスピーカーを鳴らした。
私のfacebookをみた人ならば、その前に鳴らしていたスピーカーがあることに気づいていよう。

喫茶茶会記でやっていたころからの常連のHくんがいる。
Hさんもいるから、私よりもかなり若いのでHくんとさせていただく。

彼は最初、愛知県豊田市から来てくれていた。
それから兵庫からになり、現在は栃木の宇都宮から、である。

2月と3月、サウンドラボを鳴らしたクレルのKMA200は彼の私物だ。
宇都宮から運んでもらっている。

3月には、別のモノがあった。
それがアポジーのDuetta Signatureである。

3月6日の数日前、彼はヤフオク!で、このスピーカーを落札している。
Duetta Signatureが出品されていたのは知っていた。
落札金額はかなり安いかった。

1980年代、アポジーが登場したころステレオサウンドで働いていただけに、
当時の昂奮ぶりを知っている(味わっている)者としては、
いまではこんな評価(金額)なのか──、と、思うしかない。

もっとも引き取り限定ということがあっての落札金額なのだろうが、
それにしても安かった。

それを落札していたのがHくん。
彼は3月6日の朝、Duetta Signatureを引き取っている。
そのままaudio wednesdayに来てくれて、セッティングの手伝いをやってくれた。

彼が言う、この部屋でDuetta Signatureを聴いてみたい、と。
私だって聴いてみたい。
それでクルマからDuetta Signatureを降ろして、サウンドラボの設置場所に置く。
ひさしぶりに聴くアポジーの音だった。

アンプはクレルのKMA200だから、アポジー登場時の組合せともいえる。
当時、クレルもアポジーも輸入元はRFエンタープライゼスだった。

Date: 3月 9th, 2024
Cate: High Resolution

TIDALという書店(その25)

その昔,瀬川先生が熊本のオーディオ店に定期的に来られている時、
しっかりしたケースに、けっこうな枚数のLPを持ってこられていた。

それらすべてのLPを試聴に使われていたわけではなかったから、
どんなレコードが他にあったのか、知りようがなかったし、
毎回、同じレコードを持ってこられていたわけではないことは確かだった。

LPにしてもCDにしても、車を持たない、車での移動が大変な長距離の場合、
持っていける枚数はどうしてもかぎりがある。

あれもこれも持っていきたいと思っても、それは無理。
四谷三丁目の喫茶茶会記でaudio wednesdayをやっていたときも、
ディスクの選定は迷うものだ。

今年1月からのaudio wednesday (next decade)では、
1月はTIDAL、2月はSACDを中心にディスク、3月はMQA-CD中心とTIDAL。

そのため3月の会では、メリディアンのULTRA DACの他に、
roon一式をハイレス・ミュージックの鈴木さんに用意していただいた。

トランスポートにアキュフェーズのDP100、D/AコンバーターにメリディアンのULTRA DAC、
TIDALにはroonのNucleusという構成だ。

使ってみると、頭でわかっていても、なんて便利なんだろう、と実感できる。
自分の部屋ではあたりまえのこととして捉えていても、
こうやってどこかで音を鳴らす際には、そのありがたさがよくわかる。

TIDALにすべてがあるわけではない。
TIDALにある曲でも、MQAで聴けなかったりもする。
両方あれば、以前のようなディスクの持ち運びから解放される。

もちろんある程度のディスクを持っていくことになるが、
あれもこれもと枚数が増えていくことはなくなる。

ディスクの持ち運びの大変さを知っている人ならば、いい時代になったと思えるはず。

Date: 3月 8th, 2024
Cate: 電源

モバイルバッテリーという電源(その16)

3月6日のaudio wednesdayでは、
アンカーのモバイルバッテリーのPowerHouse 90が二台揃った。

一台は私の、もう一台は常連のHさんが持ち込まれたモノ。
私のPowerHouse 90は、前回と同じく、サウンドラボのスピーカーへの電源供給。

サウンドラボのコンデンサー型スピーカーの消費電力は2Wと発表されている。
もしかするともう少し大きいのかもしれない──、
と思っていたけれど、輸入元のクリストファーさんによると、やはり2Wとのこと。
実測中の写真も見せてもらった。たしかに2Wである。

ということは二台で4W。20W以下の消費電力ということで、
自動的に十五分ほどで電源が落ちるはずなのに、今回も問題なく最後まで、
約五時間ほど使えたし、残量も前回とほぼ同じだった。

HさんのPowerHouse 90もサウンドラボに接いでみればよかったのだが、
当日は、ちょっとばかりいろいろやっていて、その時間を確保できなかった。

HさんのPowerHouse 90は、会の最後のほうで、ハブ用に使った。
この効果はかなり大きかったと感じている。

昨日の「audio wednesday (next decade) – 第二夜を終えて」で書いている、
カザルスのバッハの素晴らしさは、このことも大きく関係しているように感じている。

Date: 3月 7th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第二夜を終えて

昨晩の第二夜を終えて、いくつか書きたいことがある。

昨日は朝から寒かった。
雨も降っていた。
しかも3月、年度末だから、来られる方は少ないだろうな、と予想していた。
予想していた通り、少なかったけれど、二人の十九歳の男子大学生が参加があった。

大学生以下は無料なのだが、そんな若い人たちが来てくれるなんて、
まったく思っていなかっただけに、このことはなかなかに嬉しいことだった。

二人ともオーディオマニアというわけではないが、
昨晩の音を聴いて、何か感じるものがあったのならば、次回以降も来てくれるだろう。

昨晩はほぼ一年ぶりにメリディアンのULTRA DACを聴いた。
いいD/Aコンバーターだ、という以上に、
私にとっては、やはり「心に近い」D/Aコンバーターだ、と確信できた。

それから予告していたことをやった。
バーンスタイン/ベルリン・フィルハーモニーによるマーラーの第九番を、
MQAで、部屋の照明を落としてもらっての再生を行った。
来られていた方から、お礼の言葉をいただいた。

最後にかけたのは、カザルスのバッハの無伴奏の第二番。
第一夜で、まったくといっていいほど鳴らなかったのだけれども、
昨晩の音は、私にとってかなりの驚きだった。

終了後、器材の片づけをしながら、
メリディアンを持ってきてくださったハイレス・ミュージックの鈴木さんと話していた。
鈴木さんも、カザルスの鳴り方にそうとう驚かれていた。

1936年の録音である。
いまから八十八年前の録音。
まったくそんなふうには感じられなかった。

SP盤復刻だから、スクラッチノイズがある。
そのノイズの聴こえ方が、いままで幾度となく聴いてきた鳴り方とは違う。

デジタルで再生しているにも関わらず、そのスクラッチノイズは、
良質のアナログプレーヤーをきちんと調整した時のそれそのものだった。

カザルスはTIDALでMQAでの再生である。

Date: 3月 6th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第三夜・Apogee Duetta Signature + 1.0

4月3日のaudio wednesday (next decade) – 第三夜は、
アポジーのリボン型スピーカーシステム、Duetta Signatureを鳴らす。

詳しいことは後日書くが、
Duetta Signatureにエラックの4PI PLUS.2を追加する。

アンプは引き続き、クレルのKMA200を使う。

Date: 3月 5th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第二夜(いよいよ明日)

明日(3月6日)は、audio wednesdayである。

今回鳴らすのは、すでに書いているように先月のシステムとほぼ同じ。
D/Aコンバーター兼コントロールアンプが、
アキュフェーズのDC330からメリディアンのULTRA DACにかわるだけなのだが、
そこで鳴ってくるであろう音には、四週間がとても長く感じられたほど、
期待はひじょうに大きい。

開始時間は19時。終了時間は22時。
開場は18時から。

18時から音は鳴らしている。
選曲についてのところで書いているアート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズの“Moanin’”。
これを一曲目として鳴らすのは19時だが、
それ以前の一時間もあれこれ鳴らしている。

野口晴哉記念音楽室の住所は、
東京都狛江市元和泉2-14-3。
最寄り駅は小田急線の狛江駅。

参加費として2500円いただく(ワンドリンク付き)。

Date: 3月 5th, 2024
Cate: 電源

モバイルバッテリーという電源(その15)

アンカーのモバイルバッテリーのPowerHouse 90を購入された方からの報告があった。
フォノイコライザーに使用したところ、十五分ほどで電源が落ちてしまう、とのこと。

アンカーに問い合せたところ、20W以下の消費電力の機器への供給の場合、
自動的に落ちてしまう設計になっている、とのこと。

先月、サウンドラボのスピーカーを鳴らしたとき、ずっと使用できていた。
どういうことなのだろうか。

私が購入したPowerHouse 90に、その機能が搭載されていないのか、
それともサウンドラボのスピーカーの消費電力が一台あたり10Wを超えていて、
二台で20Wを超える消費電力になっていたのか。

いまのところ、どちらなのかははっきりしない。
明日、そのPowerHouse 90を持ち込まれるので、実際どうなのかを検証できる。

ブラインドフォールドテストとオーディオ評論(その2)

明日(3月5日)発売のステレオサウンド 230号の特集は、
小型スピーカーシステムのブラインドフォールドテストである。

オーディオマニアのなかには、ブラインドフォールドテストこそが絶対で、
それ以外の試聴結果を絶対に認めない人がいる。
そういう人は、ブラインドフォールドテストをやらないオーディオ評論家も信用しない、らしい。

それはそれでかまわないけど、
ブラインドフォールドテストは、決して絶対的なものではない。

その1)ですでに書いているように、
ブラインドフォールドテストで試されているのは、鳴らし手の技倆である。

ブラインドフォールドテストは試聴を行う側のオーディオの力量・技倆が、徹底して問われる。
つまりステレオサウンドにおいては、ステレオサウンド編集部の力量が問われるわけで、
試聴者の力量と同等か、それ以上でなければ、厳密な意味でのブラインドフォールドテストは成立しない。

そのことを理解せずに、ブラインドフォールドテストを絶対視している人は、
それこそ強烈なバイアスを自分にかけていることにもなる。

ブラインドフォールドテストで聴いているのは、何か。
ここのところをはっきりと読み手に伝えなければ、
ブラインドフォールドテストは、あるところ編集部、評論家の自己満足なところがあるし、
一部の読者に媚びているともいえよう。

だからといってブランドフォールドテストを全面的に否定はしない。
正しく、厳密にやれればであるが、これが非常に難しく、
その難しさを理解していない人のほうが、ブランドフォールドテストこそが……、といっている。

そして別項「オーディオ評論家の才能と資質(その6)」で、
助手席に座っているだけで車の評論ができるわけがない、と書いた。

ブラインドフォールドテストは、それに近い性質も持っている。

Date: 3月 3rd, 2024
Cate: 「オーディオ」考

オーディオの罠(その9)

好きという感情は、オーディオという趣味において最も尊いものなのか。

そのとおりだ、と答える人がどのくらいいるのか。
ソーシャルメディアを眺めていると、こちらのほうが多数派のように感じることもある。

そんなことを以前、別項で書いている。

オーディオの罠について考えていると、このこともそうだと思うだけだ。
その結果、耳に近い音だけを求めてしまうようになるだけなのかも。

Date: 3月 2nd, 2024
Cate: 「オーディオ」考

オーディオの罠(その8)

別項で、
覚悟なしな人は、自分のヘソだけを見つめていればいい、と書いた。

心を塞いで、キズつくことを極度に怖れて、自分のヘソだけを見つめている。

これはオーディオの罠なのだろうか。
私は違うと考えている。

他の人はどうおもっているのかは知らないけれども。

Date: 3月 1st, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第二夜・マーラーかワーグナーか

「audio wednesday (next decade)のこれから(その3)」で、
2016年8月3日にやった「新月に聴くマーラー」をもう一度やってみたい、と書いている。

やるつもりなのだが、その時に、どのようなシステムが揃うのかは私にもわからない。
それに「新月に聴くマーラー」までに、一度もマーラーをかけないと決めているわけでもない。

先月の第一夜、今月の第二夜のスピーカーシステムはサウンドラボのコンデンサー型だし、
パワーアンプはクレルのKMA200である。

実を言うと、ワーグナーをサウンドラボのスピーカーで聴いてみたかったから、
クレルで鳴らしてみたくなったともいえる。

なので、このシステムで鳴らせると決った時点で、ワーグナーかマーラーを鳴らそうと決めていた。
第一夜にはワーグナーのディスクも持っていっていた。
けれど器材の不具合が生じて、ワーグナーをかける時間はなくなったし、
ワーグナーを鳴らそうという気もなくなっていっていた。

第二夜も基本的には同じシステムで、D/AコンバーターがメディアンのULTRA DACである。
そうなるとワーグナーかマーラー、どちらかをかけるしかない。
私自身、とても聴いてみたい。

八年前の「新月に聴くマーラー」では照明をつけずに聴いてもらった。
今回も同じように、マーラーかワーグナーの時は照明を消してもらうつもりでいる。

Date: 2月 29th, 2024
Cate: 「オーディオ」考, モーツァルト

artificial mozart

2006年、金沢に向う電車の車内広告に、目的地であった21世紀美術館の広告があった。
そこには、artificial heartの文字があった。
artificialのart、heartのartのところにはアンダーラインがあった。

artificial heartは、artで始まりartで終ることを、この時の広告は提示していた。
この時の目的地であった21世紀美術館では川崎先生の個展が開かれようとしていた。

2015年12月に「eとhのあいだにあるもの(その5)」の冒頭に、そう書いている。

artificial heartを見て以来、artで始まりartで終るものには、
他に何があるのかを、あれこれ考えていた。

あるとき、これもartで始まりartで終ると気づいた。

artificial mozart。
アーティフィシャル・モーツァルト。

そのころはただ思いついただけだったけれど、
ここ数年、artificial mozartは私にとって、別の意味ももつようになってきている。

Date: 2月 28th, 2024
Cate: ちいさな結論

ちいさな結論(問いつづけなくてはならないこと・その6)

美しく聴く、ということ。
このことを、audio wednesdayに来られた人たちに伝えられているだろうか。

Date: 2月 28th, 2024
Cate: 電源

ACアダプターという電源(その5)

スイッチング電源で試してみたいことの一つが、CR方法である。
CR方法については別項で書いているので省略するが、
リニア電源の電源トランスでは、すでにその効果を確認している。

スイッチング電源にもトランスはある。
リニア電源の周波数、50Hz、60Hzよりもずっと高いためかなり小型のトランスなのだが。
巻線の直流抵抗は、リニア電源の大型のトランスよりもずっと低い。

だからどの程度の効果が得られるのか、なんともいえないが、
音がまったく変化しないということはないはずだ。

Date: 2月 27th, 2024
Cate: ジャーナリズム

オーディオにおけるジャーナリズム(その2から十五年)

2009年1月の(その2)で、羽織ゴロという表現を使った。
それから十五年。

もうそろそろ新しいステレオサウンドが書店に並ぶが、
ひとつ前の229号、その73ページに掲載されている写真を見ていて、
羽織ゴロだな、と思っていた。

誰のことなのか名指しはしない。
私と同じように感じた人もいる。
それはごく少数なのかもしれないが、
昨春、225号をめくっていた一人の女性が、指さしして、
奇妙なものを見つけたみたいな笑いをしていた。

ステレオサウンド・グランプリの選考委員の集合写真である。
笑っていたのは、ポーランドの女性だった。
ほんとうに奇妙な写真に見えたようだった。

そうだろう、と感じるのが、当り前ではないのか。
あえてそう言おう。

なぜ、あのような写真を掲載するのか。
正直、理解できない。

オーディオ業界という狭い社会に向けてのものなのだろうが、
オーディオに関心がない人からすれば……。

そこに気づかないだけならばまだよい。
けれど羽織ゴロっぷりに磨きがかかってきたな、と思わせる写真を、
どうして載せるのだろうか。

あの写真一枚しか撮らなかったわけでもないだろう。
数カット、もっと撮っているのかもしれない。

昔と違い、いまはデジタルカメラなのだから、
フィルム代(枚数)を気にすることなく撮れる。

それで、あの一枚を選ぶのか。