Archive for category テーマ

Date: 9月 4th, 2021
Cate: オーディオ評論

B&W 800シリーズとオーディオ評論家(その9)

(その8)へのコメントが、facebookであった。

そこには、
いわゆるモニター的な音だと称されるタイプのスピーカーということが、
あまりワクワクしないことにつながっているように感じている──、
そうあった。

かもしれないと思いつつ、
コメントの方は私よりも若い世代だ。

ステレオサウンドは、44号と45号と二号続けてスピーカーシステムの特集を行った。
それだけでなく、46号ではモニタースピーカーの特集だった。
結果、三号続けてのスピーカーシステムの特集である。

しかも、いまのステレオサウンドの特集よりも、
特集に割いているページ数は多い。

この三号のなかで、私はモニタースピーカー特集の46号を、
いちばんワクワクしながら読んだものだった。

44号と45号もワクワクしながら読んだ。
46号は、それ以上にワクワクした。
それはモニタースピーカーということが、大きな理由となっている。

1970年代後半は、ほかの人はどうだったのかはよく知らないが、
私はモニタースピーカーという存在に、モニタースピーカーの音にワクワクしていた。

そんな私は1980年代の終りごろに登場したジェネレックに期待した。
いわゆる卵形のエンクロージュアに、トゥイーターはリボン型で、
リニアフェイズといえるユニット配置。

あのころ、聴いてみたいスピーカーの筆頭でもあった。
でも聴く機会はなかなかなかった。

聴いたことがある、という人がいた。
感想をきいた。
「つまんない音だったよ」という素っ気ないものだった。

このジェネレックのスピーカーシステムを聴くことは、ついに訪れなかった。
けれど、「つまんない音だったよ」は、きっと私が聴いてもそう感じたであろう。

「つまんない音だったよ」は、悪い音、ひどい音という意味は含まれていなかった。
優秀な音だけど、音楽を聴いて楽しいのかという意味での「つまんない音だったよ」だ。

モニタースピーカーの音の傾向は、
ジェネレックのスピーカーの登場前後あたりから変化している、と感じる。

それゆえfacebookのコメントは首肯けるところがある。

Date: 9月 3rd, 2021
Cate: 戻っていく感覚

SAE Mark 2500がやって来る(コントロールアンプのこと・その15)

ハルアンプのIndependence TypeIIに近い配線方法なのが、
ステレオサウンド 45号に掲載されている上杉先生のアンプである。

昔のステレオサウンドには自作のページが、不定期で載っていた。
45号には、
「最新テクノロジィによる真空管式ディスク中心型プリアンプをつくる」というタイトルで、
マッキントッシュのC22の回路をベースに、
シンプルな機能のコントロールアンプを発表されている。

Independence TypeIIは銅板を配線のベースにしているのに対して、
上杉先生の、このアンプはベークライトの板をベースにしている。

ベークライトの板に、穴開け加工をして金属製のビスを立てていく。
配線に必要な数だけ立てていく。

Independence TypeIIでのバインディング端子を、ビスで代用しているわけだ。
もちろん上杉先生のアンプにバインディング端子を使っていい。

上杉先生は部品の入手しやすさを重視しての金属製ビスの採用なのだろう。

45号の時、中学三年生だった私は、
これなら作れそうと思ったほどだった。

記事には穴開け用の方眼紙的な図も載っていた。
この図を使ってベークライトの板に穴を開けていく。
ビスを立てて、部品をハンダ付けして、配線していく。

丁寧に、慌てずにやっていけば、失敗の可能性は低い。
プリント基板を自作するよりもいい方法のように思えた。

自作するほどの予算がなかった私は作ることなく終ってしまったけれど、
これはいまでもいい方法だと思っている。

ただ、当時、私の住んでいた田舎で、
上杉先生のアンプ製作に必要な大きさのベークライトは入手できなかっただろう。

とにかく上杉先生の、このアンプが頭にあたったものだから、
ほぼ一年後のステレオサウンド 50号で、Independence TypeIIを見た時、
この二つのアンプが重なった。

Date: 9月 3rd, 2021
Cate: High Resolution

MQAのこと、TIDALのこと(ABBA・その2)

いまのところ、ABBAのアルバムはMQAになっていない。
けれど、新曲は二曲ともMQA(96kHz)で、TIDALでは聴ける。

ということは11月の新アルバムも、TIDALだとMQAのはずだ。

日本ではCDが四種類出る、とあった。
もしかしてMQA-CDもか、と期待したけれど、
ユニバーサルミュージックのサイトを見たら、違った。

でも、これまでのアルバムがMQA-CDで出してくるのかもしれない。
TIDALでも、これまでのアルバムがMQAで配信されるかもしれない。

TIDAL以外ではe-onkyoでも、MQA(96kHz)で聴ける(買える)

Date: 9月 2nd, 2021
Cate: High Resolution

MQAのこと、TIDALのこと(ABBA・その1)

日本時間9月3日、1時45分に、
ABBAの、なんらかの発表がある。

新曲を作っている、ということは三年前ぐらいからニュースになっていた。
新曲は発表されるだろうし、活動再開というウワサもある。

私が期待しているのは、そのどちらでもなく、
TIDALでMQA配信が始まるかどうかか。

ABBAのアルバムは、すでにTIDALで配信されている。
44.1kHzだ。

ABBAの熱心なファンではないけれど、
数曲は、いまも聴きたい(聴いている)。

それらがMQAだったら、いいなぁ、と思っているだけに、
今夜の発表にあわせてTIDALでMQAになるのかどうか。

かなり期待しているのだが、どうなることやら。

Date: 9月 2nd, 2021
Cate: アナログディスク再生, 老い

アナログプレーヤーのセッティングの実例と老い(その6)

ヤマハが、ウェブサイトで、
アナログプレーヤーのGT5000の低温時の使用上の注意を公開している。

タイトルが、長い。
ターンテーブル『GT-5000』について低温時に規定の回転数に達しない、または規定の回転数に達するまで通常よりも時間が掛かる症状につきまして
である。

GT5000の許容動作温度は10度から35度まで、とある。
つまり10度よりも低い温度で使用する人が少なからずいて、
そういう人がヤマハに苦情をいったのだろう。

そうでなければ、こういうことを公開するはずがない。
ヤマハも大変だな、と思った。

GT5000は安いアナログプレーヤーではない。
通常のモデルが660,000円(税込み)、
ピアノ仕上げが880,000円(税込み)である。

これだけのモノを買う人だから、
アナログディスク再生をきちんとやってきた人だ、とつい考えがちである。

でも、どうもそうではないようだ。
アナログディスク再生をずっとやってきて、どういうことなのかわかっている人ならば、
こんな使い方はしないからだ。

ヤマハがいうところの低温時は、10度を下回っている状態のはずだ。
そういう低い気温で、GT5000がきちんと動作したとしても、
だからといって、アナログディスク再生に適した状態ではない。

GT5000の回転数が規定に達しない、時間がかかる気温では、
アナログディスクそのものが、快適な気温よりも硬くなっている。

ディスクだけではない、カートリッジのダンパーも硬くなっている。
スピーカーのエッジ、ダンパーもそうである。

そういう状態で、なぜアナログディスクを再生しようとするのか。
理解できない。
やってはいけないことである。

ヤマハが公開している対策は、ごく当り前のことだし、
こんなことは常識だった。

なのにヤマハが低姿勢で《深くお詫び申し上げます》とある。

ヤマハが謝ることではない。
謝ってしまっては、それこそ誤りだ。

Date: 9月 2nd, 2021
Cate: 新製品

JBL SA750(その13)

今日はステレオサウンド 220号の発売だけれども、
雨が降っていて肌寒い日だし、出掛ける用事も特にないので一歩も外に出ないでいる。

なのでステレオサウンドはまだ見ていないが、
友人が、SA750の記事の一部だけをスキャンして送ってくれた。

記事まるごとではなく、私が知りたがっているところ、
SA750の内部写真のところだけである。

内部写真を載せたんだ、編集部! とまず思った。
アーカムのSA30と同じということを、暗に示したくて載せたのか、
そんなことを考慮せずに載せたのか。
どちらかなのかはわからないが、とにかく載っている。

友人によれば、小野寺弘滋氏は、まったくアーカムのことは触れられていない、とのこと。
それはそうだろう。予想通りである。

それだけに内部写真の掲載は、驚きだ。
掲載された写真は大きくはないので細部まで詳細に比較できるわけではないが、
JBLのSA750とアーカムのSA30は同じである。

SA750とSA30が同じであることを公にしたくなければ、
SA750の内部写真を載せなければすむことだ。

そこをあえて掲載したのであれば、
細部を比較して、こういう違いがある、と説明すればいいのだが、
そういうことはしていない、とのこと。

これはしなかったのではなく、できなかったのか。

Date: 9月 2nd, 2021
Cate: オーディオ評論

B&W 800シリーズとオーディオ評論家(その8)

昨日(9月1日)、B&Wの新しいスピーカーシステムの情報解禁だった。
フラッグシップモデルの801 D4が、ステレオサウンド冬号の表紙になるのか。
もしなったとしたら、また代り映えのしない表紙になるのか──、
そんなことを思いながらも、新しいB&Wのスピーカーにワクワクしていなかった。

今回も、オーディオ雑誌での評価は高いものだろうし、
そのことに異を唱えるつもりはない。

聴けば、前シリーズよりも改良されているのは、きちんと聴きとれるであろう。
ケチをつけるところなんて、ほとんどない出来になっているはずだ。

優秀なスピーカーだし、その優秀性はより高くなっている──、
このことはB&Wの800シリーズに関しては、音を聴かなくてもいえること。

なのにワクワク感が、私にはまったく感じられない。
私と反対に、早く聴いてみたい、という人も少なくないはずだ。

その人たちは、ワクワク感があるのだろうか。
そのワクワク感と私のワクワク感は、どう違うのか。

そこを知りたいと以前から思っているのだが、
私の周りのオーディオマニアで、B&Wの800シリーズにワクワクしている人は一人もいない。

ワクワク感とは、曖昧な表現でしかない。

ワクワクした(しない)──、
このことをきちんと言葉で伝えるのは、なかなかに難しい。

ワクワク感については、項を改めて書くつもりだが、
今回の新しい800シリーズにワクワク感をおぼえないのは、
そこにワクワク感があったとしても、
それはこれまでのワクワク感の延長だからなのかもしれない。

これからのワクワク感がないからなのかもしれない。

このことは800シリーズが、定評あるモデルの改良版から来ることなのか、
他に理由があることなのか。

Date: 9月 2nd, 2021
Cate: High Resolution

MQAのこと、TIDALのこと(44.1kHzのデジタル録音・その1)

ソニー・ミュージック、ソニー・クラシカルは、
サンプリング周波数が44.1kHzのデジタル録音であっても、
MQA StudioでのTIDAL配信を行っている。

このことは、ほんとうにありがたいことで、
44.1kHzという制約のなかであっても、音がよみがえってくる。

けれど、別項でも書いているように、ソニー以外は44.1kHz録音に関しては、
MQA化をほとんとやっていない、といっていい。

さきほど、ふとアンドレ・プレヴィンをTIDALのラインナップを眺めていた。
するとフィリップス録音のガーシュインに、MQAのアイコンがついている。

プレヴィンのガーシュインは、1984年録音。44.1kHzのはずなのに、
(クライバーの「トリスタンとイゾルデ」のように)また間違いか……、
そう思いながらも、念のためと再生してみると、44.1kHzでありながら、MQAであった。

このことは、ユニバーサルミュージックも、ソニー同様、
44.1kHz音源のMQAをやっていくということになるのか。

そうであるならば、ソニーのMQAとともに、今年もっともうれしいニュースとなる。

Date: 9月 1st, 2021
Cate: ディスク/ブック

Elena Fischer-Dieskau(その2)

エレナ・フィッシャー=ディスカウの録音は、海外でも評価が高いようである。

dCSの本国のウェブサイトに、“The dCS Edit”というページがある。
8月31日の記事は、“dCS Classical Choices August 2021”で、
四枚のディスクが選ばれている。

その中の一枚が、エレナ・フィッシャー=ディスカウである。
そこには、こうある。
     *
All three pieces are thematically tight, big-boned and emotionally wild, and abounding in contrapuntal textures and technical complexities.
     *
《big-boned》である。
骨太である。

やはり、そう感じるのか、と読んでいて嬉しくなる。

この人のベートーヴェンを、早く聴きたい。

Date: 9月 1st, 2021
Cate: ショウ雑感

2021年ショウ雑感(その23)

インターナショナルオーディオショウは、いまのところ開催の予定である。
ウェブサイトでは、9月13日から事前予約登録を開始する、とある。

ウェブサイトには、感染拡大によっては、開催を中止する、ともある。
ぎりぎりまでどうなるのか、決らないのだろう。

でも感染拡大したとしても、来場者無しという選択肢は、
日本インターナショナルオーディオ協議会にはないのか。

私は、今年は行かないと決めている。
それでも開催された場合、どうやるのかはひじょうに興味がある。

興味があるから、私だったら──、ということを考える。
私だったら、二部制を考える。

インターナショナルオーディオショウは10時から19時までの九時間。
なので午前の部は10時から14時までの四時間、
午後の部は15時から19時までの四時間。

14時から15時までの一時間で、来場者全員を退場させ、
空気の入れ替え、消毒なとの感染対策をしっかりと行う。

四時間では、すべてのブースをまわれないという苦情が出るであろう。
10時から19時までいても、すべてのブースの音をじっくり聴こうとすると、
時間が足りないくらいなのだから。

それでも、こういう状況下だから、それも仕方ないこと。

一つ私が知りたいのは、開催されるとして、
今年は出展を辞退するという会社があるのかどうか。

Date: 9月 1st, 2021
Cate: 新製品

JBL SA750(その12)

ステレオサウンドのサイトをみると、
220号の表紙はオーディオノートのパワーアンプである。

新製品紹介記事で、JBLのSA750を担当するのは、予想通り、小野寺弘滋氏で、
カラーページでの扱いだ。見開き2ページだろう。

2ページの文字数で、小野寺弘滋氏は、どんなことを書かれているのだろうか。
おそらくSA600のアーノルド・ウォルフのことについて触れられているはずだ。
そのうえで、SA750のデザインを、どう評価されているのか。

SA750のデザインに関しては、それぞれおもうところがある。
当り障りのないことを書いているのか、
一つでも発見のある内容なのか、そのあたりが楽しみである。

たぶんアーカムのSA30との関係については触れられていないはずだ。
小野寺弘滋氏は、ここをずばりと書ける人ではない(と私は思っている)。

肝心なのは、やはり音だ。
聴いてみたい、と読み手に思わせるほどなのかどうか。

明日になれば、はっきりとする。
『没後40年 オーディオの詩人「瀬川冬樹」が愛した名機たち』もあって、
ひさしぶりに発売日を楽しみにしているステレオサウンドである。

Date: 9月 1st, 2021
Cate: オーディオ評論

オーディオ評論をどう読むか(その11)

その10)で、今年は「瀬川冬樹 没後40年に寄せて」が載るのだろうかと書いた。

明日(9月2日)発売のステレオサウンド 220号に、
『没後40年 オーディオの詩人「瀬川冬樹」が愛した名機たち』が載る。

黛 健司氏が書かれている。
どんな内容なのかは、発売日前なのでわからないけれど、
黛 健司氏だから、安心して読めるはずだ。

ちょっとひっかかるのは、タイトルの名機である。
あえて名器でなく名機としたのか。
それともなんとなく名機なのか、タイトルは編集部がつけたのか。

なんにしても、220号には読みたい記事が載っている。

Date: 8月 31st, 2021
Cate: 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これから(ダイヤトーンの終焉か)

今月上旬に、ダイヤトーンのスピーカーが製造中止になっていることを知った。
ダイヤトーンのサイトに行くと、
小さく「2021年3月 生産終了」とある。

スピーカーシステムのDS4NB70が、ひっそりと製造中止になっていたわけだ。
オーディオ店へは、それとなく伝えてあったらしい。

後継機種のことは、なんら情報はない。
はっきりとしたことはいえないが、
このままダイヤトーン・ブランドのスピーカーシステムは消えてしまうのか。
そんな感じである。

DS4NB70は2017年のOTOTENで聴いている。
DS4NB70の音よりも、
楽しそうにレコードをかけていくダイヤトーンのスタッフの印象が強く残っている。

別項でも書いているが、昭和のオジサンという感じで、キャラが濃い人だった。
私がステレオサウンドで働いていたころは、
濃いキャラの人が、各社に一人はいた。

ダイヤトーンは、こういう人が仕事をやれているのか、と思いながら、
その人の話を楽しんで聞いていた。

でもDS4NB70は製造中止になっている。
売れなかったのが理由なのか。
そうであろうけれど、振動板の製造枚数が決っていたのかもしれない。

静かな消え方だ、とおもう。

Date: 8月 31st, 2021
Cate: 世代

世代とオーディオ(gaussのこと・余談)

六年ほど前に、
「世代とオーディオ(ガウスのこと)」というタイトルでガウスのことを書いていた。

今日、ガウスをgaussとしたのに、少しだけ理由がある。
数日前、AEAを検索してみた。

AEAといっても、若い世代の人たちは知らなくて当り前だし、
私と同世代であっても「AEAって、あったっけ、そんなブランド?」である。

1970年代後半、マークレビンソン、AGI、DBシステムズなどが登場した時期に、
やはりアメリカからAEAというブランドのコントロールアンプが輸入された。

シュリロ貿易が輸入元だった。
Analogue 520という型番で、298,000円だった。
トーンコントロールも備えていた。

どんな音なのかはわからない。
でも、シュリロ貿易が輸入しているのだから、
変なモノではないはず、と信用していた。

「AEA audio」で検索したら、すぐに見つかった。
まさかいまも会社があるとは思っていなかった。

いまはアンプは作っていない。
AEAのウェブサイトを見れば、どういう活動をしているのかすぐにわかる。

それでガウスである。
ガウスは活動していない。

それでもガウス(gauss)の名前は、復活している。
AVANTONE(アヴァントーン)というブランドのスピーカーの型番で復活している。

アヴァントーンの輸入元は宮地商会。

宮地商会のサイトには、AURATONEの再来、とある。
なので小型モニタースピーカーを手がけている会社のようだ。

アヴァントーンの新製品が、Gauss 7である。

“Gauss: the legend is back.”とある。

さらに《Gauss Speaker Companyの失踪から数十年・・・昔ながらのビンテージニアフィールドモニターのスナップとニュースクールモニターの帯域幅と周波数応答を持ち合わせたGauss 7(ガウスセブン)として帰ってきました。》
と書いてある。

フロントバッフルのgaussの文字は、ガウスのロゴそっくりである。
ガウスの元関係者が、携わっていたりするのか、そのへんのところは不明。

Date: 8月 30th, 2021
Cate: 新製品

JBL SA750(その11)

そろそろステレオサウンド秋号の発売時期。
おそらくJBLのSA750の試聴記事が載っているはずだ。

カラーページで取り上げられるのではないだろうか。
モノクロ1ページということはないはずだ。

カラー見開き2ページでの紹介。
書いているのは、おそらく小野寺弘滋氏と思う。

誰だろう? と考えてすぐに浮びもするし、
消去法でいっても小野寺弘滋氏が残る。

カラーかモノクロなのかは断言できないけれど、
小野寺弘滋氏が書いているのは、断言できる。
他にいないからだ。

SA600とのデザインの比較について書いてあるのだろうか、
アーカムのSA30のことはどうなのだろうか。

SA750の内部写真は載っているのか。
載っているならば、アーカムのSA30がベースモデルかどうかは一目瞭然である。
Googleで画像検索すれば、SA30の内部写真はすぐに表示される。

SA750の内部写真を載せているのか載せていないのか。
その説明をどう書いているのか。
このあたりも興味がある。

といっても、いちばん興味があるのは、その音である。

瀬川先生は、SA600のことを、こう書かれていた。
     *
 そこに思い当ったとき、記憶は一度に遡って、私の耳には突然、JBL・SA600の初めて鳴ったあの音が聴こえてくる。それまでにも決して短いとはいえなかったオーディオ遍歴の中でも、真の意味で自分の探し求めていた音の方向に、はっきりした針路を発見させてくれた、あの記念すべきアンプの音が──。
     *
瀬川先生は、ステレオサウンド 52号の特集の巻頭で、
《SA600を借りてきて最初の三日間というものは、誇張でなしに寝食を惜しみ、仕事を放り出して、朝から晩までその音に聴き耽った》
とも書かれている。

1981年、ステレオサウンド別冊の巻頭では、
《およそあれほど無我の境地でレコードを続けざまに聴かせてくれたオーディオ機器は、ほかに思い浮かばない》
と書かれている。

SA600とSA750は違うことは承知している。
時代も違う。
それでも、どこか期待してしまう。

期待するだけ、無駄と半分わかっていても、そうしてしまう。
そういう音は、おそらくSA750からは鳴ってこない(はずだ)。
聴いてもいないのに、そう書いてしまっている。

私がオーディオ評論家だったとして、
SA750の新製品紹介の依頼があったとしたら、即答でことわる。

SA600への思い入れを無視して、なにかを書けるわけではないからだ。