Archive for category 電源

Date: 10月 10th, 2008
Cate: 電源

ACの極性に関すること(その2)

ステレオサウンドでは試聴の準備で、CDプレーヤーやアンプはすべてACの極性をチェックする。
アース電位をデジタルテスターで測ってみる。
テスターに表示される数字の低い方を、基本的にはACの極性が合っていると判断する。
ただ一部の機器はメーカー側の指定があり、アース電位の高いこともある。

私がステレオサウンドにいたのは1988年12月までで、
それまで測った機種でアース電位が優秀だったのは、マッキントッシュのアンプだった。
いまのマッキントッシュのアンプがどうなのかは知らない。

マッキントッシュのコントロールアンプと、
機能を絞った、いわゆるハイエンドオーディオと言われるメーカーのコントロールアンプ、
アース電位が低いのはマッキントッシュである。

いうまでもなくマッキントッシュのコントロールアンプは多機能だから、
トーンコントロール、フィルターなどを装備しているため、どうしても内部構成は複雑になる。
にも関わらず、ほとんどコントロールアンプとしての機能を持たない機種、
つまり内部構成はずっとシンプルで、配線の引き回しも少なく、ディスクリート構成なのに、
アース電位はかなり高く、しかもAC極性を変えると、大きく値が変動する。
しかも測定している最中、アース電位がふらつく。

マッキントッシュの方は低いだけでなく、AC極性を反転させても、
ほとんどアース電位が変化しない。しかも安定している。
もちろんアース電位の値だけで音が決定されるわけではない。
けれど、AC極性の反転で電位の変化幅の大きいアンプは、音の変化も大きい。
マッキントッシュのアンプも、AC極性を変えると音は変化するが、それほど大きい差ではない。

人の価値観はさまざまだから、どちらを優秀なアンプとして評価するかは異るだろうが、
少なくともアンプとして安定しているのはマッキントッシュである。

Date: 10月 9th, 2008
Cate: 五味康祐, 電源

ACの極性に関すること(その1)

1981年か82年ごろか、あるオーディオ誌に連載をお持ちのあるオーディオ評論家が、
「ACに極性があるのを見つけたのは私が最初だ」と何度か書いているのを見たことがある。
なぜ、こうもくり返し主張するのか、声高に叫ぶ理由はなんなのか……。

少なくとも、このオーディオ評論家が書く以前から、
ACの極性によって音が変化することは知られていた。
私でも、1976年には知っていた。

この年に出た五味先生の「五味オーディオ教室」に、次のように書いてあったからだ。
     ※
音が変わるのは、いうまでもなく物理的な現象で、そんな気がするといったメンタルな事柄ではない。
ふつう、電源ソケットは、任意の場所に差し込みさえすればアンプに灯がつき、アンプを機能させるから、スイッチをONにするだけでこと足りると一般に考えられているようだが、実際には、ソケットを差し換えると音色──少なくとも音像の焦点は変わるもので、これの実験にはノイズをしらべるのがわかりやすい。
たとえばプリアンプの切替えスイッチをAUXか、PHONOにし、音は鳴らさずにボリュームをいっぱいあげる。どんな優秀な装置だってこうすれば、ジー……というアンプ固有の雑音がきこえてくる。
さてボリュームを元にもどし、電源ソケットを差し換えてふたたびボリュームをあげてみれば、はじめのノイズと音色は違っているはずだ。少なくとも、どちらかのほうがノイズは高くなっている。
よりノイズの低いソケットの差し方が正しいので、セパレーツ・タイプの高級品──つまりチューナー、プリアンプ、メインアンプを別個に接続して機能させる──機種ほど、各部品のこのソケットの差し換えは、音像を鮮明にする上でぜひ試しておく必要があることを、老練なオーディオ愛好家なら知っている。
     ※
これを読んだとき、もちろん即試してみた。お金もかからず、誰でも試せることだから。
たしかにノイズの量、出方が変化する。

もっともノイズでチェックする方法は、
現在の高SN比のオーディオ機器ではすこし無理があるだろう。
音を聴いて判断するのがイチバンだが、テスターでも確認できる。
AC電圧のポジションにして、アース電位を測ってみるといい。
もちろん測定時は、他の機器との接続はすべて外しておく。

ここで考えてみてほしいのは、
なぜ五味先生はACの極性によって音が変化することに気づかれたかだ。

マッキントッシュのMC275に電源スイッチがなかったためだと思う。
五味先生が惚れ込んでおられたMC275だけでなく、マッキントッシュの他のパワーアンプ、
MC240も、MC30などもないし、マランツのパワーアンプの#2、#5、#8(B)にも電源スイッチはない。
マッキントッシュの真空管アンプで電源スイッチがあるのは、超弩級のMC3500、マランツは#9だけである。

MC275の電源の入れ切れは、
コントロールアンプのC22のスイッチドのACアウトレットからとって連動させるか、
壁のコンセントから取り、抜き挿すするか、である。

あれだけ音にこだわっておられた五味先生だから、おそらく壁のコンセントに直に挿され、
その都度、抜き差しされていたから、ACの極性による音の変化に気付かれたのだろう。

なにも五味先生に限らない。
当時マランツの#2や#8を使っていた人、マッキントッシュの他のアンプを使っていた人たちも、
使っているうちに気づかれていたはずだ。
だから五味先生は「老練なオーディオ愛好家なら知っている」と書かれている。

そして、誰も「オレが見つけたんだ」、などと言ったりしていない。