ACの極性に関すること(その2)
ステレオサウンドでは試聴の準備で、CDプレーヤーやアンプはすべてACの極性をチェックする。
アース電位をデジタルテスターで測ってみる。
テスターに表示される数字の低い方を、基本的にはACの極性が合っていると判断する。
ただ一部の機器はメーカー側の指定があり、アース電位の高いこともある。
私がステレオサウンドにいたのは1988年12月までで、
それまで測った機種でアース電位が優秀だったのは、マッキントッシュのアンプだった。
いまのマッキントッシュのアンプがどうなのかは知らない。
マッキントッシュのコントロールアンプと、
機能を絞った、いわゆるハイエンドオーディオと言われるメーカーのコントロールアンプ、
アース電位が低いのはマッキントッシュである。
いうまでもなくマッキントッシュのコントロールアンプは多機能だから、
トーンコントロール、フィルターなどを装備しているため、どうしても内部構成は複雑になる。
にも関わらず、ほとんどコントロールアンプとしての機能を持たない機種、
つまり内部構成はずっとシンプルで、配線の引き回しも少なく、ディスクリート構成なのに、
アース電位はかなり高く、しかもAC極性を変えると、大きく値が変動する。
しかも測定している最中、アース電位がふらつく。
マッキントッシュの方は低いだけでなく、AC極性を反転させても、
ほとんどアース電位が変化しない。しかも安定している。
もちろんアース電位の値だけで音が決定されるわけではない。
けれど、AC極性の反転で電位の変化幅の大きいアンプは、音の変化も大きい。
マッキントッシュのアンプも、AC極性を変えると音は変化するが、それほど大きい差ではない。
人の価値観はさまざまだから、どちらを優秀なアンプとして評価するかは異るだろうが、
少なくともアンプとして安定しているのはマッキントッシュである。