Archive for category ロングラン(ロングライフ)

Date: 10月 2nd, 2014
Cate: ロングラン(ロングライフ)

ロングランであるために(JBL 4311というスピーカー・その3)

4311が売れていたであろう時代のことを思い出してみると、
オーディオ店に行けば、4311はほとんどのところに展示してあったように記憶している。

ブックシェルフ型スピーカーは、各社のいくつものスピーカーが重ねられていることが多かった。
その中に4311はたいていあった。

国産のブックシェルフ型スピーカーの中にあっても、4311は目立っていた。
サテングレーの塗装仕上げで、木目ではないことも大きな理由であった。
ウーファーのコーン紙が白いことも、目立っていた理由のひとつである。

それに3ウェイなのだが、ウーファーがいちばん上にあり、
トゥイーターとスコーカーが下側にある、という4311独自のユニット配置も目立っていた。

これだけ目立つスピーカーシステムなのに、不思議と国産メーカーがマネしなかったのは、
いま考えると不思議でもある。
やはり一般的なユニット配置と反対なところがネックとなっていたのだろうか。

4311の音。
これが思い出せない。
記憶をたどってみても、聴いていないようなのだ。
4312になってからは何度か聴いている。

知人が購入して、オーラのプリメインアンプVA40と組み合わせていたのは、素直にいいな、と思えたし、
4312のころになると、クラシックを苦手とするスピーカーというイメージはほとんとなくなっていた。

Date: 4月 18th, 2014
Cate: ロングラン(ロングライフ)

ロングランであるために(JBL 4311というスピーカー・その2)

47号からあとのステレオサウンドのベストバイに4311は選ばれているのか。
51号でも選ばれていない。
55号でやっと登場する。
けれど次のベストバイの号、59号では選ばれていない。

4343、4350は選ばれている。
4333Aも選ばれているし、その他のコンシューマー用モデルもいくつか選ばれている。
4311と同価格帯のコンシューマー用モデルは選ばれているし、4301も毎回登場するにも関わらず、
4311はステレオサウンドのベストバイとは無縁の存在であるかのようだ。

4311が現役のころ、私が熱心に読んでいたのは、このステレオサウンドだった。
他のオーディオ雑誌も読んでいた。
FM誌以外にオーディオ雑誌はいくつもあった。
オーディオピープル、サウンドメイト、オーディオ、電波科学などがそのころにあって、
いまはなくなってしまった雑誌である。

これらのオーディオ雑誌も毎号は無理でもよく買っていた。

ステレオサウンドとは編集方針の違いがあるのはわかっているけれど、
これらのオーディオ雑誌でも4311が積極的に取り上げられているという印象はまったくない。

この4311をJBLはアルニコマグネットフェライトに置き換えたときに、最初に選んでいる。
スタジオモニターシリーズで最初に型番の末尾にBがつき、
フェライトマグネットによるSFG回路を搭載したのは4311であるし、
現在の4312Eのウーファーの仕様を、ハーマンインターナショナルのサイトで確認すると、
このスピーカーの価格はいくらなのか、とわかっていても確認したくなるほど、贅沢なものとなっている。

JBLは4311の系列に、つねに積極的である。
それだけ4311の系列は売れ筋のスピーカーシステムなのだろう。

Date: 4月 17th, 2014
Cate: ロングラン(ロングライフ)

ロングランであるために(JBL 4311というスピーカー・その1)

JBLの数あるスピーカーシステムのなかでもっともロングセラーを続けているのは、
3ウェイのブックシェルフ型の4311である。

現在では4312と型番は変っていても、その基本は1971年に発表された4310である。
4310は1973年に4311へ、そして1982年に4312となり、4312の型番の末尾にアルファベットがつくようになり、
現在の4312Eにいたる。

もう30年以上経っている。
30年もJBLが、このスピーカーシステムをつくり続けているということは、
やはり売れるから、が理由であろう。
どんなに優れたスピーカーシステムであっても、売れなければ(つまり商売にならなければ)、
JBLだって(ほかの会社だって)製造中止にするだろう。

つまり4311、4312は売れつづけているスピーカーシステムといえる。

4311の前身として4310があったことは知っていた。
でも見たことはない。
となると4310よりも、そんな私にとっては4311ということになるし、
4311が現在の4312へと続いている、という印象を持っている。

その4311だが、ステレオサウンドの読者だった私にとって、実はあまりいい印象は持っていない。
それはなぜか、というと、誌面でほとんど取り上げられていないからである。

私の知るかぎり4311は、ステレオサウンドの特集記事(つまりスピーカーの総テスト)には登場していない。
それに、意外に思われる方もいるだろうが、
35号、43号、47号といったベストバイにも4311は登場していない。

Date: 9月 26th, 2013
Cate: ロングラン(ロングライフ)

ロングランであるために(その18)

一人でなんとかやっている会社を、
主宰者がいなくなったあとのことを考えて、人を雇って組織化できればいいが、
一人でやっていた会社には、一人でやっていた理由があるのだから、
その理由から組織にしていくのは難しい、と思われる。

けれど、後々のことを考慮すれば、なんらかの組織はなければならないわけで、
それは、何も会社という、ひとつの組織ということに縛られることはない、と思う。

この項の(その17)で引用した山中先生の話に出てくるように、
販売店をふくめての「組織」ならば、充分可能ではないのか。

私がまだ田舎に住んでいたころは、
田舎ということもあって量販店はなかった。
あったのは、各メーカーを専門に扱う個人経営の電器店だった。

東芝の製品だったらあの電器店、日立の製品だったら別の電器店、というぐあいだった。
すべての製品だったわけではないだろうが、その電器店で修理もやっていたと記憶している。

いまも、そういう電器店とはつきあいがある、といっていた。
ちょうどEIZOから川崎先生デザインのテレビ、FORISが登場したとき、
実家でもテレビを買い替えるつもりで、何がいいか、という電話があった。

当然FORISを勧めたわけだが、却下された。
理由は、FORISそのものにあったわけではなく、
実家にとっては昔からのつきあいが続いている電器店から購入できるかどうかが、
製品のクォリティよりも優先されることだった。

しつこく説得しても、○○さん(つきあいのある電器店)から買えなければダメ、をくつがえせなかった。

Date: 2月 9th, 2013
Cate: ロングラン(ロングライフ)

ロングランであるために(続々続サンスイの場合)

アクアオーディオラボはサンスイ出身の方たちが集まっている。

日本にはいくつものオーディオメーカーがあった(ある)。
アクアオーディオラボを始められたサンスイ出身の方たちと同じように、
いまはオーディオメーカーを離れているOBの方たちは大勢おられることと思う。

アクアオーディオラボに触発されて、
もしかするとほかのメーカーのOBの方たちが集まって、
アクアオーディオラボと同じことを始められることだってあるだろう。
その可能性は、決して低くはないとおもっているし、
アクアオーディオラボだけではなく、他にもいくつも、こういう会社が現れてきてほしい、と願う。

そうなったときに、それぞれが独立して業務を行なうよりも、
同じ場所に集まって業務を行うほうが、効率がいいだろうし、メリットもあるはず。

アンプの開発には測定器が必要になる。
測定器は修理のときにも、当然必要になる。

それぞれが独立していれば、各自で測定器を用意しなければならないが、
ひとつ所で集まっていれば、測定器の数も、その他の設備も少なくて済む。

修理には部品のストックも必要となる。
この面でもメリットはある。

現役のときにそれぞれがライバル同士であっても、
会社を辞め、アクアオーディオラボのような会社で働くことになったら、
もうライバルではなく、ともに日本のオーディオ界を築いてきた同志なのではなかろうか。

この種のことには旗振り役が必要となるだろう。
オーディオ協会、もしくはステレオサウンドが、その旗振り役になってくれれば……、とおもっている。

Date: 2月 8th, 2013
Cate: ロングラン(ロングライフ)

ロングランであるために(続々サンスイの場合)

アクアオーディオラボのことが、こうやって記事になるのは、サンスイが破綻したからであって、
破綻しなければ、アクアオーディオラボのような存在は必要ない──、
ということには決してならない、と私は思っている。

1970年代のオーディオブームには、いくつもの会社がオーディオに参入した。
専業メーカー以外もいくつもあり、いまもオーディオ機器を開発・製造しているメーカーはあるけれど、
かなりの数のメーカーがオーディオからは撤退した、ともいえる。

そのころの製品、そのあとの製品でもいい、
製造終了後、10年以上経過した製品の修理をきちんと対応してくれるメーカーが、
どれだけあるのだろうか。

経営破綻しなかったオーディオメーカーは、ある。
その会社の製品がこわれて修理が必要になったとき、どこまで対応してくれるのか。
旧い機種であれば、相当数の機種が修理をことわられることが多いはず。

大きな会社だから修理をしてくれる、とか、反対にしてくれない、とか、
そういうことではなく、会社の体質としての問題であろう。

アクアオーディオラボについては朝日新聞のウェブサイトの記事を読めばわかるように、
サンスイでアンプの開発・製造に携わってこられた方たちによる会社である。

この方たちが、こうやって、いま集まってサンスイのアンプの修理を継続されているのは、
やはりサンスイという会社の、修理に対する意識の高さがあったからのようにもおもえてくる。

朝日新聞の記事では5分ほどの動画もみられる。
見ていて、AU-D907 Limitedの修理のことを、私は思い出していた。

サンスイという会社につとめられていたからこそ、この方たちは集まった、とおもえてならない。
サンスイがまったく違う体質の会社であったなら、この方たちは集まらなかったのかもしれない。

こういうメーカーの製品は、ひとつ手もとに置いておきたい。
いまになって、AU-D907 Limitedを手離したことをひどく後悔している。

Date: 2月 8th, 2013
Cate: ロングラン(ロングライフ)

ロングランであるために(続サンスイの場合)

東京での初の住まいは寮だった。
AU-D907 Limitedを、同じ寮のほかの部屋に持ち込んで音を鳴らしたときに、故障してしまった。
すごいショックだった。

寮は三鷹にあった。
自転車の荷台にAU-D907 Limitedをしばりつけて、
落さないように手で抑えながら、つまり自転車を台車の代りとして押して、
同じ三鷹にあったサンスイのサービスセンターにまで持ち込んだ。

こまかなことは、もう忘れてしまったけれど、サンスイの修理の対応はよかった、とだけ記憶に残っている。
修理から戻ってきたAU-D907 Limitedに、だからより愛着を感じるようになった。

とはいいつつも、どうしても欲しいという人が身近にいて、結局は手離すことになったけれど……。

サンスイは2012年4月に破綻した、というニュースがあった。
破綻した、ということに驚いたというよりも、まだ活動をしていたことにすこし驚いたのだから、
私の中ではサンスイは、オーディオマニアを魅了した、あのころのサンスイとしては終っていたわけだが、
私にとってサンスイは、AU-D907 Limitedとその修理の件以外にも、思い入れのあるメーカーである。

数年前にサンスイのアンプの修理を請け負っているところがある、ときいた。
そのときは、それ以上のことを調べようとは思っていなかった。

今日、朝日新聞のウェブサイトに「サンスイの音色、OBが守る 修理依頼絶えぬ埼玉の工場」という記事をみつけた。

埼玉県入間市にあるアクアオーディオラボのことである。

Date: 2月 8th, 2013
Cate: ロングラン(ロングライフ)

ロングランであるために(サンスイの場合)

大事に使っていても、こわれることがある。
修理に出す。そのときのメーカーの対応で、修理が済み戻ってきたオーディオ機器に、
より愛着を感じるか、愛着が薄れてしまうかになってしまうことだってある。

高校の時にサンスイのAU-D907 Limitedを購入した。
それまでつかっていたプリメインアンプよりもずっと価格的にも、
アンプとしてのグレードも高いプリメインアンプ、
しかも型番の末尾に”Limited”がつくように限定品。

さらにステレオサウンドのState of the Art賞に選ばれている。
53号に、AU-D907 Limitedが載っている。
菅野先生が書かれている。

そこにもあるように、プリメインアンプで”State of the Art”賞に選ばれた最初のモデルでもある。
欲しかった。どうしても欲しかった。
だから修学旅行に行かず、そのための積立金が戻ってきたときに、
アルバイトをして貯めた小遣いと足して、なんとか、このプリメインアンプを買えた。

家にAU-D907 Limitedが届いたときに感じた重さは、
それまでのプリメインアンプとは違う、中味のぎっしりとつまった密度の高い重さがうれしかった。

大事につかってきた。
東京に出てきたときにも、このアンプだけは持ってきた。
とにかく手もとに置いときたかったからだ。

Date: 9月 16th, 2012
Cate: ロングラン(ロングライフ)

ロングランであるために(その17)

山中先生からきいた話がある。
同じことを、菅野先生との対談も語られている。
ステレオサウンド 70号の巻頭対談に載っている。
     *
山中 アメリカの小売店というのは、これは昔からそうなんですが、ある街にオーディオ店が何軒かあるとすると、扱っている商品がすべて違うんです。ですから、お客さんも全部違う。しかも、扱っている商品に関して、サービスが徹底し、メインテナンスもすべて自分のところでできるくらいになっています。
 補修用のパーツをメーカーからとって、ある程度の修理は、自分のところで引き受けられるくらいの店としての技術、格式、誇りがあるんです。お客のほうもそこを頼りにしていきますしね。人間対人間の信頼関係によって商(あきない)が成立しているのです。
菅野 ですから外国のメーカーの人が日本に来て、その販売事情を見てまず感じるのは、日本のオーディオ店は、オーディオ販売店じゃないと、あれは単にオーディオサプライヤーであると厳しく非難してゆきます。
 売るという行為は何もしていないじゃないか、売るということは、売った物に対して責任を持つことであり、当然サービスが必要であり、自分が信じて、要は自分の好きなオーディオ機器を自信をもって説得するのがセールスであるという考え方を彼等は当然なこととしてもっている。ところが、日本にセールスはないと言いますね。量販、量販できたことの弊害というのは、今、様々なレベルで表に出ない問題をかかえこんでしまっていると言えるでしょう。
     *
ステレオサウンド 70号は1984年3月に出ている。
約30年前の話ではあるから、アメリカ、ヨーロッパのオーディオ機器の販売の状況も変化しているかもしれない。
でもアメリカの小売店の在り方は、個人によるガレージメーカーが主宰者をなくしたあとも、
修理、メンテナンスを継続していくうえで採り入れていくべきことであり、
そのままでは無理でも、この在り方を参考にしての、個人によるガレージメーカーの在り方がある、と考える。

個人によるガレージメーカーの製品は、数としてそれほど多くは出ない。
文字通り個人(ひとり)でやっているのだから、作っていける数にも限りもある、
取り扱ってくれる販売店の数も多くはないだろうから。

だからこそ、山中先生が話されている、アメリカのオーディオ店の存在とその関係が必要であるし、
またそれが可能である、はずだ。

Date: 9月 13th, 2012
Cate: ロングラン(ロングライフ)

ロングランであるために(その16)

こんなふうに書いていくと、
どうも私が個人によるガレージメーカーを全否定するものと思われるのかもしれないが、
そういうつもりはない。

なにもすべてのオーディオメーカーが組織でなければならない、とは思っていない。
個人だけのデメリットは確かにあるものの、
一人だから、というメリットもあり、だからこそ経営が成り立っていることもあることはわかっている。

私がいいたいのは、個人によるガレージメーカーであっても、
主宰者なきあとのことを考えての手はずを整えておくことはできる、ということと、
そのことをまったくやっていない個人によるガレージメーカーの製品を買う時には、
修理、メンテナンスに関して苦労することがあるかもしれない、
と購入を考えている人にわかっていてほしい、ということである。

どのメーカーとはいわないけれど、
やはり個人によるガレージメーカーの主宰者に、修理のことを訊ねている人がいた。
それに対する答は、明快だった。
そこの製品は、複雑な構成をとっているものではない。
回路的にもひじょうに簡単なものである。
だから、わからないことがあったら、なんでも訊いてくれれば教える、ということだった。
そのガレージメーカーの中に、1機種だけ高価なモノがあるけれど、
それに関しても、複雑そうに見えても構成はそうではなく、故障する箇所は限られている。
そこに関しても、教えますよ、
と惜しみなく、その製品に注ぎ込まれた、その人のすべてを教えてくれるメーカーがある。

こういうメーカーであれば、あまり不安もなく安心して長くつきあっていけることだと思う。
でも一方で、ノウハウは私の商売のタネだから、教えられない、と頑なな主宰者もいるのを、私は知っている。

そう主張したい人がいるのは理解できるし、
自身の商売を守るためのものだから(それにしても狭量だとは思うけれど)、仕方ないことだろう。

でも、主宰者自身が生きている間はたしかに商売をしていくためのことであっても、
主宰者なきあとのことを、彼自身はどう考えているのだろうか。
そういう主宰者にかぎって、製品を、自分の作品と呼ぶ人が多いようにも感じている。

作品と呼ぶのは、いいことでもある。
でも、その作品を買ってくれた人に対して、
自分がなきあとの修理、メンテナンスのことをまったく用意しておかないことは、
作品(製品)を購入し、彼をいわばサポートしてくれた人に対しても、
彼自身が作品と呼ぶ製品に対しても、不誠実な態度のようにみえる。

だから組織化しなければならないわけでもない。
文字通り個人経営であっても、自身が生きているあいだは明せないことであっても、
きちんとできることはある。

Date: 9月 12th, 2012
Cate: ロングラン(ロングライフ)

ロングランであるために(その15)

ガレージメーカーといっても、大きくわければ、ふたつあるだろう。
文字通り個人でやっているメーカーと、数人とはいえ組織化されているメーカーとにわかれる。

私が修理、メンテナンスのことで注意をうながすことをいってしまうのは、
個人でやっているガレージメーカーに関して、である。

会社の規模としては大きな違いはなくとも、
個人(つまりひとりしかいない)会社とすくなくとも組織化されている(すくなくとも数人はいる)会社とでは、
こと修理、メンテナンスに関して、大きな違い、もっといえば決定的な違いが生じることがある。

個人によるガレージメーカーであっても、その主宰者が健在なうちはとくに問題となることはない。
けれど、人はいつか此の世からいなくなる。
寿命であったり、病気が原因のときもあろうし、事故・災害ということもあろう。
それがいつなのかなんて、誰にもわからない。
本人にもわからない。

個人のメーカーでは、主宰者がいなくなってしまうと、
組織化されていないだけにそこで修理、メンテナンスといったアフターサービスも存在しなくなる。
たとえ数人とはいえ組織化されているガレージメーカーであれば、
たとえ主宰者がいなくなっても、新規開発はとまってしまうかもしれないけれど、
修理、メンテナンスは継続してくれる可能性が残っている。

もちろん会社そのものが存在してくれなければ、結果としては同じことになるわけだが、
それでも個人と組織とでは、規模の違いは少なくとも、このことは時として決定的な違いとなってしまう。

日本にもガレージメーカーはいくつかある。
その中には、個人によるところが、いくつかある。
個人でやることによって経費がおさえられるというメリットもあるから、
このこと自体を否定したいわけではない。

ただ購入する側からしてみると、
いざそういうことになったときの対応を考えているのかどうかは大事なことである。

ケーブルとかアクセサリーといった類のモノであれば、
とくに修理は必要としないから、こんなことを気にすることはない。

だがアンプやD/Aコンバーターといったモノになると、そうもいってられない。
まだ安価なモノであれば、故障した時に、そういうことになっていたらあきらめもつくかもしれないが、
高価なモノであったら、そうはいかない。

Date: 9月 7th, 2012
Cate: ロングラン(ロングライフ)

ロングランであるために(その14)

修理の際、ネックとなりやすいのは、なにもオーディオ専用部品だけではない。
消耗部品も、そうなりやすい。

たとえばテープデッキの録音ヘッド、再生ヘッドなどがある。
メーカーが同じヘッドを作り続けていてくれているか、部品をストックしてくれていれば、
ヘッドが摩耗しても安心して修理に出せるのだが、実際は難しいところだと思う。

カセットデッキは、残念ながら魅力的な新製品が登場しなくなって、けっこうな年月が経っている。
いまもカセットデッキを大切に使われている方がいるのは知っているし、
カセットテープにあまり愛着のもてない私でも、機会があれば欲しい、と思えるデッキは少ないながらもある。

でも、実際に入手したとしても、ヘッドの状態を考えると、その選択肢はさらに狭まっていくことになる。
もともとついていたヘッドとまったく同じものが無理でも、同等のヘッドて修理してくれるのならば、
まだそれでもいいと私は思うわけだが、それも難しいのかもしれない。

だから中古のオーディオ機器を眺めている時でも、
アンプを眺めている時とカセットデッキを眺めている時とでは、考えていることが少し異ってくる。
カセットデッキだと、どうしてもヘッドのことが気になり、
故障していなくてもメンテナンスのことが真っ先に頭に浮ぶ。
まだ会社が存続している会社であればなんとかなる可能性はあっても、
会社がなくなっているブランド、もしくはすっかり様変りしてしまった会社のデッキだったりすると、
そういうことを含めても、目でみてしまっている。

修理のことをあれこれ考えてしまうと、
オーディオ機器は買いにくくなってしまう。
こんなことを書いている私が、購入時にはほとんど、というか、まったく故障した時のことは考えずにいる。

けれど、オーディオ機器は、どんなモノであれ、故障しない、ということはない。
たまたま故障しなかった、ということはあっても、だからといって絶対に故障しないわけではない。

そして、オーディオの会社にしても、こういう時代だと、
どういう会社が生き残り、消えていくのか、も予測しにくいし、
オーディオ機器を買うのに、そんなことまで考えて、というのも、すこし淋しい。

それでも、安心して使える、ということのメリットは、
音がいいと同じくらいに重要なことである。

だから私が、あえて修理のことを最初に言ってしまうのは、
ガレージメーカーのブランドについて訊かれたときである。
それも海外のガレージメーカーではなく、国内のガレージメーカーについて、のときである。

Date: 9月 7th, 2012
Cate: ロングラン(ロングライフ)

ロングランであるために(その13)

オーディオ専用部品を使っていることは、製品登場時点では謳い文句になる。
が、製造中止になり数年、もしくは10年以上が経過して故障した場合には、
オーディオ専用部品を使っていたことが、修理のネックになってしまうことも充分ある。

だからといってオーディオ専用部品を使っているオーディオ機器は購入しない方がいい、とは言いたくない。
わずかな音の差を求めて、当時、オーディオ専用部品まで手がけて、という開発姿勢は、
なにかをもたらしている、と思っているからだ。

パイオニアはガラスケース入りの電解コンデンサーを採用していたからこそ、
1980年代後半、パイオニアのアンプやCDプレーヤーに使われている電解コンデンサーには、
銅テープが貼られるようになった。
マネして、手持ちのアンプ、CDプレーヤーで試したことがある。

この銅テープを電解コンデンサーに巻くのは、部品交換とは違い、
音が悪くなった、自分が求める方向とは違うベクトルになってしまった、という場合には、
銅テープをはがせば、元の状態に戻せる。

これが部品交換となると、元の部品を外すためにハンダをとかすために熱を加える。
新しい部品をハンダつづけするためにも熱を加える。
結果、好ましくなかったときに元の部品に戻したとしても、同じ音は戻ってない。
熱を何度も加えることにより、取り外した部品だけでなく、時には周辺の部品も熱で劣化させているからだ。

銅テープを電解コンデンサーに巻くのは、こういうデメリットがない。
ハンダづけのための熱をくわえるわけではない。
ただテープの巻きつけるだけ、である。

ただ部品が密集していると巻きつけにくいことはある。

パイオニアが銅テープを巻くようになったのは、
やはりガラスケース入りの電解コンデンサーを採用した経験からのような気がしなくもない。

もちろんガラスケースに入れることと同じ効果を、銅テープを巻くことで得られるわけではない。
それでも、ここには何かひとつのつながりがある、と私は思いたい。

Date: 8月 30th, 2012
Cate: ロングラン(ロングライフ)

ロングランであるために(その12)

1970年代も終り近くになったころ、
日本のオーディオメーカーは、コンデンサーや抵抗、ケーブルといった部品(受動素子)による音の変化を認め、
積極的に「音の良い部品」を選び採用することから一歩進んで、
部品メーカーと共同であったり、または自社開発で、オーディオ専用部品を開発するようになっていた。

こまかくあげていけばいくつもあるけれど、
私と同年代、または上の世代の方ならば一度は耳にされている部品としては、
オーレックスが全面的に採用したΛコンデンサーがあり、
パイオニアが、独自の無帰還アンプのZ1シリーズに採用したガラスケース入りの電解コンデンサーがある。

Λコンデンサーは当時のオーディオ雑誌に試聴記事が載っていたくらいだから、
一般市販もされたのではないだろうか。
当時は私はまだ上京していなかったから見かけることはなかったけれど、
秋葉原では流通していたのだろうか……。
ガラスケース入りの電解コンデンサーは、市販されなかったはず。

オーレックスとパイオニアだけ例に挙げたが、
各社それぞれ積極的にオーディオ専用部品を開発していた、と思う。

そのころ高校生だった私は、素直にすごいことだと受け止めていた。
それらの部品がほんとうに優れた音質を実現してくれるのにどれだけ役立っているのかはなんともいえないけれど、
そこには他社との差別化という理由もあるだろうが、
各メーカーの意気込みも感じられるのだから、オーディオはある時代、ベンチャービジネス的だったようにも思う。

いまでもこれらの部品がさらなる改良を加えられていたら……、と思うこともある。
けれどこれらのオーディオ専用部品の大半は消えていってしまった。

もちろんなんらかのかたちで、それらの部品開発がもたらしたものが、
現行の部品に活かさされているのだろうとは思っても、一抹の淋しさは否定できない。

そう、これらのオーディオ専用部品は消えていった……。
ということは、これらのオーディオ専用部品を積極的に採用したアンプをいま修理しようとしたとき、
しかもそれらの部品が不良となった故障の場合、
どのメーカーも、これらオーディオ専用部品をストックはしていない、と思われる。

Date: 8月 29th, 2012
Cate: ロングラン(ロングライフ)

ロングランであるために(その11)

海外製のオーディオ機器となると、
輸入商社が変ることにって修理、メンテナンスに関しての状況も大きく変ることもある。
良くなることもあればそうでないこともあるし、ほとんど変らないこともある。

それに輸入商社がなくなることもある。
その会社がなくなってしまったら、そのブランドの取扱いをやめることがある。
ある一定期間は取扱いをやめたあとでも修理に応じてくれるところがほとんどであるが、
それもそう長期間続けてくれるものではない。

修理、メンテナンスに関しては、国産メーカーならばここならば大丈夫、とか、
あそこはあまり良くない、とか、
海外ブランドに関しても、どこがいい、とか、一概にはいえない。

私自身は、といえば、以前はまったく修理、メンテナンスのことなど考慮せずにオーディオ機器を選んでいた。
とにかく音が良いこと、デザインが優れていること、
手もとにおいて愛着がわいてくるモノであることだけで、オーディオ機器を選んでいた。

多少動作が不安定とウワサされるモノであっても、
ほんとうにその音(性能)が、そのときの自分に必要と感じるのであれば、選んでいた。

いまはどうか、というと、そうは変っていない。
故障したら、なんとかなるだろう、なんとかならなかったら、自分でなんとかするしかない、ぐらいの気持でいる。

でも、ときどき、「これって、どう思います?」と訊かれることがある。
この場合の「これ」は、ある特定のブランドであったり、型番であったりする。

このとき、どう答えるかが、私の場合、昔と今とではすこしだけ違ってきているところがあり、
それは修理、メンテナンスに関することである。