ロングランであるために(その15)
ガレージメーカーといっても、大きくわければ、ふたつあるだろう。
文字通り個人でやっているメーカーと、数人とはいえ組織化されているメーカーとにわかれる。
私が修理、メンテナンスのことで注意をうながすことをいってしまうのは、
個人でやっているガレージメーカーに関して、である。
会社の規模としては大きな違いはなくとも、
個人(つまりひとりしかいない)会社とすくなくとも組織化されている(すくなくとも数人はいる)会社とでは、
こと修理、メンテナンスに関して、大きな違い、もっといえば決定的な違いが生じることがある。
個人によるガレージメーカーであっても、その主宰者が健在なうちはとくに問題となることはない。
けれど、人はいつか此の世からいなくなる。
寿命であったり、病気が原因のときもあろうし、事故・災害ということもあろう。
それがいつなのかなんて、誰にもわからない。
本人にもわからない。
個人のメーカーでは、主宰者がいなくなってしまうと、
組織化されていないだけにそこで修理、メンテナンスといったアフターサービスも存在しなくなる。
たとえ数人とはいえ組織化されているガレージメーカーであれば、
たとえ主宰者がいなくなっても、新規開発はとまってしまうかもしれないけれど、
修理、メンテナンスは継続してくれる可能性が残っている。
もちろん会社そのものが存在してくれなければ、結果としては同じことになるわけだが、
それでも個人と組織とでは、規模の違いは少なくとも、このことは時として決定的な違いとなってしまう。
日本にもガレージメーカーはいくつかある。
その中には、個人によるところが、いくつかある。
個人でやることによって経費がおさえられるというメリットもあるから、
このこと自体を否定したいわけではない。
ただ購入する側からしてみると、
いざそういうことになったときの対応を考えているのかどうかは大事なことである。
ケーブルとかアクセサリーといった類のモノであれば、
とくに修理は必要としないから、こんなことを気にすることはない。
だがアンプやD/Aコンバーターといったモノになると、そうもいってられない。
まだ安価なモノであれば、故障した時に、そういうことになっていたらあきらめもつくかもしれないが、
高価なモノであったら、そうはいかない。