ロングランであるために(その7)
故障と修理。
思い出したことがある。
ステレオサウンドで働くようになってから1、2年ほど経ったころ耳にした話がある。
ある地方のオーディオ店のことである。
このオーディオ店ではアンプには関して、アキュフェーズとウエスギアンプを客に薦めていた。
以前は、この店も海外製の高級(高額)なアンプを積極的に進めていた時期もあったらしい。
けれど海外製のアンプの中には故障してしまうと、国内の代理店、輸入商社での修理ではなく、
そのメーカーに送り返して、というものが少なからずあり、
さらには修理を終えてユーザーのもとに戻ってくるまで半年以上かかるものすらあった。
愛用しているオーディオ機器が一ヵ月から長いときには半年以上、リスニングルームからいなくなる。
この間、輸入商社から代替機が用意されることはほとんどないだろう。
店が代替機を用意することもあるだろう。
代替機を用意してくれても、ユーザーにとって愛機が不在なことにかわりはない。
海外製品を使うデメリットと理解してくれる客ばかりではない。
私だって、修理に半年かかるといわれれば、なにかがおかしいと思う。
誰だってそう思うだろう。
それは、高額な価格にみあった製品なのだろうか。
その点、アキュフェーズ、ウエスギアンプは故障そのものがすくない。
しかも修理体制が非常にしっかりしている。
かなり以前の製品でもきちんと修理されて戻ってくる。
このことを軽視しする人もいるだろう。
修理体制がしっかりしているのにこしたことはないけれど、
オーディオ機器でまず大事なのは、音の良さである、と。
私もそう思っているひとりである。
だからSUMOのThe Goldの中古を探し出して使っていたわけだ。
そういう私でも、めったに故障しなくて、
たとえ故障しても修理体制がしっかりしていることは、ひじょうに大きなメリットだと思うし、
そういうオーディオ機器(特にアンプ、それもパワーアンプ)は安心して使える。
なぜなら、パワーアンプの故障でもっともこわいのは、
アンプだけの故障にとどまらず、最悪の場合、スピーカーを破損してしまう危険性もある、ということだ。
おそらく、アキュフェーズとウエスギアンプを薦めるオーディオ店の店主は、
海外製のパワーアンプの故障によって、客の大事なスピーカーを破損してしまうということがあったのだと思う。
客が指名して、そのアンプを購入したのであれば、販売した店、店主に責任があるとはいえない。
けれど、店主としては、それですまされることでもないはず。