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Date: 10月 27th, 2020
Cate: 218, MERIDIAN

218はWONDER DACをめざす(その24)

ネットギアのNighthawk Pro Gaming SX10、
それからMac mini(Late 2014)を導入して、
まず感じたことは電源コードの数の多さである。

CDプレーヤーは、最初一体型を使っていた。
一時期セパレート型も使ったけれど、また一体型に戻った。

一体型ならば、CDプレーヤーの一本だけで電源コードはすむ。
セパレート型でも二本でいい。

なのに、いまは何本いるのか。
CDプレーヤーと218で、最低でも二本。
それにiFi AudioのiPurifier SPDIF用のACアダプターがある。

ここに今月、Nighthawk Pro Gaming SX10とMac miniが加わって、さらに二本増えた。

D/DコンバーターはFX-AUDIOのFX-D03J+を使っているので、
いまのところバスパワーで動作させているけれど、
D/Dコンバーターも、Matrix AudioのX-SPDIF 2を考えている。

そうすると、また一本、電源コードが加わることになる。
電源コードをあれこれ替えるのが好きな人にとっては、嬉しいことなのだろうが、
私のように電源コードはできるだけ少ない方がいいと思っている者にとっては、
なんだかなぁ……、ということになる。

私が、iPhoneと218を組み合わせることに熱心なのは、
このことが関係している。

iPhoneには電源コードは要らない。
FX-D03J+の電源は、iPhoneから供給される。
iPurifier SPDIF用の電源には、
この時は、以前書いているようにアンカーの省電力対応のモバイルバッテリーを使う。

Date: 10月 27th, 2020
Cate: 218, MERIDIAN

218はWONDER DACをめざす(その23)

ヤフオク!で落札したMac mini(Late 2014)は、
三つあるグレードのまんなかのモデルだ。

六年前のMacで、しかも、その時点で最高性能というわけでもないのだから、
いまの水準からすれば、ロースペックということになる。

それに付属品は、電源コードだけ。しかも純正品ではない、ということもあってだろう、
意外と安く落札できた。
31,500円だった。

実をいうと、最初はIOデータのSoundgenicを考えていた。
2TBの安価なモデルは、いま三万円をわずかに切る価格になっている。

この手の製品としては入門機になる。
これで、ものすごい音を出そうと考えたのではなくて、
入門機の実力は、いったいどのくらいなのか、ということに関心があった。

音質的に、どうしても不満があるのならば、
手を加えればいいや、ぐらいに考えて購入寸前までいったときに、
そういえば、いまMacの中古は、どのぐらいするのだろうか、と思った。

そう思ったら、iPhoneですぐに調べられる。
Soundgenicの2TBモデルと同じくらいの価格で買えそうなMacがある。

Mac miniも買えそうで、2014年モデルも、
探し方次第では、Soundgenicと同じくらいで買えそうだとわかった。

それからだった。ヤフオク!で検索して、これだったら、と思えるMac miniを落札した。

さきほど届いた。
さっそく開梱して、Nighthawk Pro Gaming SX10のとなりに並べてみた。
大きさもいい感じだ。

Soundgenicも、大きさとしてはたいして変らないけれど、
全体の質感が、Mac miniと比較すると(比較するものではないのはわかっている)……。

Soundgenicは新品、Mac mini(Late 2014)は中古なのだから、
同列には比較できないのはわかっていても、
現実として、どちらも同じくらいの価格で手に入れられるわけだから、
購入する側としては、選択肢としてみてしまうのは、どうしようもない。

アプリケーションはまだだが、これでハードウェアは、いちおう揃った。
メリディアンの218が125,000円(税抜き)、
Nighthawk Pro Gaming SX10、Mac mini(Late 2014)をあわせて、20万円を切る。

どこまで遊べるか、楽しめるか。

Date: 10月 27th, 2020
Cate: 218, MERIDIAN

218はWONDER DACをめざす(その22)

メリディアンの218の入力について、
メリディアンのサイトには、下記のように公開されている。
     *
AUDIO INPUTS
One 2-channel digital coaxial S/PDIF input. 44.1kHz to 192kHz sampling and up to 24-bit
One 2-channel Meridian Speakerlink input. 44.1kHz to 192kHz sampling and up to 24-bit
One 2-channel digital optical TOSLINK input. 44.1kHz to 96kHz sampling and up to 24-bit
One 2-channel analogue input
One network input (Ethernet) for connection to a Roon system or an alternative control interface
     *
デジタル入力として使用できるのは、
SPDIFの同軸入力とトスリンク(光)とネットワーク端子ということになる。

スペック的には、トスリンクは96kHzまでなので、
同軸ケーブルによるSPDIF(こちらは196kHzまで)を使うことになる。

ネットワーク入力は、Roon専用といっていい。
RoonはRAAT(Roon Advanced Audio Transport)という独自の形式になっているためだ。

なので、私もRoonとの組合せで218を使うことを考えているわけなのだが、
でもその前に──、と思うのが、Audirvanaである。
AudioとNirvanaの造語であるAudirvanaは、オーディルヴァナと呼ぶのだろう。

他にも、いくつかのアプリケーションがある。
Windows用でよく知られているfoobar2000も、Mac用が出てきたし、
JRMC(JRiver Media Center)、Amarraなどがある。

すべてを試そうとは思っていない。
RoonとAudirvanaに絞って使っていくつもりである。

比較して、どちらを選んだからといって、
すべての点において、それが優れているということにならない。

アプリケーション(ソフトウェア)なので、こまめにアップデートされていく。
現時点では、どちらがいい、というようなことはいえても、
それが一年後、二年後、その先においても、そうだとはいえない。

とにかく使いやすい(とっつきやすい)と感じたアプリケーションから使い始めればいい。
Audirvanaは30日間、Roonは14日間の試用期間がある。

Date: 10月 26th, 2020
Cate: 218, MERIDIAN

218はWONDER DACをめざす(その21)

(その18)で書いているように、
ネットギアのNighthawk Pro Gaming SX10を購入した。

せっかく買ったモノだから、これを機にMacでの音楽再生環境を整えようと思った。
メリディアンの218とNighthawk Pro Gaming SX10があるのだから、
あれこれ試して楽しめる。

以前書いているように、2017年1月5日に、それまで使ってきたiMacが故障した。
このブログを書くには、iMacよりも、
親指シフトキーボードを接続しているPowerBook G4のほうが快適だから、
そんな事情もあって、そのままにしたままだった。

ブログを書くためだけだったら、これでもいいけれど、
そろそろ新しいMacを買おう、と。
といっても新品のMacを買うほどの余裕は、いまないので、
ヤフオク!で、Mac mini(Late 2014)の程度のいいのが出品されていて、
価格も手頃だったので、落札した。

今年の春に登場したMacBook Airには、かなり心が動いて、
買う寸前までいっていた。
それでも保留にしたのは、Thunderboltだけというコネクターの仕様である。

別売のアダプターを用意する必要がある。
オーディオに使うのであれば、そのアダプターのクォリティはどうなのか、
そのことが気になってくる。

どうしようかな、と迷っているうちに、コロナ禍で予定が狂ってしまった。
来年(早ければ年内中)に、ARMプロセッサーのMacが登場するから、
それを待ってから考えよう、と切り替えた。

なのに、Mac miniを買ってしまった。
218とNighthawk Pro Gaming SX10、
この二つを並べてみて、このくらいの大きさで、
価格的にもバランスがとれるモノ(Mac)で、システムを構築してみたい、と思ったからだ。

ここ二三日は、Mac miniをどう使おうかばかりを、あれこれ考えていた。
アプリケーションは、まずAudirvanaを使うつもりだ。

Date: 10月 26th, 2020
Cate: ちいさな結論

ちいさな結論(44年を経て)

いまぐらいの季節になると、思い出すのは44年前のことだ。
「五味オーディオ教室」と出逢ったときのことだ。

書店で出逢ったわけではなかった。
田舎町のスーパーのなかに、小さな書籍コーナーがあった。
そこに「五味オーディオ教室」があった。

一冊だけあった。
手にして、パラパラとページをめくって、買っていた。
これだ! とおもった日のことだから、いまもはっきりと憶えている。

その日の記憶が鮮明のままだから、
44年が、つい最近のように感じられることもある。

けれど、44年は確実に経っている。
傍からみれば、道を踏み外したヤツ、ということになる。

そうだろうな、と自分でもおもうことはある。
母は、教師になってほしかった、といっていた。
父が中学で英語を教えていたから、
それまでは中学の理科の先生になりたい、とおもっていた。

「五味オーディオ教室」と出逢って、道を踏み外したのだろうか、
それとも、やっと途を見つけたのだろうか。
どちらなのかはわからないものだろう。

「五味オーディオ教室」からの44年。
いろいろあった。

「五味オーディオ教室」から得たものは、
オーディオの力を信じることだ。

オーディオの力を信じているから出せる音がある。

Date: 10月 25th, 2020
Cate: Cornetta, TANNOY

TANNOY Cornetta(その29)

40年以上前のステレオサウンドは、測定をわりとよく行っていた。
そのころのスピーカーの測定項目には、
ピンクノイズとアナライザーによる残響室での周波数特性があった。

ステレオサウンドでは、これをトータル・エネルギー・レスポンスとして掲載していた。
これが実に興味深い。
当時もそうだったが、いまみてもそうである。

測定の方法とデータの読み方にもあるのだが、
残響室での測定のため波長の長い低音に関しては、
拡散音場がえられなくなるため、200Hz以下の特性は、あくまでも参考程度とある。

それでも200Hz以上の特性をみて、試聴記をみると、
帯域バランスと、このトータル・エネルギー・レスポンスはかなり一致している。

正弦波で測定する、無響室での周波数特性は、
良好な特性を示しているスピーカーシステムであっても、
試聴した印象ではそうでないことが、その当時はけっこうあった。

試聴記の印象からイメージする周波数特性と一致するのは、
トータル・エネルギー・レスポンスであった。

ステレオサウンド別冊HIGH-TECHNIC SERIES 4では、
フルレンジユニットの測定が行われている。

タンノイのHPDシリーズの測定データも、もちろん載っている。
37機種のフルレンジユニットのなかで、
トータル・エネルギー・レスポンスがもっとも優秀なのは、タンノイである。

Date: 10月 24th, 2020
Cate: アンチテーゼ

アンチテーゼとしての「音」(iPhone+218・その13)

いま使っているiPhoneは、8である。
なので三年近く使っている。

大きな不満はないし、ディスプレイも、まだ割ったことはない。
このままあと一年くらい使い続けようか、と思うのだが、
一つだけ不満というか、不安的なことがあって、
それはモバイルSuicaに関することである。

iPhoneにSuicaのアプリを入れている。
使う前に思っていた以上に便利である。
けれど、iPhoneのバッテリーが切れてしまうと、Suicaとしても使えなくなる。

二つ前のiPhoneから予備電力が装備され、メインのバッテリーが切れてしまっても、
Suicaは問題なく使える。

モバイルSuicaにしてから、これまで何度かバッテリー切れ寸前ということがあった。
モバイルバッテリーを持ち歩いていれば、そうなっても大丈夫なのだが、
極力モノを持って出掛けたくないので、モバイルバッテリーを持ち歩くことはしない。

なので、そのうちの何度かはそそくさと帰宅についたことがある。
予備電力装備のiPhoneであれば、そんな心配はなくなる。

そんな理由で、新しいiPhoneにしたかった。
それにiPhone 12 Proには、やっとブルーが登場した。
これも理由の一つである。

iPhone 5cにもブルー(水色)はあったけれど、
このときはTouch IDが使いたくてiPhone 5Sにした。

発表前からiPhone 12にするつもりだった。
けれど、発表内容をみて、少し考えることが出てきた。

新しく搭載されたMagSafe機能のために、
iPhone本体にリング状のマグネットが内蔵されるようになった。

これが音質的に、どう影響するのか。

Date: 10月 24th, 2020
Cate: デザイン

オーディオ・システムのデザインの中心(その31)

アキュフェーズのE800のずんぐりむっくりは、すんなり受け入れられているようである。
私がみた範囲で、E800のずんぐりむっくりしたプロポーションに、
否定的なことを書いているオーディオ評論家はいなかった。

そうだろうな、と思いつつも、
その一年後に、今度はテクニクスから、ずんぐりむっくりのプリメインアンプが登場した。
価格的にも、ずんぐりむっくり的にもE800のライバル機種といえる。

数年前までのラックスの、ずんぐりむっくりに対しても、
オーディオ評論家は、何も言わなかった。
擁護する発言をする人はいたけれど。

音さえよければ──、という考えが、そこにはあるのだろうか。
ガレージメーカーの製品であれば、
それもデビュー作であったりすれば、しかたないかも……、とまだおもう気持はあるが、
ずっとオーディオメーカーである会社が、
恥ずかしげもなく、ずんぐりむっくりのまま市場に出してくる。

誰も何もいわなければ、ずんぐりむっくりのまま市場に送り出す方がラクだ。
それでいて、デザインにも配慮した、みたいなことをいう。

デザインに関しては、音のためにすべて犠牲にしました──、
そんなことをいったりはしない。

そして、今回のテクニクスのプリメインアンプのずんぐりむっくりに、
何もいわないオーディオ評論家ばかりなのだろう。

Date: 10月 24th, 2020
Cate: 瀬川冬樹

虚構を継ぐ者(その3)

後継者たらん、とこころがけている人がいる。
本人がそう思っているのか、そうでないのかは、
本心のところでは他者にはわからないことだろうし、
本人すら、曖昧なところを残しているのかもしれない。

それでも、第三者の目に、
あの人は、○○さんの後継者たらん、としているとうつることがある。

たとえばステレオサウンド 214号に、
「五味康祐先生 没後40年に寄せて」という記事が載った。
五月女 実氏の文章である。

五月女 実氏は、ずっと以前にも五味先生について書かれた文章が、
ステレオサウンドに載っている。

その時にも感じたことだし、214号の文章ではさらに強く感じたことが、
五月女 実氏は、五味先生の後継者たらん、としている、ということだ。

本人は、そんなことはない、といわれるかもしれないし、
そうだ、といわれるかもしれない。
面識はないので、どちらなのかはわからないが、そんなことはどうでもいいわけで、
五月女 実氏の文章を読んでいると、こちらはそう感じた、ということだ。

けれど、しばらくしておもったのは、後継者たらん、ではなく、
五味康祐たらん、ではないのか、だった。

五月女 実氏の本心がどうなのかは、私にはまったくわからない。
でも、五味先生の後継者たらんと五味康祐たらん、とでは、
同じようではあっても、違う。

Date: 10月 24th, 2020
Cate: ジャーナリズム

オーディオの想像力の欠如が生むもの(その63)

オーディオの想像力の欠如のままでいて、
「古人の求めたる所を求め」ることのできない人が、「老害」を口にする。

Date: 10月 23rd, 2020
Cate: 瀬川冬樹

瀬川冬樹氏のこと(バッハ 無伴奏チェロ組曲・その5)

スチューダーのパワーアンプ、A68は、昔から欲しいと思い続けている。
A68のコンシューマー用といえるルボックスのA740もいいけれど、私はA68を手にいれたい。

けれど、なかなか出てこない。
1982年1月、ステレオサウンドの試聴室となりの倉庫に保管してあったA68、
瀬川先生が使われていた、そのA68を見たのが最後で、
それ以降、どこのオーディオ店でもみかけることがないまま、ほぼ四十年。

ヤフオク!にも、以前出品されていたけれど、手持ちがまったくなく入札すらできなかった。
それから十数年、ほんとうにみかけない。

海外ではみかけることがある。
eBayでは、時々みかける。いまもある。

ほかのところでもみかける。
でも、写真をながめてみると、けっこうくたびれている感じがする。
四十年ほど前のアンプなのだから、新品同様を求めたいわけではないが、
どうなんだろう……、この個体は? とおもう。

いまさらA68でもないだろう、という気持は、私にもある。
それでもコーネッタを自分のモノとして、バッハの無伴奏を聴いてしまったら、
A68で鳴らしたら、どんなチェロの音色と響きが聴けるだろうか、と想ってしまう。

コーネッタが、A68へのおもいを強めてしまった。

Date: 10月 23rd, 2020
Cate: 「ネットワーク」

オーディオと「ネットワーク」(情報量・その12)

インターネット以前は、あることに関する情報が、
どこにあるのかを知っているだけで、そのことの専門家とみられることがあった。

情報のありかはどうなのか。
インターネット以前は、そのことから調べなくてはならないことが多かった。

ここまでインターネットが普及しただけでなく、
SNS(ソーシャルメディア)の普及は、情報をありかを調べる(探す)ことは、
ほとんどなくなった、といっていい。

インターネット以前は、だから情報のありかを知っているだけの人が、
偉そうにしていたことすらあった。
ほかの世界ではどうだったのかは知らないが、オーディオの世界ではそうだった。

でも、情報のありかを知る人みながそうだったわけではない。
いとも簡単に教えてくれる人も、また多かった。

もったいぶるだけもったいぶって教えない、というのは問題外なのだが、
情報のありかをなかなか教えない、という人を、全面的に否定したいわけではない。

少なくとも、その人は調べる(探す)ことに、それなりの努力をしているわけだ。
いまでは、そうではなくなりつつある。

情報のありかを調べる(探す)能力を、
ほぼ失いつつある人が増えてくる(増えている)だろう。

情報のありかはすぐにわかるのだから、
そんな能力は、これから先は必要ではなくなる──、
ほんとうにそうなのだろうか。

そして、私が知識過剰だと感じる人は、
実のところ、情報のありかを自分で探し出すことができない人のような気がする。

Date: 10月 22nd, 2020
Cate: 日本のオーディオ

S氏とタンノイと日本人(その14)

ステレオサウンド 55号から、タンノイ研究が始まった。
菅野先生がずっと担当されていた。

51号からは4343研究が始まった。
こちらは瀬川先生が二回、柳沢功力氏が一回、
JBLのスタッフが一回だった。

タンノイ研究が菅野先生だけだったことに、特に不満はなかった。
それでも瀬川先生も登場してもいいのではないか、と何度か思いながら読んでいた。

そう思うのは、瀬川先生ならば、タンノイに、どのアンプを組み合わせられるか、
菅野先生とは趣向の違いがはっきりと出てくるだけに、
記事として、よりいっそう深みを増すのは、タンノイ研究にぴったりだからだ。

59号のベストバイの結果を見て、なんとなく瀬川先生が登場されない理由がわかった。
では、瀬川先生以外のほかの人となると、
菅野先生一人だけ、ということになってしまうのはわかる。

55号のタンノイ研究は、オートグラフだった。
55号には、五味先生の追悼記事も載っている。

五味先生は4月1日に亡くなられている。
タンノイ研究の企画は、いつ決ったのだろうか。

思うに4月1日以降なのではないだろうか。
そんな気がする。

私は、そうだろう、と確信している。
その理由は、ステレオサウンドで働くようになって、GRFメモリーについてのことをきいたからだった。
それがどんなことなのかは、まだとうぶん明かさないが、
そのことの準備期間まで含めると、非常に納得がいく。

納得いくことが、単なる偶然からきている可能性もあるだろう。
それでも、そのはずだ(はっきりと書かなくて申しわけない)。

Date: 10月 22nd, 2020
Cate: 世代

世代とオーディオ(若い世代とバックナンバー・その7)

オーディオ雑誌のバックナンバーを、十年分くらい揃える。
昔のオーディオ雑誌は、けっこう出ていた。
休刊(廃刊)になったオーディオ雑誌の数は、けっこうある。

それらを集めて、真剣に読むのであれば、
同時に、ステレオサウンドが年二回出していたHI-FI STEREO GUIDEも、
できるだけ手に入れてほしい。

あのころもそうだったけれど、
古書店でも、ステレオサウンドよりもHI-FI STEREO GUIDEのほうが高いことがけっこうある。

HI-FI STEREO GUIDEは、いわゆるカタログ誌だ。
だからこそ、オーディオ雑誌のバックナンバーとともに揃えたい。

HI-FI STEREO GUIDEには、その時代、市販されていたオーディオ機器が、
ほぼすべて掲載されている。
価格もスペックも載っている。
海外製品だと、どの国なのかも載っている。

その時代のオーディオを俯瞰したいときに、HI-FI STEREO GUIDEは役に立つ。

そんなこと、オーディオ雑誌を毎号買って読んでいれば、
HI-FI STEREO GUIDEなんて必要ないだろう、と思うかもしれないが、
私が中三のころ、はじめてHI-FI STEREO GUIDEを買って、
こんなにも多くの製品が市場に出ているのかと驚いた。

そしてHI-FI STEREO GUIDEが一冊ではなく、
二冊、三冊と増えてくると、
HI-FI STEREO GUIDEはオーディオの年表がわりでもあることに気づいた。

すべてを網羅するカタログ誌は、時間が経つことで、存在感を増してくる。

同じことはレコード関係の雑誌についてもいえる。
レコード関係の雑誌のバックナンバーを揃えるのであれば、
レコード・カタログ誌も集めて、いっしょに見ていくべきである。

Date: 10月 21st, 2020
Cate: plain sounding high thinking

plain sounding, high thinking(その13)

その12)で引用した黒田先生の文章に、
《鳴物入りで登場したニュースターの演奏をきいて、これはちょっとおかしいぞ、と思ったとき、ぼくは、いつでも、いわゆるスター性などという虚飾をとっくの昔に捨て、静かに音楽を紡ぎだすことにだけ専心しつづけているあなたがたの演奏に耳をすますことにしています》
とある。

ここでの「あなたがた」とは、ボザール・トリオのことだ。
オーディオにあてはめた場合、どうだろう。

以前のタンノイのスピーカーは、ボザール・トリオ的だった、といえる。
1976年に発表されたアーデン、バークレーなどのABCシリーズまでは、
スター性などという虚飾をとっくの昔に捨てていた。

GRFメモリーの登場を、タンノイの復活と評価することには、
素直に同意できない気持が、私のなかには残っている。

確かにタンノイは、GRFメモリー以降、息を吹き返した、といえる。
でも、JBLの4343の成功を横目でみながらのタンノイのようにも感じてしまうところがある。

捨てたはずのスター性を、タンノイは身につけようとしているようにも感じられるからだ。
捨てたはず、と書いてしまったが、
もともとタンノイのスピーカーはスター性とは無縁だった、と思っている。

売れるモノをつくっていかなければ、会社は成り立っていかない。
スター性をもつモノともたないモノとでは、持つモノのほうが売れる傾向にある。

ハーマンインターナショナル傘下時代のタンノイのスピーカー、
ABCシリーズの一連のスピーカーは、アメリカナイズされている、といった人もいる。

けれど、スター性を身につけようとしはじめたGRFメモリー以降に、
アメリカナイズされたところを、なんとなく感じとってしまう。

このへんのところは、受けとる側によって違ってくるところだろう。
堕落したタンノイといいたいわけではないし、ABCシリーズのタンノイが、
いまのタンノイのスピーカーよりも優れている、といいたいわけでもない。

ただタンノイは変った、といいたいだけである。
それをいい方向へと受けとるか、そうではないと受けとるかは、人それぞれである。