ちいさな結論(44年を経て)
いまぐらいの季節になると、思い出すのは44年前のことだ。
「五味オーディオ教室」と出逢ったときのことだ。
書店で出逢ったわけではなかった。
田舎町のスーパーのなかに、小さな書籍コーナーがあった。
そこに「五味オーディオ教室」があった。
一冊だけあった。
手にして、パラパラとページをめくって、買っていた。
これだ! とおもった日のことだから、いまもはっきりと憶えている。
その日の記憶が鮮明のままだから、
44年が、つい最近のように感じられることもある。
けれど、44年は確実に経っている。
傍からみれば、道を踏み外したヤツ、ということになる。
そうだろうな、と自分でもおもうことはある。
母は、教師になってほしかった、といっていた。
父が中学で英語を教えていたから、
それまでは中学の理科の先生になりたい、とおもっていた。
「五味オーディオ教室」と出逢って、道を踏み外したのだろうか、
それとも、やっと途を見つけたのだろうか。
どちらなのかはわからないものだろう。
「五味オーディオ教室」からの44年。
いろいろあった。
「五味オーディオ教室」から得たものは、
オーディオの力を信じることだ。
オーディオの力を信じているから出せる音がある。