Date: 7月 14th, 2023
Cate: デザイン
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管球式プリメインアンプのデザイン(その1)

真空管アンプの存在(KT88プッシュプルとタンノイ・その16)」に、
Tadanoさんのコメントがあった。

コメントの最後に、
《ところで宮崎さんに質問したいのですが、宮崎さんの思う真空管プリメインアンプのベスト・デザインを、ぜひ教えてください。また、その理由についてもお聞かせいただけると嬉しい限りです!》
とある。

無視するわけにはいかないとおもいながらも、この質問は難しい。
別項「プリメインアンプとしてのデザイン、コントロールアンプとしてのデザイン」、
ここでのテーマと関係してくることだし、
《真空管プリメインアンプのベスト・デザイン》でもある。

Tadanoさんのコメントを読んだのが昼過ぎ。
それからいままであれこれ思い浮べてきたけれど、
《真空管プリメインアンプのベスト・デザイン》は、いまのところない、としかいいようがない。

けれど好ましいと思う管球式プリメインアンプがないわけではない。
これまで難度も書いているように、私が最初に読んだステレオサウンドは41号。
その次の42号は、プリメインアンプの特集だった。

53,800円(オンキョーIntegra A5)から、
195,000円(マランツModel 1250)までの35機種がとりあげられていた。

この35機種のなかで、オーディオに興味を持ち始めたばかりの中学三年生だった私が、
デザイン的に、他のアンプとは明らかに違うと感じたのは、
オンキョーのIntegra A722nIIとラックスのSQ38FD/IIの二機種だった。

管球式プリメインアンプはいうまでもなくSQ38FD/IIであり、
Integra A722nIIはソリッドステート(半導体)アンプだった。

Date: 7月 14th, 2023
Cate: ディスク/ブック

SOUTH PACIFIC(その3)

“SOUTH PACIFIC”のことをなぜ書き始めたのか。
理由は──、もう想像がつくという人がいるだろうが、
TIDALにあったからで、しかもMQAで配信されていたからだ。

数日前、そういえば、とふっと“SOUTH PACIFIC”のことを思い出した。
TIDALにあるだろうな、と思ったら、やっぱりあった。

ステレオサウンド 60号のころの私は、“SOUTH PACIFIC”をアルテックで聴いてみたい、
と思いながらも、“SOUTH PACIFIC”のレコードを欲しい、と思っていたわけではなかった。

探すこともしなかった。
そういうディスクのことを、急に思い出したのは、
完全な状態とはいえないものでも、あるところでアルテックのA4に触れたからなのかもしれない。

60号に登場するA4とユニット構成はほぼ同じ。
ホーンがより大型の1505Bで、210エンクロージュアには左右のウイングがない。

ネットワークは家のどこかにあるはずだけど……、
けれど見つからず、とりあえず288-16Kのローカットだけをコンデンサーだけで行う。

A4が収まっている部屋なのだから、スペース的に広いとはいうものの、
A4のためのスペースとしては狭い。

とりあえず鳴らしてみよう、そんな感じでの音出しだったにもかかわらず、
やはりアルテックなのだった。

そんな表現をされても、
アルテックのシアター用スピーカーの音を一度も聴いたことのない人は、
わからないよ、といわれるのは承知のうえで「やはりアルテック」だった。

その音が、“SOUTH PACIFIC”を思い出させたのだろうし、
TIDALで“SOUTH PACIFIC”を聴いたあとに、60号を読み返す。

何かを書きたくなった次第。

Date: 7月 12th, 2023
Cate: ディスク/ブック

SOUTH PACIFIC(その2)

“SOUTH PACIFIC”をアルテックのスピーカーで、一度でいいから聴いてみたい。
ステレオサウンド 60号を読んだ人ならば、そう思われた方も少なくないはずだ。

その音で、日常的に詩文の好きな音楽を聴きたいと思うわけではないけれど、
それでも聴いてみたい、というよりも聴いておきたい音というのがある。

とはいえアルテックのA4で“SOUTH PACIFIC”というのは、叶わぬこととあきらめてもいた。
60号に登場するA4のシステム構成は次の通り。

エンクロージュアは210、ウーファーは515Eのダブル、
ドライバーは288-16K、ホーンは1005Bにスロートアダプター30210を組み合わせたモノ。
ネットワークはN500FAである。

210エンクロージュアには両サイドに補助バッフルがつく。
その際の外形寸法は、W205×H213×D100cm。
この210の上に大型のマルチセルラホーンがのるわけだから、
はっきりと劇場用のスピーカーシステムである。

かなりの大型スピーカーシステムを縦いに持ち込む人が多い日本でも、
A4を自宅で聴いています、という人は、どれだけいたのだろうか。

60号に掲載されているザ・スーパーマニアには、
A4をお寺の本堂に置かれている方が登場しているが、
それでも高さ的にはA4が窮屈そうにみえる。

60号の特集の試聴で使われたのは、ステレオサウンド試聴室ではなく、
54畳ほどのかなり広い空間である。
     *
瀬川 ただ、幸か不幸か、日本の住宅事情を考えますと、きょうはここは54畳ですね。ここでA4を鳴らすと、もうA4では部屋からはみ出しますね。大きすぎる。A5になって、どうやら、ちょうどこの部屋に似あうかな、でも、もうすこし部屋が広くてもいいなという感じになってくるでしょう。
 ただ現実にはわれわれ日本のオーディオファンは、A5を6畳に入れている人が現にいますよね。一生懸命鳴らして、もちろん、それはそれなりにいい音が出ているけれども、きょうここで聴いた、この開放的な朗々と明るく響く、しかもなんとも言えないチャーミングな声が聴こえてくる。このアルテック本来の特徴が残念ながら、われわれの部屋ではちょっと出しきれません。どんなに調整しこんでも……。
 逆に菅野さんが言われたように、このシリーズはクラシックが鳴りにくいと言われた、それがむずかしいと言われた。むしろ6畳なんかでアルテックを鳴らしている人は、そっちのほうに挑戦してますね。
 つまり、このスピーカーは、ほっとくとどこまでも走っていきたくなるあばれ馬みたいなところがある。そこがまた魅力でもあるんだけれども、そこをおさえこみ、おさえこみしないと、6畳ですぐそばじゃとっても聴けないですね。そこをまたおさえこむテクニックはたいしたものだと、ぼくは思います。実際、そういう人の音をなん度も聴かせてもらっているけれども。
 でも、それが決してアルテックの本領じゃない。やっぱり、アルテックの本領は、この明るさ、解き放たれた自在さ、そしてこれは今日的なモニタースピーカーのように、原音にどれほど忠実かという方向ではないことは、このさい、はっきりしておかなくちゃいけない。物理的にどこまで忠実に迫ろうかというんじゃなくて、ひとつの音とか音楽を、ひとりひとりが心のなかで受けとめて、スピーカーから鳴る音としてこうあってほしいな、という、なにか潜在的な願望を、スッと音に出してくれるところがありますね。
 実にたのしいと思うんです。この音を聴いてても、ぜったい原音と似てないですよ。だけど、さっきサウンド・トラック盤をかけた、あるいはヴォーカルをかけた、あのときの歌い手の声の、なんとも言えず艶があって、張りがあって、非常に言葉が明瞭に聴き取れながら、しかも力がある。しかし、その力はあらわに出てこない。なんともこころよい感じがする。
 あの鳴り方は、これぞ〈アメリカン・サウンド〉だ、と。
     *
「たのしい」とある。
この瀬川先生の「たのしい」は、この後にも出てくる。

Date: 7月 12th, 2023
Cate: ディスク/ブック

SOUTH PACIFIC(その1)

“SOUTH PACIFIC”。
邦題は「南太平洋」。1958年(日本公開は1959年)の映画であり、
サウンドトラックのタイトルだ。

“SOUTH PACIFIC”ときいて、
ステレオサウンド 60号の特集「サウンド・オブ・アメリカ」のことを、
いまではどれだけの人が思い出すのだろうか。

もう四十年以上前の記事だし、
そんな古いステレオサウンドは読んだことがない、という世代の人もいよう。

60号を読むまで、“SOUTH PACIFIC”のことは知らなかった。
60号の110ページに、
「アメリカン・サウンド試聴のために集められた機器群」として、
当時の現行製品からすでに製造中止になっていたマランツのModel 7とModel 9など、
この写真をみているだけで、当時の編集部の、この特集への意気込みが伝わってきていた。

アナログプレーヤーは、トーレンスのリファレンス。
リファレンスの置き台に、試聴ディスクが立て掛けられている。
手前にあるのが、“SOUTH PACIFIC”である。

このディスクのことは、アルテックのところに出てくる。
60号の特集に登場するアルテックのスピーカーシステムは、三機種。

A4とA5FとMANTARAY HORN SYSTEMである。
     *
 ぼくが個人的に非常におもしろかったのは、A4のために、瀬川さんがわざわざトーキーのサウンド・トラック・レコードを持ってきて──〝サウス・パシフィック(南太平洋)〟ですけれども──それをかけて、A4の調整にはかなり苦心して、いい状態で鳴らしてみたら、やはりさんざんぼくなんかなじんでいた劇場のウェスターン・エレクトリックの音、ああいうのがよみがえってくるという感じがありました。
     *
このあとにも、“SOUTH PACIFIC”のことは出てくる。
だから、110ページの写真で、“SOUTH PACIFIC”のディスクが手前にあるのは、
編集部が意図してのことのはずだ。

Date: 7月 10th, 2023
Cate: ディスク/ブック

ブーレーズのストラヴィンスキー

ピエール・ブーレーズがシカゴ交響楽団を指揮してのストラヴィンスキーが、
TIDALでMQAで聴けるようになった。

「火の鳥」、「花火」、管弦楽のための4つの練習曲をおさめたアルバムで、
1992年の録音。サンプリング周波数は44.1kHzである。

これが、TIDALでMQAで聴ける。
少し前に、アメリングのアルバムがMQAで配信されるようになった。
そこにはデジタル初期の録音だったのが、MQAで聴けるようになったことは、
少し前に書いたばかりだ。

アメリングがMQAで聴けるようになったときに、
もしかすると今年はユニバーサル・ミュージックがいよいよMQA配信に本気になるのか。
そんなふうに期待した。

どうなるのかはまだなんともいえないが、
ブーレーズのストラヴィンスキーもMQAになったことで、ますます期待はふくらむばかり。

ドイツ・グラモフォン、デッカ、
フィリップスの初期のデジタル録音がMQAで聴けるようになったら──、
期待しているのは私だけではないはずだ。

個人的にはボザール・トリオをMQAで聴きたい。
それからバーンスタインのマーラーとブラームス、
そしてカラヤンのパルジファルもだ。

Date: 7月 9th, 2023
Cate: 真空管アンプ
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真空管アンプの存在(KT88プッシュプルとタンノイ・その16)

カノア・オーディオのAI 1.10が、けっこう気になっている。
OTOTENで、ジャーマン・フィジックスのHRS130をうまく鳴らしていたということもあるが、
フロントパネルがあるという点も、私にとっては大きい。

その15)で書いているように、
管球式プリメインアンプには、フロントパネルがついていてほしい。

出力管が見えているスタイルのほうが好き、という人もいる。
でも、それは管球式パワーアンプですむ。

管球式パワーアンプ(フロントパネルなし)に、
ツマミを数個つけただけの管球式プリメインアンプには、
その音が魅力的であろうと、個人的にはさほど魅力を感じることはない。

管球式プリメインアンプはこれからも登場するだろうが、
フロントパネルをもつ管球式プリメインアンプは、もう絶滅機種かもしれない──、
と(その15)では書いたけれど、AI 1.10が登場した。

これに続く管球式プリメインアンプが他社からも登場してほしい。

Date: 7月 9th, 2023
Cate: スピーカーの述懐

あるスピーカーの述懐(その47)

オーディオマニアといっても、さまざまだ。
スピーカーの音を好きな人もいれば、
スピーカーの音を嫌いな人もいる。

スピーカーの存在がなくなることを、オーディオの理想と考える人は、
スピーカーの音が嫌いな人なのだろう。

どちらが上とかしたとか、そういうことではない。
けれど考えたいのは、なぜ、そんなふうに分かれてしまうのかについてだ。

瀬川先生が「聴感だけを頼りに……」(虚構世界の狩人・所収)が書かれている。
     *
「きみ、美空ひばりを聴きたまえ。難しい音楽ばかり聴いていたって音はわからないよ。美空ひばりを聴いた方が、ずっと音のよしあしがよくわかるよ」
 当時の私には、美空ひばりは鳥肌の立つほど嫌いな存在で、音楽の方はバロック以前と現代と、若さのポーズもあってひねったところばかり聴いていた時期だから歌謡曲そのものさえバカにしていて、池田圭氏の言われる真意が汲みとれなかった。池田氏は若いころ、外国の文学や音楽に深く親しんだ方である。その氏が言われる日本の歌謡曲説が、私にもどうやら、いまごろわかりかけてきたようだ。別に歌謡曲でなくたってかまわない。要は、人それぞれ、最も深く理解できる、身体で理解できる音楽を、スピーカーから鳴る音の良否の判断や音の調整の素材にしなくては、結局、本ものの良い音が出せないことを言いたいので、むろんそれがクラシックであってもロックやフォークであっても、ソウルやジャズであってもハワイアンやウエスタンであっても、一向にさしつかえないわけだ。わからない音楽を一所けんめい鳴らして耳を傾けたところで、音のよしあしなどわかりっこない。
     *
ステレオサウンド 60号で、アルテックのA4について語られる瀬川先生は、
美空ひばりの体験をあげられている。
     *
 たまたま中2階の売場に、輸入クラシック・レコードを買いにいってたところですから、ギョッとしたわけですが、しかし、ギョッとしながらも、いまだに耳のなかにあのとき店内いっぱいにひびきわたった、このA4の音というのは、忘れがたく、焼きついているんですよ。
 ぼくの耳のなかでは、やっぱり、突如、鳴った美空ひばりの声が、印象的にのこっているわけですよ。時とともに非常に美化されてのこっている。あれだけリッチな朗々とした、なんとも言えないひびきのいい音というのは、ぼくはあとにも先にも聴いたことがなかった。
     *
1993年のステレオサウンド別冊「JBLのすべて」に書かれている。
     *
 奇しくもJBLのC34を聴いたのは、飛行館スタジオにちかい当時のコロムビア・大蔵スタジオのモニタールームであった。作曲家の古賀先生を拝見したのも記憶に新しいが、そのときの録音は、もっとも嫌いな歌謡曲、それも島倉千代子であった。しかしマイクを通しJBLから聴かれた音は、得も言われぬ見事なもので、嫌いな歌手の声が天の声にも増して素晴らしかったことに驚歎したのである。
     *
瀬川先生も井上先生も、大嫌いな歌手をスピーカーを通しての音に驚かれている。

瀬川先生はアルテックで美空ひばりを、
井上先生はJBLで島倉千代子を。

こういう体験があるのかないのか。

Date: 7月 9th, 2023
Cate: 終のスピーカー

ベンディングウェーヴとアンプのこと(その2)

別項「2023年ショウ雑感」で書いているように、
ジャーマン・フィジックスのHRS130を、
カノア・オーディオの管球式プリメインアンプ、AI 1.10で鳴らした音は、
単にいい音であっただけでなく、
Troubadour 40を終のスピーカーとして認めている私にとっては、
いろいろと、改めて考えさせる「音」でもあった。

(その1)で、こんなことを書いている。
ピストニックモーションのスピーカーを定電圧駆動があり、
ベンディングウェーヴのスピーカーを定電圧駆動、
ピストニックモーションのスピーカーを定電流駆動、
ベンディングウェーヴのスピーカーを定電流駆動、
──この4つのマトリクスがある、と。

AI 1.10で鳴らしたHRS130の音を聴いただけで、
ベンディングウェーヴ型スピーカーと管球式アンプの相性はいい──、
と断言するつもりはないが、少なくとも相性の悪さは感じられなかった。

管球式アンプとひとくくりにできないこともわかったうえで書いている。
それでもジャーマン・フィジックスのDDD型ユニットの振動膜は、わずか3gである。

この軽い振動膜を、ピストニックモーションではなく、
ベンディングウェーヴで動作させるのだから、パワーアンプに求められることすべてが、
まったく同じとは考えにくい。

共通することもあれば、そうでないこともあるはず。

Date: 7月 6th, 2023
Cate: 井上卓也

井上卓也氏のこと(アンペックス MR70)

アンペックスのオープンリールデッキとオーディオ評論家といえば、
個人的には瀬川先生とAG440Bのことが、最初に浮ぶ。

ステレオサウンド 38号の特集「オーディオ評論家──そのサウンドとサウンドロジィ」、
そこで見た瀬川先生のリスニングルーム、
JBLとKEF、二つのスピーカーのあいだに、AG440B-2があった。

このAG440B-2は、49号の巻末のUsed Component Market(売買欄)に出ていた。
実働250時間、完全オーバーホール、オプションの4トラック再生用ヘッドなどがついている。
希望価格は125万円で、連絡先はステレオサウンド編集部気付になっていた。

38号では、山中先生のリスニングルームにModel 300があった。

井上先生の、当時のリスニングルームにはなかった。
先日、ある方と話していて、井上先生のことが話題になった。

井上先生のところで聴いたアンペックスのデッキの音はすごかった。
そんなことを話された。
AG440Bではないとのこと。

型番を忘れてしまったけれど、もっと大型で、
1/4インチから1インチまでのテープ幅に対応できたモデル──、
となると、MR70である。

井上先生はMR70をお持ちだったのか。
ステレオサウンド 44号、「クラフツマンシップの粋」はアンペックスで、
MR70のカラー写真も掲載されている。

このMR70は井上先生の私物だったのだろう。

Date: 7月 6th, 2023
Cate: 戻っていく感覚

戻っていく感覚(ひさしぶりの喘息)

小学生のころは、とにかく喘息の発作から解放されたい──、
ただそれだけだったところがある。

中学三年のときが、前回の発作である。
もうずいぶん喘息とは離れての生活だったのが、
ここにきての発作。

薬のおかげで、かなり楽になっているものの、まだまだである。
それで思い出しているのが、この喘息の発作も、
ある意味、私にとっての「戻っていく感覚」だな、ということ。

小学生のころとくらべると、
中学生になってからの喘息の発作は、かなり少なくなっていた。
そういう時期に「五味オーディオ教室」と出逢っている。

そのことを含めての私にとっての「戻っていく感覚」であるわけだ。

Date: 7月 5th, 2023
Cate: High Resolution

MQAのこれから(とTIDAL・その6)

決定なのかどうかは、いまの時点ではなんともいえないけれど、
TIDALはこれからもMQAでの配信を続けていくようだ。

同時に、これまで44.1kHzだったFLACの配信に、
192kHzまでの配信が加わる、とのこと。

やっぱりそうだろうな、と納得する。
MQAの配信を止めてしまうと、
他のストリーミングサービスと、あまり違わなくなってしまうからだ。

MQAがなくなったTIDALは、Qobuzとどれだけ違うのか。
完全に安心できるわけではないが、急にMQAの配信がなくなることはなさそうだ。

Date: 7月 5th, 2023
Cate: ディスク/ブック

The “V Discs”-The Columbia Years 1943 – 1952

別項で書いているクレデンザを、先月に聴いたとき、
初めてVディスク(V Disc, Victory Discの略)を聴いた。

Vディスクのことは知っていた。
けれど実物を見たことはなかった。
それが先月、初めてVディスクを聴くことができた。
それもクレデンザで、だ。

昨日、ある方からフランク・シナトラの“Duets II”のCDをいただいた。
タイトルそのままの内容で、シナトラが、14人の歌手とデュエットしている。

いいディスクだ。
聴き終って、TIDALを検索してみた。
もう一枚のアルバムと一つにした“Duets (20th Anniversary Deluxe Edition)”があった。

そんなふうにTIDALを眺めていたら、
“The “V Discs”-The Columbia Years 1943 – 1952”もあることに気づいた。

コロムビア時代の録音だから、MQA Studio(44.1kHz)で配信されている。

TIDALにも、ないアルバムがそこそこあるのは知っている。
けれど、こんなふうに探していくと、いったいどれだけあるのだろうか、と嬉しくなってくる。

Date: 7月 5th, 2023
Cate: audio wednesday

第九回audio wednesday (next decade)

今日はaudio wednesday (next decade) の日だったけれど、
ここ数週間、咳が止らなくて(熱も鼻水もなし)、
今日、四十数年ぶりに内科に行ってきた。

予想していたように、喘息による咳ということだった。
喘息の症状も四十数年ぶり。
このまま、もう喘息とは無縁でいられるかも──、とあわい期待を持っていたけれど、
なかなかそうはうまくいかないようである。

なので、今日のaudio wednesday (next decade)は中止にしてもらった。
8月2日のaudio wednesday (next decade)も、だから第九回のまま。

参加する人は少ないだろうから、詳細はfacebookで。
開始時間、場所等は参加人数によって決める予定。

Date: 7月 3rd, 2023
Cate: きく

クレデンザをきいて(その2)

クレデンザの誕生は1925年。
ほぼ百年前のこと。

オーディオテクニカのウェブサイトによると、
クレデンザは67,000台ほど作られた、らしい。

日本で当時の価格は、家一軒分ときいているから、
海外ではそこまで高価ではなかったにしろ、67,000台という数字には、驚く。

今回聴いたゼンマイ式のクレデンザのシリアルナンバーは、1,000番未満である。
初期のクレデンザなのだろう。
オーディオテクニカ所蔵のクレデンザは40,000番台とのこと。

クレデンザの音を聴いたのは、そう多くないが、
実物を見る機会は、それよりも多かった。

今回、はじめて気づいたのは、二枚扉のクレデンザということだった。
私のなかでの印象は、四枚扉のクレデンザである。
中央二枚の大きい扉、
その他に両端にSP盤を収納するための狭い扉がついているタイプである。

二枚扉のクレデンザにも、SP盤の収納スペースはあるが、
扉は二枚になったことで大きくなり、扉を開いた姿は、けっこう違って見える。

こんなクレデンザがあったのか、と検索してみると、確かに存在している。

そして、同じゼンマイ式のクレデンザでも製造時期によって、
けっこう仕様が違っていたこともわかった。

そういうクレデンザから鳴ってくる音を聴いていた。

Date: 7月 3rd, 2023
Cate: German Physiks

ジャーマン・フィジックス Troubadour 40のこと(その14)

中核となるユニットは一つ。
つまりDDD型ユニットなわけだが、
ジャーマン・フィジックスのスピーカーシステムのラインナップは多い。

まだチタンの振動膜のDDD型ユニットだけだったころから、そうだった。
すべてのラインナップを、当時、聴いたわけではないが、
個人的に強く心惹かれたのは、Troubadour 40とUnicornの二機種だけだった。

最上機種のGaudíも、タイムロードの試聴室で聴いている。
その時の音が、Gaudíが真価を発揮した音とは思っていないけれど、
それでも自分にとって大事な音、
いいかえれば心に近い音を出してくれるスピーカーであれば、
どんなにひどい状態で鳴っていても、なにかしら感じるものがある。

その意味で、Troubadour 40とUnicornだけだった。
Unicornは、エンクロージュアの製作に時間がかかるのか、
なかなか出来上ってこない、という話を聞いていた。

時間がかかるのがわかっているから、見込みで早めに注文しても、
出来上ってこない。

そのため、Unicornを購入したい人をずいぶん待たせた、ともきいている。

そのUnicornが、MK IIになった。
ずいぶんと変ってしまった──、と感じてしまった。
エンクロージュアの構造を簡略したのか、とも思ってしまうほどだった。

やっぱり、最初のUnicornなのか──。
Unicorn MK IIを聴きもせずに、そんなふうに思ってしまっていた。

しかもDDD型ユニットもカーボン振動膜になった。
そのこともあいまって、ますますUnicorn MK IIへの関心は失っていった。

そんな勝手な思い込みを、今年のOTOTENでのHRS130の音は、
消し去ってくれた。
Unicorn MK II、いいんじゃないのか。

そういう気持が芽ばえてきたし、
聴いているうちに大きくなってもいた。

現在、輸入元のタクトシュトックはHRS130だけしか取り扱っていない。
ぜひとも、Unicorn MK IIの取り扱いも始めてほしい。